オーシャントランス株式会社様
船員120名の配乗管理と給与計算業務をシステム化
業務効率化によって創出したリソースを重要施策に注力
業種 | 運輸・物流,サービス業 |
業務 | 人事・総務 |
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製品 | その他 |
ソリューション・サービス | 共通業務/ERP |
事例の概要
課題背景
- 配乗管理と船員給与計算はシステム化が難しく、運用が属人化していた
- 業務フローが紙ベースで行われており、二重入力や煩雑な計算が発生していた
成果
パッケージベースのシステム化
業界固有の複雑なルールを反映したシステムをパッケージベースで構築。属人化した業務を標準化
二重入力などの無駄排除
配乗・船費データと給与システムを連携することで、二重入力などの無駄を排除
人材を重要施策にシフト
システム化で創出した時間を、経営判断のための分析や、安全運航強化の施策づくりなどに振り分け導入ソリューション
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事例の詳細
導入前の背景や課題
配乗管理と船員給与計算はシステム化が難しく、運用が属人化していた
オーシャントランス様は、東京-徳島-北九州を結ぶ長距離フェリー事業を核に、内航および外航海運事業を展開する、沿海旅客海運業界のトップ企業です。
2014年、同社は2年後に予定している新造大型船の就航に向け、社内業務の効率化を図ることにしました。「とりわけ、船員120名分の配乗管理と給与計算が、ボトルネックになっていました。これらの業務フローは非常に複雑であり、システム化できていないプロセスがかなりあったのです」。専務取締役 徳島支店長の伊川重夫氏は、当時の状況をこのように話します。
例えば配乗計画の立案では、各船員の免状や経験年数、休暇日数などを考慮した緻密な割り当てを行う必要があります。市販パッケージは適用できず、同社は紙ベースで行っていました。また、船員給与のシステムは、「オフコン以前の時代から使っている独自システムで運用していました」と、船員労務部 課長代理の日永田直紀氏が説明します。
船員労務部の浦久美氏は当時の苦労を次のように語ります。「船舶側から紙ベースで報告される配乗実績表と船費実績表を基に、すべての項目を手作業で入力し、給与計算を行うのですが、運航状態に応じた時間外手当や執職の際の上乗せなど、複雑なルールを正確に反映させる必要がありました」
こうした特殊性から、配乗管理と船員給与の計算は、特定の社員しか担当できない業務になっており、新造大型船就航などの事業計画を遂行する際にも、人材の機動的な異動が難しい状況にあったのです。
選択のポイント
海運業界の深い知識と、パッケージを用いた
データ連携の提案、法改正への対応力などを評価
配乗管理と船員給与計算業務のシステム化にあたってオーシャントランス様は、SIベンダ数社に提案を依頼。検討の結果、「EXPLANNER/Ai給与」をベースとした船員給与テンプレートを用いて、配乗・船費データと給与データを連携させるというNECネクサソリューションズの提案が選定されました。
「商談を進めていく中で、NECネクサソリューションズは海運業界の深い知識とノウハウを持つベンダだということがよくわかりました。ERPパッケージをベースに、配乗・船費と給与のシステムを連携させるという発想は我々にはなかったもので、これによって担当者の負荷が軽減され、業務の効率化が図れると判断しました。さらに、社会保険や所得税に関する法改正にも対応しており、このパッケージなら間違いないと確信しました。社内検討では、同列で比較できるベンダは存在せず、同社だけが抜きん出ていたという印象でした」(日永田氏)
このほか、配乗計画と給与計算を誰もが担当できるしくみに転換していける点、ヘルプデスク窓口などのサポート体制も高く評価されています。
導入後の成果
二重入力などの無駄排除、人為的ミスの防止など、業務効率化が実現
プロジェクトは、2015年5月にまず一次ステップ(陸員が関わる業務のシステム化)が完了しています。配乗管理においては、専用のExcelシート上で作成した120人分の配乗実績データと船費データを、「EXPLANNER/Ai給与」へ自動的に取り込めるようになっています。船員労務部 主任の磯木信大氏は、次のように導入効果を語ります。「従来はモノクロの用紙を使用していたので、配乗計画の記入や実績確認などの際、ヒューマンエラーが発生することもありました。新システムでは船舶ごとに色分けされた入力フォームになり、記入ミスなどが起こりにくくなっています」
