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三井住友信託銀行株式会社様
アジャイル開発で営業支援システムを構築
現場の要求と環境変化に継続的に対応し続ける
事例の概要
課題背景
- 既存ビジネスの強化に向けて営業プロセスを効率化したい
- ウォーターフォール型開発では、ビジネス環境の変化に対応したシステム開発が難しい
- 経験やノウハウを持つベンダーによるアジャイル開発のサポートを受けたい
成果
ユーザが求めるシステムを実現
ユーザと密接なコミュニケーションを取りながら進めるアジャイル開発により、現場が本当に求めているシステムを早期に必要なものから実現できる体制が整った。
システムの継続的な進化を支える
改善や追加機能の開発を短いスパンで繰り返し実施。ビジネスニーズの変化や新たな課題の発生に対し、常にシステムを進化させていける。
蓄積されたノウハウ、知見の横展開が可能に
NECの持つアジャイル開発のノウハウを活用することで、早期のチームビルディングが可能となった。本プロジェクトを通して、三井住友信託銀行としてもノウハウを蓄積。必要に応じて、別のシステム開発プロジェクトでもアジャイル開発を実践できる。
三井住友信託銀行のアジャイル開発体制
スクラムマスターおよび開発チームにNECのエンジニアが参画してアジャイル開発の実践を支援しているほか、開発チームの周辺には、アジャイルやDevOpsなどに精通した人員で構成される支援チームや、システムのインフラ面をサポートする基盤チームをNECグループの人的リソースを中心に組織。プロジェクトメンバーが開発に専念できるよう後方支援を行っている。
事例の詳細
開発の背景
全社に分散した顧客情報の統合を図る
三井住友トラスト・グループの中核銀行である三井住友信託銀行様。FinTechという造語が生まれるなど、金融業界全体が大きな変革の渦中にある中、同社も既存ビジネスの強化と新規ビジネスの創出を両輪とする大きな改革を進めています。
「時代の変化や社会情勢に応じた新たな金融商品・サービスの開発に注力する一方、重要な基盤である銀行業務や資産運用・管理サービスなどの既存ビジネスもしっかりと強化を図り、信託銀行独自の強みを発揮したいと考えています」と三井住友信託銀行の田中 聡氏は語ります。
そのために既存ビジネスの領域で取り組んだのが、法人営業の効率化やコスト削減のためのデジタル化です。
「当社には、融資業務に加え企業年金、不動産、証券代行など、法人向けの多様なサービスがあります。それぞれ専門性が高いことから担当の部門があり、各部門が個別に営業を行っています。しかし、その結果、お客様の情報が部門ごとにバラバラに管理されてしまっており、全社的に見ると営業プロセスの重複によるムダが多いほか、せっかくの情報を共有できていないことが提案機会の損失などにつながっていました」と田中氏は言います。
そこで、同社は全社の法人顧客にかかる営業情報を統合的に管理するSFA(営業支援システム)の導入に着手しました。
選択のポイント
事業環境のスピードを考慮してアジャイル開発を選択
SFAの構築に向けて、まず同社はSaaSの導入を検討しました。しかし、SaaSではどうしても商品別の切り口となり、総合的なソリューションを管理する顧客本位の仕組みを構築することは難しいと判断。スクラッチで開発することを決めました。
次にテーマとなったのが、どのように開発を進めるかということです。「というのも、ビジネス環境の変化が激しい今日、従来のウォーターフォール型の開発では、リリースされるころには、既にシステムが陳腐化してしまっているという懸念があったからです」と同社の岡田 千晶氏は言います。
そこで、同社がチャレンジすることにしたのがアジャイル開発です。
「要件定義の段階で、機能要求をすべて抽出することは困難。せっかくシステムをつくり上げても必ず不満が残る。過去のシステム開発を通じて、ウォーターフォール型開発の課題を何度も見てきました。ですから、要件的に適合性の高い案件があれば、ぜひ俊敏性、柔軟性に優れたアジャイル開発にチャレンジしたいという思いがありました」と田中氏は言います。
アジャイル開発の経験に加えてアサイン予定の人員も精査
アジャイル開発への挑戦を決めた同社は、まずPoC(Proof of Concept)で有効性を検証すべく、そのためのRFPをベンダーに投げかけました。それに応じた提案を吟味し、最終的にパートナーに選定したのがNECです。
