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学生のみなさんへ2022インタビュー:戴 岑容
2022年1月31日
衛星画像の新たな可能性を追求

データサイエンス研究所
戴 岑容(タイ サンジョン)
香港大学でコンピューターサイエンスの学士号を取得した後、香港科技大学で情報技術の修士号を取得。2019年にNECに入社。専門はAIと機械学習。
衛星画像技術を次なるレベルに進化させる
私は、NECデータサイエンス研究所の衛星物体認識チームの一員として勤務しています。現在は、合成開口レーダー(SAR)画像と呼ばれる、一般的な光学画像とは別のタイプに着目して研究を進めています。
SARでは、昼夜や天候を問わず広範囲にわたるリモートセンシングが可能です。そのため用途も多様で、なかでも地震や洪水など災害・緊急時に被害の程度を高度に推定できる点は注目されていてます。迅速な救助活動や、復興計画をサポートすることが可能です。
利用可能なデータが高価であることが現在の課題ですが、いま私たちはこの問題を解決するために機械学習をベースとしたアルゴリズムの開発に取り組んでいるところです。最新の研究では、あるデータセットから別のデータセットに知識を適応させるために転移学習技術を活用しています。これにより、トレーニングにおいて必要となるSAR画像の数を減らすこともできるのです。本技術が活用されれば、安心・安全を守るためのさまざまなシーンで役立てることができるはずです。まだ研究は初期段階にありますが、次なるレベルへと前進させることができるよう日々取り組んでいます。
専門性への敬意、研究者への信頼

2019年に入社して以来、NECは私のデータサイエンティストとしての専門性を尊重し、信頼してくれていると感じています。おかげで、組織にもスムーズに溶け込めました。NECの研究所は、研究者に対する敬意と信頼に支えられている環境です。特に、業務時間の20%以内であれば自分の好きな研究ができる「20%ルール(注)」は研究者に対する会社の敬意と信頼の表れだと思います。このルールの下で、研究者一人ひとりが勤務時間の約80%を現行の研究に費やし、残りの20%を自由なイノベーションのために使っています。
私個人としてはこのルールを活用し、衛星画像解析プロジェクトのほかにシンガポール研究所のチームとともに映像セキュリティの共同プロジェクトに携わっています。衛星画像解析も映像セキュリティも物体の正確な認識を目指すという目的は同じですが、データ形式とアプリケーションが異なります。この二つのプロジェクトに取り組む利点は、双方が密に関連しているという点です。一方のトピックで使用されている方法を調べると、もう一方のトピックの解決策につながることがあるのです。
より良い社会の構築に貢献することをめざし、専門知識を最大限に活かすことができる機会が与えられ、日々刺激を受けています。
- (注)研究所によって15%~20%と割合が異なる
世界の大学や研究者とのネットワーク構築を通じてイノベーションの創出に貢献

今後も引き続きNECで研究者としてのキャリアを積み、より少ないデータソースから必要な情報を抽出できるアルゴリズムの構築に取り組んでいきたいと考えています。衛星画像データが非常に高価であることからも、この分野におけるイノベーションが不可欠です。外部との連携の機会も積極的に探っていきたいと考えています。
入社して間もない3年目には、国際会議で世界的な知名度を誇る大学や研究施設の教授や研究者との関係構築を行うようにという大役を任じられたことがありました。国際的な橋渡しとしての役割を果たしつつ、将来のイノベーションにつながる新しいアイデアを会社にもたらすことができ、やりがいを感じた出来事でしたね。
今後もNECがグローバル規模で社会に貢献し、存在感を高めていくためには、高度な専門知識と英語力が求められます。このことからも、NECの研究所では英語でコミュニケーションをとっています。日本語のレッスンもありますが、必須ではありません。多国籍企業として多様な文化を受け入れることが、成功を持続させると信じているからだと思います。NECは、多様な視点や異なる見解の共有を奨励し、研究者が大いに活躍できる環境づくりにも注力している場所だと感じています。

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私の一日ご紹介


学生時代の自分へ

休日何してる?
NECに入社して以来、日本語の勉強をはじめ、ハープのレッスンを受けるようになりました。入社するまでは日本語を勉強したことがなかったので、話すのはまだ少し難しいですが、話される内容は理解できますし、同僚とも日本語でメールのやり取りをします。会社の外に出ると、日本人と間違われて日本語で話しかけられます。頑張って返答しているうちに日本語も上達しました(笑)。仕事の後に受けるハープのレッスンは、数字とデータの解析が続くデータサイエンスの世界で丸一日を過ごした後の、大切なリフレッシュの時間です。そのほかにも休日はハイキングやキャンプも楽しんでおり、周りの美しい自然との一体感を楽しみつつ、達成感を味わっています。

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