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研究もビジネスもいいとこどり!
気鋭の才能が結集したチーム
「技術価値創出本部」って何?

2021年12月21日

これまで研究してきた成果やノウハウを生かしたい。でも、社会に役立ち、世界にインパクトを与えるような大きいビジネスにもチャレンジしてみたい――そんな企業における応用研究の醍醐味を感じられるフィールドが、2020年に発足した技術価値創出本部だ。研究者と事業部門の間に立ち、コア技術を生かすソリューションを組み立て、サービスのローンチに向けて具現化していく。

幅広い技術への深い知識はもちろん、エンジニアリングやビジネスにも造詣が深くなければできない仕事だ。そして、そのぶん業界において唯一無二の存在に近づくことができる。技術トレンドの変化にも揺るがない確固としたキャリアも構築できるだろう。そんな研究もビジネスもいいとこどりできるNECの技術価値創出本部とは一体、どんなところなのか? 本部長が答えます!

研究技術という種を、よりインパクトのある大きな価値へ

― 技術価値創出本部って、どんな組織なのでしょうか?

研究所の技術が社会やお客様の課題解決につながるように、かたちにしていく組織です。20世紀初頭、ヘンリー・フォードは車を大量生産することに成功し、社会に大きな変革をもたらしました。当時は、まだ馬車が走っていた時代です。そんな時代に、世間の人々が気づいていなかった車というプロダクトを市場に流通させることに成功したわけです。ちょっとだけカッコつけて言えば、私たち技術価値創出本部もヘンリー・フォードと同じようなことをめざしています。最先端の技術から、社会課題を解決する新しい価値を生み出すことが私たちの目標です。

例えば、NECでは世界トップクラスの技術をたくさん研究していますが、研究者が優秀なAIのアルゴリズムを生みだしても、研究技術そのままでは社会の実環境で動かすことはできません。仮に動いたとしても、お客様にとっては何のメリットもないのです。その技術を使ってどんなアプリを組んで、社会やお客様にとっての価値を生み出していくか。他の技術と組み合わせて、価値をどう拡張していくか。そのようなことができなければ、社会に大きなインパクトを与えることはできませんし、ビジネスとしてもスケールしません。

そこで、まずは私たちが技術をしっかりと理解する。そして、先進的なたくさんのお客様とコミュニケーションをすることで、お客様がお金を払ってでも解決したい困りごとを探し出していきます。さらには、お客様に試してもらいながら、性能、コスト、オペレーションなどの多様な観点で改良したり、他の技術と組み合わせたりしてお客様にとっての価値を検証していきます。こうして得られた成果とともに技術を事業部に移管して、製品化フェーズに移行させるのです。私たちは、そのような役割を担っています。

― 2020年に設立されたとのことですが、なぜこのような組織が必要になったのでしょうか?

変化が激しくなる時代のなかで、社会を構成する業界毎の真の課題を的確にとらえて、よりスピーディに製品やサービスとして世に出していく必要が生じたということが大きいですね。現代は「VUCA*」の時代と呼ばれています。そのような複雑で変動性が高い世界のなかで、未来を的確に予測することは困難です。お客様ご自身が課題を明確にできない場合も多い。馬車の時代に「車が欲しい」と言う人はいないのと同じですよね。明確な方向性がない時代においては、お客様と一緒になって技術を活用した新しい社会価値を探索し、生み出していかなければいけません。

従来のようにしっかりと時間をかけて作り上げたとしても、全くうまくいかないリスクのほうが大きい。世界的にも、MVP(Minimum Viable Product)をつくって、その改善を繰り返していくというやり方が主流になっています。ですから私たちは応用研究から開発へのスピードを速め、ユーザが求めるものを探り、かたちづくっていく必要があります。そのために、いわゆるアジャイル型開発へ転換し、実績を積んだうえで、その活動フレームワークを研究所へも展開していく予定です。

  • *
    Volatility(変動性)・Uncertainty(不確実性)・Complexity(複雑性)・Ambiguity(曖昧性)の頭文字をとった言葉
技術価値創出本部
本部長
葛野 浩史

エンジニアリング・テクノロジーデザイン・事業開発の三位一体

― 本部のメンバーは具体的に、どんなことをしているのですか?

メンバーは大きく二つに分かれています。一つは、リサーチエンジニアと呼んでいる研究技術に通じたメンバーです。リサーチエンジニアは、研究者が開発した技術のアルゴリズムを改良したり、機能・品質の向上を図ったりすることで、お客様の求める製品として具現化していく人財です。研究職と事業部双方の経験のある者が多く、要素技術の深い理解と製品化に求められる非機能要件や品質などを理解しているのが特徴です。

活動がイメージできるように、具体的なケースをお話ししましょう。例えば研究段階のAIの分析技術は、非常に高性能なハードウェアのもとで、研究の世界で標準となっているデータセットを対象にしたときに高い精度が出ると確認できたものであることが多いものです。しかし、いざ製品化するとなれば、当然お客様に導入してもらえるような広く普及したハードウェアで運用する必要が生じます。さらには、現場の業務で使用される実用的なデータ量、例えば100万件のデータで動かす必要が生じたり、長期間にわたって運用し続けたりする必要も生じるでしょう。

