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学生のみなさんへ2022インタビュー:大山 博之
2022年1月31日
アカデミックな研究と社会貢献できる事業化ができる環境

データサイエンス研究所
シニアリサーチャー
大山 博之(おおやま ひろゆき)
大学卒業後に大手企業やベンチャー企業で経験を積んだ後、修士課程で改めて学びの場へ。博士課程まで取得した後に2018年4月にNECへ入社。一貫して制御工学の研究に取り組み、現在は制御AIを活用した「ロボットと人が一緒に働ける社会の実現」を目指す。
社会貢献を目指すビジョンに共感
私は大学の工学部を卒業した後に、いったん航空会社に就職しました。しかし、そこでジェネラリストとしてではなくて、次のステップのために技術を身につけてキャリアアップをしたいと考えに至り、退職しました。そしてベンチャー企業でしばらく働いた後に、大学の修士課程に入り直し、博士課程を修了してからNECに入社しました。
NECとの出会いは、当時のチームの上司からのメールでした。私が出した論文を気に入ってもらえたらしく、一度訪ねることになったのです。そのときにデータサイエンス研究所のことも知りました。話をうかがって、それまで自分が持っていたNECのイメージとは違い、新しいことに挑戦している会社であるということが大きく印象に残りました。
入社を決めた理由はいくつかありますが、まずは私の制御工学という専門性を活かすことができると思ったことです。私の研究を事業化につなげられるのではないかと感じました。新規事業に挑戦できるのは魅力的でしたし、大企業ならではの大きなこともできるのではないかと思いました。また、論文投稿などのアカデミックな貢献も評価されるという文化があり、事業化と研究が両立できそうなことも魅力的でした。NECは社会価値創造企業を謳っています。私自身も社会に貢献していきたいという思いがずっとあり、方向性やビジョンに共感できたことも大きかったですね。
タスクの指令だけで動くロボットの研究

私は今、システムを安全に制御して動かすための技術、制御工学の研究をしています。具体的に内容を紹介すると、専門家しか扱えず、使える場面も限られていたようなロボットを、誰でも簡単に、フレキシブルに使えるようにするために、ロボットを自律的かつ安全に動作させる制御AIの研究になります。
たとえば従来、ロボットに作業をさせるには、動き方を最初から最後までプログラミングをする必要がありましたが、これをタスクの指令だけでできるようにすることを目指しています。これまでのロボットでは、与えられた指令に対して「タスクの順番をどうするか」ということまでは考えることができませんでした。すると、少し複雑な、あるいは想定外のことが起きた場合に、ロボットはどういう順番でやればいいのかがわからなくなってしまいます。
そこで私たちは、この順番付けをタスク計画として自動化できるような制御技術の開発に取り組んでいます。そしてさらに成功率を上げるために、タスク&モーションプランニングという技術分野にも取り組み、タスクの指令を記述するのに使いやすい時相論理とよばれる形式言語を組み合わせ、ロボットが指令から、タスクとモーションを同時に考える技術を開発しました。これが、都度タスクに合わせた詳細なプログラミングをしなくても、タスクの指令だけで作業ができるロボットの制御技術、「目的指向タスクプランニング技術」です。
この技術は、倉庫・物流をはじめとして様々な分野での活用が考えられています。倉庫・物流はすでにロボット化が進んでいる分野ではありますが、まだ現在のロボットは単純な作業しかできません。たとえばある箱に入っているモノをほかの箱にきちんと詰め替える、といったことはまだ人がやっています。その難しいハンドリングの部分を、制御AIを活用したロボットが的確に、なおかつ人の簡単な指令でできるようにすることが目的です。
視野を広く、情熱を持って研究を

私たちの研究はまだ道半ばで、何かを成し遂げたという感覚はないのですが、日々新しいことに挑戦できていること、そして研究分野については裁量を持って任されているところにはとてもやりがいを感じています。特に事業化を進めている社内の方々と話をしながら技術を開発したり、社会実装に向けて議論を進めていったりすることは非常に有意義な時間です。
今までは研究を中心に経験を積んできましたが、新規事業を立ち上げるときには、ビジネスの知識が必要となってきます。その中で新しい知識を身につけて自身が日々成長していることも感じられるのも嬉しいですね。また、技術の成果が論文で認められたり、プレスリリースが出せるようになって、お客様に興味を持ってもらえたりするときも、非常にやりがいが感じられる瞬間です。
私がNECに入って企業研究者として目指すのは、自分の研究を事業化してきちんと世に出して社会に貢献することです。これからも、少しでも社会問題が解決できるよう、日々の研究に取り組んでいきたいと思っています。
学生のみなさんには、専門分野はもちろんですが、視野を広くしてほかのいろいろな分野にも興味を持つようにしてほしいと思います。いろいろな分野から刺激をもらうと、新しい考えが浮かんでくることが多いものです。そして研究には日々壁に突き当たることが多いと思いますが、情熱を持って次々と乗り越えていってほしいですね。

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今はコロナ禍で気ままに外に出られないので、最近はオンラインゲームをしていることが多いですね。友たちと一緒にチームを組んで、対戦ゲームで楽しんでいます。夫婦で一緒に楽しむときもありますが、長い時間やりすぎると怒られます(笑)。天気が良い日は散歩によく出かけます。近場で歩いたことのない道をくるくると、話をしながら1時間くらい歩きます。コロナ禍が収まったら、昔から仲間とやっていた卓球をまた再開させたいと思っています!

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