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学生のみなさんへ2025インタビュー:ソウラブ サハ

2025年4月9日

ソフトウェアの研究開発とプロモーションに従事

ソウラブ サハ

セキュアシステムプラットフォーム研究所
主任研究員
Sourav Saha (ソウラブ サハ)

インド出身。大学でコンピュータサイエンスを専攻後、NEC Technologies India Pvt. Ltd.に入社。高性能コンピューティング、分散プログラミング、コンパイラ設計などの知識とノウハウをもとに、ベクトル型スーパーコンピュータの最適化などに従事する。日本への常駐勤務を経て、2021年にNECへ入社。データ分析の前処理を高速化させるソフトウェア「FireDucks」のディベロッパーアドボケイト 注1)として、世界中のコミュニティと交流を進める一面も持つ。

最適化のスペシャリストとして「FireDucks」を開発

私は大学でコンピュータサイエンスを学んだ後、NEC Technologies India Pvt. Ltd.に入社しました。ベクトル型スーパーコンピュータの最適化やAIを用いたビッグデータソリューションの研究開発に取り組み、2016年には日本に常駐してオンサイトで業務を行うようになりました。もともと日本文化に興味があったこともあって日本語の勉強を進めていたのですが、これを機に語学学校に通うなど本格的な勉強を始めました。ゆくゆくはこのまま日本で働き続けたいと考えるようになっていたのですが、ちょうどその頃NECで当時の業務と同様のポジションで募集をしていることを知り、これに応募しました。縁あってNECへ2021年に入社することになり、現在に至ります。
いま取り組んでいるのは「FireDucks」というデータ分析用ソフトウェアの研究開発です。これは、プログラミング言語「Python」を用いたデータ分析で標準的に使用されているライブラリ「pandas」を高速化するものです。データ分析の現場ではコンピュータの処理時間が大きな負担になっていますが、これを軽減することをめざしています。2023年にβ版を公開して以降、世界中でユーザを拡大しています。
ユーザーの反応を見ながら課題やニーズを見つけ、製品に素早くフィードバックすることが主なテーマです。

研究と開発の境界は無い

少なくとも現在の私のチームにおいて、研究と開発の間に明確な境界はありません。私自身、その両方に携わっています。研究フローの最初にあるのはニーズです。ユーザが困っていることにニーズがあって、それを解決する方法を考えることから研究が始まります。良い結果を生むための様々なアプローチを考え、並行して論文化や特許化も考慮しながらプロトタイピングを進めます。そして、プロトタイプへのユーザの反応を見ながら製品化を進めていくのです。従って、研究と開発には大きく重なる部分がありますし、研究者とエンジニアのように職務を明確に切り分けることはできません。学術的な世界で思い描かれる「研究者」のように基礎的な研究や論文作成だけを行うわけではありませんし、一般的に想起される「エンジニア」よりもはるかに自由があって、自分自身で考えながら試行錯誤することができます。このような研究開発は、NECの研究所ならではの面白い点なのではないでしょうか。
また、NECの研究所に来て感じるのは、自由度が高く、チームワークが非常に良いということです。何かやりたいことがあったら、そのメリットをきちんと伝え、さらにそれがきちんとユーザのニーズにつながることであればチャレンジすることができますし、周りもしっかりとサポートしてくれます。生体認証や画像処理、ハードウェアなど様々な分野において世界トップレベルの研究者が近くにいるので、アドバイスを聞くことができるのもポイントです。

ディベロッパーアドボケイトとして活動

私はいま「FireDucks」のディベロッパーアドボケイトとしても活動しています。ディベロッパーアドボケイトとは、ユーザとつながってソフトウェアに対する反応を直接拾い上げ、機能開発にフィードバックする役割です。LinkedInやHacker News、X等の様々なSNSで反応を収集しつつ開発チームの代弁者としてコミュニケーションを図るほか、世界中のリアルなコミュニティにも参加して「FireDucks」の魅力や使い方についてプロモーションしています。
例えば昨年はインド国内で開催された様々なIT系のミートアップに20回ほど登壇したほか、パリで開催された大きなカンファレンスでも発表しました。大学で学生向けの説明会を実施したりもしています。最近では私が登壇すると、だんだんと人が集まるようになってきました。会場では「FireDucks」を知っている人から質問がきて議論をしたり、初めて知ったという方からは使ってみてフィードバックしたいという声をいただいたりすることができます。こうしたリアルな場で知り合った人とSNS上でも繋がり、さらにその友人たちと繋がっていくというのも非常に刺激的です。私はもともと人とコミュニケーションをとることが大好きなので、こうした役割に携わることができるのはとても嬉しいですね。毎月100万ダウンロードという目標に向けて、これからも積極的に取り組みを続けていきたいと思っています。

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休日何してる?

料理が趣味で、母から教わった料理は妻にも喜んでもらっています。料理はイノベーションにも通じるものがありますよね。黙々とつくると、気持ちのリフレッシュにもつながります。また、自然を感じられる場所に出かけることも好きで、河口湖や箱根、伊豆の城ヶ崎海岸にはよく行きますし、紅葉のときには高尾山に登ります。花や野菜を育てるのも好きで、種から育てて芽が出てくるときは最高の瞬間です。暖かくなって種をまくことができるのを今から心待ちにしています。

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