すると、研究段階の技術のままではお客様が求める時間内では動かないなど、さまざまな不具合が出てくることも多いのです。そこで、私たちがうまくこの問題を解決していきます。研究成果である独自のアルゴリズムはそのままに、例えば内部の処理を並列分散処理方式にして、全てメモリ上で処理を行っている部分をデータアクセスに工夫しながらデータベースを利用可能にしたり、あるいは、一部の処理を近似処理に変更することで精度を大きく損なうことなく実行速度を向上するようにプログラムの書き方を工夫したり――。あらゆる工夫を試みて、製品のベースとなる実装をしていきます。

また、リサーチエンジニアのなかには、私たちが内部で「テクノロジーデザイン」とよんでいる仕事を行うメンバーもいます。コア技術の他に組み合わせるべき技術を適切に選び出して、より大きな価値につくりあげる人財です。何かお客さまに困り事があったとき、たとえ研究技術を使ってそのうちの一要素だけを解決できたとしても、お客さまはわざわざその一部分だけを解決するためにシステムを入れ替えようとはしないでしょう。お客さまにとって投資対効果が高い業務スコープ全体の課題解決が必要です。だからこそ、コア技術に加え、適切な技術を組み合わせて価値をスケールさせる必要が生じます。

例えばAIの分析では、お客様のデータをそのAIが解きやすいかたちに変換する入力部分や、結果をわかりやすく伝えられるようにデータをまとめ上げたり表示の仕方を工夫したりする出力部分、そして分析の次の業務プロセスとなる対処も加えるなど、既存の技術や当社の他の研究成果を組み合わせる知見と発想が必要です。さらにはお客様の要件をもとに運用フェーズも踏まえたシステム要件の策定やシステム全体のアーキテクチャ設計のスキルも求められます。私たちのチームにとって、とても貴重な存在です。

― リサーチエンジニアのほかには、どのようなメンバーがいるのでしょうか?

そうですね。二つに分かれていると言ったうち、もう一つの役割がビジネス・デベロッパーです。世の中で広く一般的に言われているビジネス・デベロッパーと同じように、ビジネスモデルやエコシステム形成をデザインして事業開発を牽引していく人財です。しかし、私たち技術開発創出本部のビジネス・デベロッパーは、技術についての深い理解も持ち合わせています。研究者と密に連携しつつ、リサーチエンジニアとビジネス・デベロッパーが両輪となって活動することで、研究所のコア技術を起点とした価値創出を加速させていくのです。

業界の顔になる第一人者をめざせ

― 技術価値創出本部では、どんなキャリアが築けるのでしょう?

まず当本部では大きく三つの観点での学びを得ることができます。一つ目はNECが研究しているAI、セキュリティ、ネットワークなどの世界最先端の技術に触れて、深く理解できるという学びです。二つ目は、官公庁を含めたさまざまな業界の構造や専門知識を理解できるという学びです。NECが幅広いお客様とお取引しているからこそのメリットですね。三つ目は、既存事業の拡大のケースと新規事業の創出のケースの双方を体験し、事業を作る過程を理解できるという学びです。

これらの学びを同時に得られる場は非常に貴重です。それを活かして自分のキャリアをどのように築いていくかは、ご本人の意向によって、幅広い選択肢があるでしょう。いくつか例を挙げてみます。
まずは、ある技術領域での専門性を高めてエンジニアのスペシャリストとして活躍する道です。常に最先端の技術や開発手法を学び、プログラム規模が大きい技術や非常に難解なアルゴリズムのスピーディな実装、さらにはそれらの活動を通じた論文投稿など、研究の一翼を担うことができるでしょう。

あるいは、プロダクトマネージャーとして活躍することもできるでしょう。技術の製品化後も常に技術を更新してプロダクトを成長させていく役割です。技術の動向を深く理解する一方、ビジネスやプロダクトに求められる要件もしっかりと理解する。そのうえでお客さまとともにニーズを探索し、コストも考慮しながら、何を研究・開発すべきかを適宜判断していく。事業部に移管後のプロダクト成長にも大きな影響を及ぼす人財をめざせます。

さらに、もう一歩事業側に踏み込むキャリアも選べるでしょう。越境人材といった言葉があるように、ビジネスの知見・経験を増やしてビジネス・デベロッパーの役割を担い、最終的にそのプロダクトがコアとなった事業の責任者になることもあり得ます。事業責任者になるルートも、NEC社内だけでなく、dotDataの事例のようにスピンアウトしていくルートもあるでしょう。
いずれにせよ「この技術についてはこの人に聞け!」、あるいは「この事業についてこの人に聞け!」というような貴重な存在となっていくはずです。

― 技術価値創出本部は、どのような人たちと一緒に活動したいでしょうか。

まずは、これまでお話ししてきたような当本部が目指していることに共感してもらえる人ですね。次に、意識と行動の観点でいうと、まずはやってみようという気持ちがあることは重要だと思います。新しい技術を使って新しい価値を生み出していくことは、どうしてもたくさんの壁にぶつかります。その壁を前にただ立ち尽くしていては乗り越えることはできません。トーマス・エジソンが、「成功する人は、思い通りにいかないことが起こるのは当たり前だと分かって挑戦している。」と言っていますが、そのような心構えで困難を成長の糧にできる人が望ましいと思います。

とはいえ、技術価値創出本部は、できて間もない組織です。これから組織として重要な意識(思考)と行動は何かを一緒に考えて組織の文化をつくっていけるような、そんな人といっしょに仕事をしたいと思っています!

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