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学生のみなさんへ2024インタビュー:大槻 紗季

2024年10月18日

暗号領域の標準化活動に参加

大槻 紗季

セキュアシステムプラットフォーム研究所
研究員
大槻 紗季

大学で暗号理論を専攻し、修士課程修了後の2023年4月にNECへ入社。生体情報を用いたデジタル署名技術(鍵管理技術)の研究に携わり、国際学会BIOSIG 2023では共著者として論文を投稿し、発表を行う。国内最大規模の暗号系学会SCIS への論文投稿も行っている。

世界最先端の鍵管理技術

私はいま生体情報を用いたデジタル署名技術の研究をしています。現在一般的に利用されているデジタル署名では、暗号技術で使用する鍵をスマートフォンなどのデバイスに保管していますが、この方法ではデバイスが盗難され、偽造されるリスクが残ります。また、世界に広く目を向けると、インドをはじめとしてスマートフォンの普及が十分に進んでいない国や地域も存在しています。いまはまだ、デジタル署名の安全性を全世界へ公平に届けることが難しい状況があるのです。これに対し、顔や虹彩などの生体情報そのものが鍵になれば、盗難の心配がなくなります。デバイスを保有する必要もないので、より多くの人が公平に、安全・安心なサービスを享受できるようになります。そもそも、デバイスを使わずに手ぶらで自身を証明できるという利便性も大きいですよね。

現在、この分野の研究は日本がリードしています。特にNECは、顔認証や虹彩認証などの生体認証技術を数多く保有する強みがあります。また、暗号研究領域においては、峯松さんなど、アカデミアでも数多くの実績を残す方も多く在籍しています。

実際に使えるようになるまでには数年かかる技術ですが、将来的な社会のビジョンを描き、移行期の実装も踏まえながら世界最先端の技術を研究するということには、とても大きなやりがいを感じています。

男女問わず働きやすい環境

NECに興味を持ったのは、暗号系の国内学会SCISに参加していた企業だったからです。説明会に行って話を聞いてみると、話す方みんながとても穏やかだなというのが第一印象でした。また、暗号の研究チームから2人の女性の先輩に話をうかがうことができて、女性研究者が活躍していることを実感できたのも良かったです。

特にそのうちの1人は、子育てをしながら主任として働いている方だったのですが、裁量労働制なので働きやすいということをおっしゃっていました。基本的に在宅で仕事をしつつ、保育園の送迎などにも仕事を抜けて自由に行けるという話をされていて、安心したことを覚えています。もちろん、これは女性に限ったことではありません。実際に入社してみると、保育園の送迎で仕事を抜ける男性もたくさんいらっしゃいますし、男性の育休取得も社内で積極的に推進されています。

若手のうちは裁量労働制ではなく、指定された労働時間を働く必要があるのですが、スーパーフレックス制度なので、時間を気にせず働くことができます。実際、私も適宜昼寝をしたり、休憩をとったりしています。平日に病院や役所に行くことができるのも便利です。

また、これは入社後に実感したことなのですが、NECは福利厚生が充実しています。特に、カフェテリアプラン(選択制の福利厚生制度)は優秀です。一人ひとりに年間86,000ポイントを支給されて、それを書籍や家賃などに自由に使うことができます。時短家電などにも使用できるので、2-3年繰り越してポイントを貯めて自動掃除機を購入したという先輩もいました。さらに、健康や自己研鑽のために使う場合はポイントに対して1.2~2倍の費用を充てることができるので、英会話やジムなどに活用される方も多いです。

加えて、休日が多いこともポイントです。ゴールデンウイークや年末年始の期間中にある平日は特別休暇として長期間の休みを取得することができますし、祝日のない6月には1日だけ会社の特別休暇が設定されています。休日の多さについては、よく他社の方から羨ましがられます(笑)

標準化活動での活躍を目指す

将来的に目指していきたいと考えているのは、標準化活動をリードする立場です。技術を社会で使うための仕組みや法制度の策定などにも興味を持ち始めているので、ゆくゆくはこうした活動の中心も担えたらいいなと思っています。

というのも、昨年度からブロックチェーンで使うウォレットの鍵管理に関する標準化に向けた活動の会議に参加しているのですが、これがかなり衝撃的だったんです。標準化活動の現場はさまざまな立場のステークホルダーが集まり、共通理解を醸成するために非常に活発な議論を交わします。初めて会議に参加した際には、ちょっとショックを受けたくらいです(笑)

異なる立場の方もいる場では、そもそも用語の解釈から異なることに気づかされるなど、さまざまなステークホルダーが共通言語で議論することの難しさを感じました。それでも、違う視点からの話を聞くと、自分が考えられていなかった課題に気づかされることも多く、刺激的です。そもそも、全く違う立場の方の話をしっかりと聞いて対話し、議論して折り合いをつけることが社会実装のためには不可欠です。私自身にはまだそれだけの力はないかもしれませんが、現在は各ステークホルダーがもっている課題を共有して議論し、共通理解を促進する文書を発行することで、より議論を活発にしようと取り組んでいます。こうした活動を続けながら、いつかは標準化の中心を担えるような研究者を目指していけたらと思っています。

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私の一日ご紹介

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休日何してる?

趣味は読書です。もともとは純文学を好んで読んでいたのですが、チーム内の読書会を通じてミステリーなども読むようになりました。チーム内では暗号関係の専門書はもちろん、こうした小説などの貸し借りもよく行っています。また、最近は英語力向上のために見始めた海外ドラマにも、すっかりはまってしまいました。標準化活動への参加を見据えて、速いスピードでの英会話にもついていけるように頑張っています!

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