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今年のメインは ChatGPT を代表とする AI
「Microsoft Build 2023 Recap」セミナーレポート①Overview
日本マイクロソフト株式会社
パートナー事業本部 第一技術戦略本部
パートナーテクノロジーストラテジスト
渡部 正人 氏
2023年の Microsoft Build は ChatGPT を代表とする AI を絡めた製品と機能の発表がメインとなり、これまでの Microsoft のイベントで過去一番の盛り上がりだったのではないか、と日本マイクロソフトの渡部正人氏は語った。
Microsoft Build 2023 の特徴
50以上の主要アップデートが発表され、単に Microsoft 製品への AI 機能強化の発表だけでなく、独自アプリのAI機能拡張のためのフレームワークである Copilot stack や、AI 開発のライフサイクルを支援する Azure AI Studio、AI時代のアナリティクスサービスである Microsoft Fabric なども発表された。
今後、様々なMicrosoft 製品への AI 活用が進み、これから発表されてくる新製品に期待が高まる。
Data
日本マイクロソフト株式会社
パートナー事業本部 パートナー技術統括本部
クラウドソリューションアーキテクト(Azure-Data & AI)
西村 栄次 氏
ChatGPT に代表される AI がプラットフォームに変革を引き起こしている。現在、様々なSaaS サービスが開発しリリースされ、データの細分化が起きている。この状態で企業の要望を満たすシステムを SaaS の組み合わせで開発すると、多くの SaaS が必要となり、データの統合に終始して開発の大部分を占める事態に陥ってしまっている。
企業の CDO(Chief Digital Officer)は「我々が行いたいのはデータ分析であり、データ統合ではない」という言葉が出てくるようになった、と日本マイクロソフトの西村栄次氏は語る。
AI 時代のデータ統合から分析までを1つの場所で行える SaaS
データ分析をメインで行いたいという要望に、今回の Build で発表された Microsoft Fabric がそのニーズを満たす。
全てのデータを Microsoft Fabric の OneLake という場所に格納して、OneLake 内のどのデータをどのように加工するか、どんな AI モデルを作成して適用するか、そしてどのようにデータ分析して可視化するかについて、ユーザーの判断で機能を選択して使用できる SaaS である。
OneLake には外部サービスのデータも参照できるようになっており、Microsoft Fabric であらゆるデータを1か所にまとめて格納し、分析に係わるチームメンバーがコラボレーションしながら分析ができるようになる。今後の動向に注目である。
AI
日本マイクロソフト株式会社
パートナー事業本部 パートナー技術統括本部
クラウドソリューションアーキテクト(AI)
花ケ﨑 伸祐 氏
これからは、Copilot のようにアプリケーションに生成 AI を追加するものが登場し、その開発に利用できるのが今回発表された Copilot stack というフレームワークである。
- ・AI モデルは学習させたデータの範囲内でしか回答できない
- ・ChatGPT 以外のモデルも使用できるように
といった弱点部分、機能拡張の両方を視野に入れたものである。
主な内容は以下の3つとなる
- 1.ChatGPT Plugin を使用することでモデル外の情報を多く取得して回答させる
- 2.AI オーケストレーション(データの取得やツールの選定を自律的に行うエージェント機能など)
- 3.基盤モデルの選択(既に用意されているものでも自分で作成したものでもよい)
このフレームワークを参考にすることで ChatGPT 以外のモデルや学習データになかった範囲の回答をしたり、複雑な指示を含む質問に対して、複数のツールを自律的に選択してタスクを解決したりできるようになる。
Azure OpenAI Service の更なる機能拡張
Azure OpenAI Service on your data という独自データの利用ができる機能が追加された。
この機能で、そのままの ChatGPT では回答できないような内容に対して、独自データを入れこむことにより回答させることが可能になる。
実際に日本マイクロソフトの花ケ﨑氏はデモンストレーションを行い、予め Azure Cognitive Search の検索インデックスにデータを追加しておくことで、スムーズに On your data から接続するデモンストレーションを行った。
更には、Azure App Service を利用してチャットサービスがすぐにデプロイ出来ることを披露し、PoC(Proof Of Concept)にも効果的に活用が出来て、かつ組織内データにおけるAI 活用へのハードルが低くなってきていることを体感するものであった。
また、AI ならではの問題である回答内容の安全性という観点で開発者を支援する機能が発表された。Azure AI Content Safety というもので AI の回答をヘイト、性的、自傷、暴力の4カテゴリで評価し、問題のある回答を排除、AI の回答を安全なものにするという機能である。この機能は Azure OpenAI Service にも実装されている。
執筆者プロフィール
安倍 幸大(あべ ゆきひろ) 今年からMicrosoft Azureのプロモーションと技術を担当。 |