「アジャイル開発の経験やノウハウ、支援体制を評価すべく、各ベンダーのスクラムマスター候補者から直接考えを聞く機会を設定してもらいました。アジャイル開発の経験の有無はもちろん、最適な人材をアサインし、ともにゴールを共有しながら、プロジェクトを最後までやり抜くという姿勢が最も伝わったのがNECでした」と田中氏は語ります。
一方、このときスクラムマスター候補として提案に臨んだNECの寺田 達彦は次のように振り返ります。「それまでNECは自社製品であるミドルウェアパッケージの開発などで積極的にアジャイル開発を実践し、その中でノウハウを積み重ねたり、手法をブラッシュアップしたりしてきていました。そこでのアジャイル開発経験と今までのSIで培ってきた経験を合わせて三井住友信託銀行様のプロジェクトを支援することをお伝えしました」。
PoCは、実際の画面を開発しながら行われました。約2カ月のPoCを経て、同社はアジャイル開発が、システム品質、開発スピードなど、さまざまな点で有効と判断しました。「PoCの成果を経営層に報告する際には、NECにもプレゼンテーションを行ってもらいました。アジャイル開発でも一定の品質を確保するプロセスが組み込まれていること、また、ベンダーと一体となった体制をアピールできたことも、社内の合意形成につながったと考えています」と岡田氏は話します。
開発の工夫と成果
後方支援の別チームを組織してメンバーを開発に専念させる
開発は、NECが培ってきた品質会計のエッセンスを取り込んだアジャイル開発フレームワークを同社が定めるシステム開発規定と突き合わせながら最適化を図り、今回のプロジェクトの方針を策定しました。
「また体制面では、アジャイルやDevOpsなどに精通した人員で構成された支援チームをNEC内に結成。後方支援を充実させて、実際の開発を進めるプロジェクトメンバーが開発に専念できる体制を整えました」とNECの本谷 航紀は言います。
以上のような準備を経て、同社のSFAはスプリントの開始から4カ月で初期リリース版の本番運用をスタートしました。
「初期リリースは、まずやりたいことの3割を実現できればよいというスタンスで臨みました。残りの7割は、運用の中で顕在化する新たなニーズなどを汲み取りながら、継続的に開発を進める計画です」と田中氏は言います。そのために同社は、SFAの利用状況をリアルタイムにモニタリングし、システムの課題を収集する仕組みも用意しています。
ユーザとの距離感が縮まり現場が本当に必要としているシステムを実現できる
アジャイル開発に挑戦した成果として、同社の浅田 奈穂子氏は次のように語ります。「ウォーターフォール型開発では、要件定義・外部設計が終わり、開発が始まってしまうと、ユーザとの関係がリリース直前まで疎遠になってしまう。結果、UATの段階で大きな仕様変更や手戻りが発生するリスクも大きくなります。一方、アジャイルでは、日々、ユーザとコミュニケーションすることが前提となり、ユーザとの距離感がとても近い。本当に現場が必要なシステムを柔軟に開発するという点で有効だと改めて感じました」。
今回のプロジェクトを通じて蓄積したノウハウや知見を活かして、同社はSFA以外のシステム構築プロジェクトでも積極的にアジャイル開発を採用したいと考えています。
「今回のプロジェクトは、全社的にも注目され、今後のシステム開発への横展開に期待が高まっています。ウォーターフォール型が適切か、アジャイル開発で行うべきか。適切に見極めていくための基準を整備しながら、アジャイルが最適と判断できるプロジェクトで積極的に取り入れていきたいですね」と浅田氏は話します。
デジタル化が競争力を大きく左右する中、どの技術を活用するかだけでなく、「どうやって適用するか」という点でも新しい選択肢を得た三井住友信託銀行様。競争が激化する金融業界を勝ち抜く大きな力を得たとはっきりと手応えを感じています。
お客様プロフィール
三井住友信託銀行株式会社
所在地 | 東京都千代田区丸の内1-4-1 三井住友信託銀行本店ビル |
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設立 | 1925年7月28日 |
従業員数 | 13,527名 |
概要 | 銀行事業、資産運用・管理事業、不動産事業を一体として展開する国内唯一の専業信託銀行グループとして、高度な専門性と総合力を活かし、顧客のニーズに対して多彩な商品・サービスラインアップによるトータルなソリューションを提供。長期的かつ包括的な信頼関係に基づく「ベストパートナー」として顧客とともに成長を目指す。 |
URL | https://www.smtb.jp/ |
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