また給与計算業務における導入効果については、「配乗表を基に全船員の乗船日数や休暇日数を入力する作業が不要になり、船費も自動で取り込まれますから、パソコンを使った業務時間は確実に減っています。また、船ごとに入力した作業手当、転船した際の手当などを船員ごとに合算し、給与結果に反映させる機能が追加されたことで事前計算や確認ミスが起きにくくなり、心理的な負担も軽減されました」(浦氏)
同社では、社会保障・税共通番号制に係る法律の施行に合わせて「マイナンバーBPO収集サービス」も導入。「EXPLANNER/Ai給与」と組み合わせることで、特定個人情報の管理などに伴う業務を効率化します。
二次ステップでは、船舶内部の業務をシステム化していく計画です。「配乗実績と船費実績を船舶側で入力してもらうことで、船員も陸員も負担が減り、一層の省力化が実現できます」と日永田氏。伊川氏は「二次ステップでは電子承認を導入し、ワークフローによる承認管理を実施します。紙を介在させず、完全に電子化することで、情報セキュリティの強化も図れることになります」と説明します。
同社では、システム化によって創出した時間を配乗実績データを用いたシミュレーションなど経営判断の材料となる資料の作成や、安全運航強化の施策づくりなどに充てていく考えです。
NEC担当者の声
船員給与と会計システムのデータを連携させ、
船舶別収支状況を把握しやすい仕組みづくりをサポートしていきます
海運企業において、船員給与のデータは最終的に会計システムに取り込まれることになります。弊社の基幹業務パッケージ「EXPLANNER/Ai」では会計モジュールも提供しており、その中で、海運業に特化した船舶別の収支を算出する「海運業向け損益管理テンプレート」もご提案しています。
オーシャントランス様においては現在進行中の二次ステップにおいて、システム化によりデータ化された船員関連情報の有効活用および船員関連費用の分析強化を進めたのち、「EXPLANNER/Ai 会計」と「海運業向け損益管理テンプレート」を用いた、配乗・船員給与システムとのデータ連携をサポートしていく計画です。
新造大型船の投入による競争力強化・安全運航強化など、会社組織全体で推進されている施策を踏まえ、今後も「あるべき姿」を実現するためのシステム化をご支援していきます。また弊社が蓄積してきたノウハウを用いて、海運業界各社の課題解決にも貢献したいと考えています。
海運業界における配乗管理・船員給与の知識・ノウハウを
蓄積してきたことが、オーシャントランス様から高く評価されました
弊社では、海運企業のIT導入支援などを通じて、配乗管理や船員給与についての知識・ノウハウを蓄積してきました。この点をオーシャントランス様に評価いただけたことが、「EXPLANNER/Ai給与」をベースとしたシステム化提案を選定いただいた大きな理由だと認識しています。
約2カ月にわたる構築フェーズでは、あらかじめ全ての打ち合わせごとに明確に議題内容やゴールを決め、それを確実に達成することで当初のスケジュールを遵守できました。また、配乗・船員給与システムの開発経験のある弊社内のメンバーを確保し品質向上に繋げました。
現在、陸上で管理されている配乗表や手当の入力表を、今後は船員の皆様が船内で入力していただくことが、二次ステップにおける目標のひとつとなります。この目標に向かって、現状の運用の一部を変えていただく必要もあります。船員様にとって入力しやすいインタフェース開発など、2017年のカットオーバーに向けて一層貢献していく考えです。
お客様プロフィール
オーシャントランス株式会社
本社所在地 | 東京都中央区築地3丁目11番6号 築地スクエアビル4階 |
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設立 | 1971年12月 |
資本金 | 12億円 |
従業員数 | 206名(2013年3月31日現在) |
事業内容 | 海上運送業(一般自動車・旅客) 内航運送業及び内航船舶貸渡業 ほか |
URL | https://www.ocean-trans.co.jp/ https://www.otf.jp/ |
この事例の製品・ソリューション
(2016年6月3日)
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