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学生のみなさんへ2024インタビュー:ヘマント プラサド
2024年3月19日
光ファイバセンシングでより良い社会づくりに貢献したい

デジタルテクノロジー開発研究所
リサーチャー
ヘマント プラサド(Hemant Prasad)
インド出身。大学では地理情報学と自然資源工学を専攻し、衛星画像処理と人工知能技術を応用して地球温暖化と氷河の融解の影響をとらえる研究に従事。修士号を取得後、2020年1月にNECに入社。
光ファイバを使って、交通状況をモニタリング
NECに入社後、私は長く「光ファイバセンシング」技術の研究に取り組んできました。この技術は、光ファイバから振動・温度・音などを測定し、さまざまな情報解析に活かそうとするものです。例えば、いま私たちは高速道路での交通状況モニタリングへの応用に取り組んでいます。光ファイバの情報を解析し、車両の速度、台数、密度、車線占有などの詳細な情報を求めることを目指すものです。交通状況モニタリングでは、これまでカメラなどのセンサーが使用されてきましたが、これらは位置が固定されており、視野が狭く、広範囲に設置するには多大な費用がかかってしまいます。これに対し、光ファイバケーブルは道路の全域をカバーできますし、インターネット用などに使われている既設のケーブルをそのまま利用することができます。
道路は人の生活に欠かせないインフラであり、特に高速道路を効率的に運用することの重要性は計り知れません。渋滞や交通事故の早期検出はCO2排出量を減らすだけでなく、橋梁や構造物の予知保全や自動運転技術の応用にもつながりますから、このような分野での仕事ができることに私自身とても満足しています。現在、私たちは日本の多くの高速道路を中心にプロジェクトを進めていますが、これは世界各国の道路にも応用可能だと考えています。
本技術の研究成果は定期的に国内外の学会で研究論文として発表してきました。交通とモビリティの分野で最も影響力のある国際会議の一つであるITS World Congress(ITS-WC)では口頭発表の機会も得ています。2022年と2023年には、私たちのチームの研究論文が連続して最優秀論文賞を受賞することもできました。
オープンに意見を交換し、フィードバックから学べる環境

NECに直接興味を持ったのは、大学の先輩がNECに勤めていて、職場環境や研究内容について好意的に話してくれたのがきっかけです。また、NECに入社する前から、NECが生体認証や海底ケーブルシステムのような先進技術を持つグローバルな技術リーダーであることは知っていましたし、JAXAとの数多くの共同プロジェクトによって、NECが宇宙開発における技術を持っていることも理解していました。
それに、私にとって日本に住むことは長年の夢の一つでした。子どもの頃からアニメを通して日本文化に親しんでいましたし、働く場所としても素晴らしい国だと思っていました。日本の発展した工学や技術にも大きな魅力を感じていたのです。だから、NECへ入社するのは自然な流れでした。
来日前には、NECで2カ月間の日本語研修を受けました。この期間中に、日本の文化や職場環境についても深く学ぶことができました。とはいえ、チームメンバー全員が英語を流暢に話すため、社内ではコミュニケーションの障壁はありません。来日時には会社が提供してくれた寮で、不安なく新生活をスタートさせることもできました。
NECにはさまざまな分野の専門家がいます。そういった方々と研究について気軽に議論できる環境はとても刺激的です。他のチームの研究を観察し、共同研究について討論することからは多くの学びを得られますし、キャリアに貴重な洞察力をもたらしてくれます。
また、NECには自分の意見や新しいアイデアを上司や同僚に自由に伝えられる環境があります。そこから得られる豊富なフィードバックは、私の成長に大きく役に立っています。
加えて、NECはとても自由です。テレワークやオフィスでの勤務や勤務時間も柔軟に選べるので、自分のペースで効率的に仕事ができます。
スマートシティへの貢献を目指し、研究を深めていく

私の目標は、高速道路に限らず都市部においても、より精度の高い光ファイバセンシングを可能にすることです。都市部では交差点が多く、交通の流れがとても複雑です。また、都市には広範囲にわたる光ファイバのネットワークと多様なノイズがあります。これらの多様な条件下で光ファイバセンシングを機能させて、スマートシティをどう実現していくかが、私の挑戦です。
長期的なキャリアについては、家族と相談し、日本に滞在するかインドに帰国するかを決める必要があります。日本にこのままとどまるなら、研究チームを率いるなど、より多くの責任を担っていきたいですね。

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私の一日ご紹介


学生時代の自分へ

休日何してる?
私は日本の歴史と文化に深い敬意を持ち、子供の頃から侍の持つ名誉、規律、そして勇気に心惹かれてきました。日本の伝統武道である天真正伝香取神道流を学んでおり、練習を始めてから既に1年半が経ちました(取材は2024年1月)。剣術を中心に学び、週末には道場で実践的な練習を行い、平日は武道に関連する本を読んで知識を深めています。
武道を通じて、技の反復を繰り返すことで忍耐力と規律を身につけています。シンプルな動作で一刀両断するには、多くの訓練と集中力、そして自分の心と体を理解することが必要です。また、武道は道場での日本の人たちとの交流の機会も提供してくれるため、日本語の実践や日本文化への理解にも役立ちます。
また、チェスも楽しんでおり、パンデミックがきっかけでオンラインチェスを定期的にするようになりました。チェスは思考をクリアにし、戦略的思考を養うのに役立っています。

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