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AI時代のMicrosoftの施策

「Microsoft Inspire 2023 Recap」セミナーレポート2

Inspire Recap about security

日本電気株式会社
サービスビジネス統括部
兼サイバーセキュリティ戦略統括部
エバンジェリスト
兼サイバーセキュリティリサーチャー
 釜山 公徳

今回の Microsoft Inspire では 21のセキュリティセッションがあった。

Springboard customer into the era of AI with end-to-end security

このセッションでは AI 時代に突入する顧客へ 3つの Microsoft のセキュリティ施策のアプローチ方法が紹介された。

1つ目はパブリッククラウドでのセキュリティにおける Microsoft Cloud の優位性である。Microsoft Cloud の様々なセキュリティソリューションで全てのセキュリティレイヤーをカバーしており、End-to-end プロテクションを実現している。更に世界で2番目に攻撃を受けている企業であることから多種多様の Threat Intelligence を有している。

2つ目は Microsoft Security Copilot である。OpenAI を使うことにより、数分でインシデントレスポンスができる、普段自分たちが見つけられなかったものが見つかる、など効率的、合理的に対応できるようになる。AI を活用 してどのように対応していくかが AI セキュリティで課題になってくる。

3つ目は Microsoft Security Portfolio であり、主要カテゴリの Microsoft Defender、Microsoft Sentinel、Microsoft Entra、Microsoft Intune、Microsoft Purview、Microsoft Priva、そしてその中心になるのが Microsoft Security Copilot であると紹介された。

Establishing a Data Protection Strategy with Microsoft Purview

このセッションでは企業における機微なデータ検討することが題材として挙げられた。

機微データとは、個人情報、銀行口座番号、コンプライアンスに関わる情報、 クレデンシャル情報のこと。どういったデータがあり、どのようなデータを守るのがこれからのセキュリティで求められる。

そして、機微データを合理的に扱うためのソリューションが Microsoft Purview である。様々なデータを Data Classification Service で分類し、機密レベルがどれくらいなのかを決める(ラベル付けする)、そのデータをどのように扱うのかを決定する。そして、様々なデータソースから DLP(Data-loss-prevention)にて機微データの漏洩を防止する。

Microsoft Purview とは
Microsoft Purview

Microsoft Purview

Microsoft Purview はガバナンス管理ツールであり、組織全体のデータと資産を可視化し、把握し、適切に運用することを目的としている機能。

Azure Purview というAzure 上のクラウドデータを取り扱う機能と、Microsoft ComplianceというMicrosoft 365 領域を取り扱う機能を統合し、Unified data governance と Risk&Compliance としてリブランディングしたサービス である。

また、Microsoft Purview には、「データ資産の可視性とガバナンスを管理」、「クラウド、アプリ、デバイス全体で機密データを保護」、そして「データリスクを特定し、規制コンプライアンス要件を管理」の3カテゴリの機能を備えており、機微データの取扱、ガバナンス管理、コンプライアンス管理を扱う機能であることがわかる。

最後に「いつもサイバーセキュリティを」という言葉で締めくくった。

 

Inspire Recap about AI

NECソリューションイノベータ株式会社
エンジニアリング推進本部
主任 亀川和史

今回のMicrosoft Inspire は、元々パートナーへの戦略を示すイベントと認識していたものの、ほぼ全てが AI に関連する発表だったと NECソリューションイノベータの亀川は語った。

全体概要

冒頭亀川は注目度の高いアップデートを紹介した。 まずは Microsoft 365 Copilot が30ドル/ユーザーで提供されること、Bing Chat Enterprise 提供開始、Meta との協業で Llama2 を Azure で優先的に提供、AI クラウドパートナープログラム開始、そして OpenAI 使用可能 Region が増える(日本でも使えるが GPT3.5-Turbo まで)という計 5つである。 これらはパートナー戦略向けの Inspire の中でもユーザーとして、技術者として是非とも抑えておくべきアップデートである。

Microsoft 365 Copilot

Microsoft 365 へアドオンするライセンスで、ユーザー当たり30ドルという金額で販売されることが発表された。あくまでも Copilot(副操縦士)なので、代わりにやってくれるというものではなく最終決定は人間がするという認識で使用するのが重要である。

Microsoft 365 Copilot の使用するうえで、これまでと変わらないものは人間同士の意識合わせや、AI による大量の提案の中から何を選ぶか・どこを修正するかという最終的な判断の部分。逆に Copilot で変化すると考えられるものは資料作成の手間の改善や、人間→人間という指示形態から人間→ AI という指示形態へ大部分が移るであろうとのこと。

特に後者は人間毎に今抱えている業務量などが細かく見えないため指示内容を達成できない場合があるが、AI であればいつでも好きな時間に指示して必ず実行してくれる、との見解を示した。

Microsoft 365 Copilotで変わる、変わらないもの

Microsoft 365 Copilotで変わる、変わらないもの

Bing Chat Enterprise

OpenAI のユースケースとしてイントラの情報検索に使用したい、という声が多かったが、検索エンジンではなく、それらしい回答を返してくるだけなので検索エンジンとして使うことはできない。組織内検索ができて組織内情報が守られ、AI を利用することができる Bing Chat Enterprise が発表され、こちらは検索エンジンとして使用できる。

ちなみに Bing Chat Enterprise は Microsoft 365 のライセンスの中に含まれる。

Microsoft Power Platform 2023 wave2

下半期に公開される機能紹介が行われ、GPT 利用による強化が中心となっていた。経験の少ない人、プロ開発者それぞれに向けた強化を予定している。

ただし Microsoft Power Platform はセキュリティとガバナンスについての設計や見直しがまだ大変であり、1年に1回程度は見直しをかけるがその時に Microsoft Entra ID まで見直さなければならないことが多く、注意が必要。

Microsoft Sales Copilot

Viva Sales から改名され、AI が様々な面から支援を行う。たとえば見込みのサマライズ、会議準備、サマリー作成、フォローアップ、そして文脈依存したメールを作成してくれる、など営業と顧客の接点となる部分を手伝ってくれる。

Azure AIブランドの変更

今までのMicrosoft Azure の AI サービス関連は名前がリリース順に決められてきたが、これからは Azure AI Services と Azure Machine Learning Platform という形に変更される。ただし OpenAI 関連に関してはブランド名の関係から継続して使用される。

最後に Microsoft Azure と Generative AI が一緒に成長していくのが FY24 の Microsoftなのではないか、と締めくくった。

 

執筆者プロフィール

安倍 幸大(あべ ゆきひろ)
サービスビジネス統括部セースルイネーブルメントグループ所属

今年からMicrosoft Azureのプロモーションと技術を担当。
まずは上級資格を取得しつつ、技術磨きに邁進中。