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第69回 電気科学技術奨励賞並びに文部科学大臣賞 受賞
未登録の対象人物を発見する映像検索技術

2021年12月27日

電気科学技術奨励賞は、公益財団法人 電気科学技術奨励会が主催する顕彰です。昭和27年からの歴史があり、日本の電気科学技術に貢献した功労者を表彰し続けてきました。第69回 電気科学技術奨励賞では、NECから応募した3件がすべて受賞し、うち1件が特選となる文部科学大臣賞を受賞。本記事では、文部科学大臣賞を受賞した研究者の喜びの声をお伝えします。

西村 祥治
NECグローバルイノベーション戦略本部
主任研究員
劉 健全
NECバイオメトリクス研究所
主任研究員

受賞技術

百万人規模の映像から 10 秒で未登録の対象人物を発見する映像検索技術の開発と実用化

膨大な映像データから未登録の対象人物の検索を高速・高精度で実現する世界初の技術。生体認証を用いて異なる場所・時間の映像内に登場する同一人物をグルーピングすることができる。

受賞者の声

西村 祥治

2001年入社。データ工学やデータベースを専門とし、学会での論文表彰も多数。現在は企画部門に移り、NECの研究技術を社会へ実装するために積極的な支援に取り組んでいる。今回共同受賞した劉 とは10年近く同じチームで研究を進めてきた仲。

Q1:受賞された感想はいかがですか?
非常に嬉しいです。研究者の道を選んで良かったと感じています。特に、この技術は一度挫折を経験しているので、感慨も大きいですね。本研究がはじまったのは2012年です。ちょうど第三次AIブームの黎明期でした。これからは高速映像検索が必要になるだろうと見越して立ち上がったのです。急いで今回の技術の原型を完成させ、製品化まで実現させることができたのですが、まだ当時はお客様側でデータが蓄積されておらずニーズがなかった。そのため、予定されていた実証実験が打ち切られてしまったのです。それから1年半くらいはコンセプトの再考やニーズの深堀に取り組んでいました。


Q2:どんなことが今回の受賞につながったと考えていますか?
研究が頓挫している間に、技術の見方を変えることを思いつきました。大量のデータからすばやくターゲットを検索することに終始するのではなく、本技術が持っていた「似たものをまとめる機能」に注目したのです。技術は同じなのですが、技術の捉え方を変えました。これがターニングポイントだったと思います。似たものをまとめると、同じ場所に現れる人物を検出し、「頻度」がわかるようになります。そこからうろつきや迷子などの行動認識に結びつけることができる。このように打ち出すと、事業部の人にもすごく興味をもってもらえましたし、幹部にもすごい技術じゃないかと言ってもらえるようになりました。また、私たちのようなデータベース研究という縁の下を支えるようなチームにとっても、フロントまで出られる打ち出しができるのだという好例をつくることもできました。


Q3:これからの目標は?
私は現在、研究企画部門に異動して研究所全体の技術を見る立場にいます。今回の技術研究で培った経験を活かして、他の研究にも「技術を違った視点で再定義する」ということを進めていきたいです。研究所にはたくさんの技術がありますが、応用が難しい状況になっている技術に対しても示唆や新しい視点を与えて、一つでも多くの技術が花開くように取り組んでいきたいと思っています。

劉 健全

2012年に入社以来、西村のもとで本技術の研究に取り組む。主にデータベースや類似検索(高次元)で活躍し、NECでも行動検出技術など多数の技術をリリース。学会でも多数の論文が採択されている。

Q1:受賞された感想はいかがですか?
非常に嬉しいです。今回受賞した技術の原型となった映像検索技術は、2012年に製品化まで実現したものの、海外に出荷して実証実験をやろうとしたところで一度打ち切られてしまったという経緯があります。まだ当時はお客様側でデータの蓄積がされておらず、市場が追いついていなかったんですね。私たちのほうで先読みしすぎてしまっていた。その挫折を乗り越えて、頑張ってきた努力が報われと感じています。


Q2:どんなことが今回の受賞につながったと考えていますか?
未登録の人物を発見するというコンセプトを打ち立てられたことだと思います。これまでの映像検索や生体認証は、事前に登録された人物を探して認証することが中心でした。しかし、私たちの技術を活用すれば、登録されていない人物でも、異なる時間、場所の映像のなかから同一人物を検出して結び付けることができます。ここから登場頻度などの情報を活用していけば、不審なうろつきや迷子などといった意味づけを行うことができることに気づいたのです。このような発想の転換が大きかったのではないかと思います。


Q3:現在、新たに取り組んでいることはありますか?
さまざまな分野での応用に展開していきたいと考えて、研究に取り組んでいます。現在も街中の見守り用途だけでなく、テレビ番組の出演者を検索する技術などですでに製品化されご活用いただいていますが、他にもたくさんの使途があると考えています。たとえばマーケティングへの応用です。同じチェーン店で複数の店舗をまたいで検出された人は、何か探しているものが見つからなくて困っているかもしれません。テーマパークであれば、頻繁にくるお客様に対して年間パスの購入をレコメンドすることもできるでしょう。発想次第で柔軟に応用ができると思いますので、そういったアプリケーションの研究を進めています。

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