サイト内の現在位置

インターン体験記インタビュー:池本 隼也

2024年4月3日

大学と変わらない雰囲気で、企業の研究を体験

池本 隼也

データサイエンスラボラトリ
研究員
池本 隼也

2023 年に博士課程修了後、NECへ入社。学生時代は深層強化学習の非線形制御への応用について研究を進めていたが、入社後は化学プラント運転支援向けの動的システム最適化、オンライン最適化の理論解析など、応用・基盤両面から最適化技術の研究に取り組んでいる。

大阪からリモートで約1カ月半のインターンに参加

NECのインターンに参加したのは、博士課程後期の2年目でした。自分の研究にオリジナリティが出せずに少し行き詰っていた頃で、何か他のことも勉強してみたくなって企業のインターンを探し始めたのがきっかけでした。当時博士課程修了後には絶対にアカデミアに進みたいという気持ちでもなく、インターンで一度企業の研究というものも試してみないと、アカデミアと企業のどちらに進むべきか判断がつかないという思いもありました。インターネットで企業の研究開発について検索していたときに見つけた企業の論文数ランキングでNECがかなり高い位置にあったので、ここなら研究者としての活動と企業人としての活動をうまく両立させることができるのではと考え、NECのインターンシップに応募し、参加することに決めました。
私自身はそれまで非線形制御の研究をしていて、これにどう深層強化学習を活用していくかということに取り組んでいましたが、インターン先はNECのコア技術の一つであるオンライン最適化の研究を行うチームだったので、自分がこれまで取り組んでいた制御技術に、オンライン最適化をどのように活用することができるか、というアプローチで研究を進めていきました。日本学術振興会の特別研究員として採用されていたので、給与のあるインターンシップに参加するには自身の研究と関連する内容にする必要があったということも、少し関係しています。
ちなみに、私は当時大阪在住だったので、最初の1週間と最後のタイミングだけNECの玉川事業場にある研究所に来ましたが、残りの1カ月間は大阪からリモートで実施していました。研究所に出社するときの宿泊費は会社に負担していただいています。

自分でテーマを設定して自由に研究できる

私が参加したチームは自ら率先して動ける人を募集しており、自分でテーマを持ち込むことが可能だったため、私も自身の研究を持ち込んでインターンに参加することが出来ました。
テーマ選びから自分で考えていくというスタイルで、始めにいくつか指針を出してもらい、その中で自由に進めてみて、最終的にデータサイエンスラボラトリ内の発表会で45分程度のスライド発表をするというプログラムです(注1)。最終的に修論、博論を出すという大学の研究の進め方と似ており、週報やチャット、週2回ほどの上司とのミーティングで状況報告するほかは、自分でマネジメントしながら研究を進めることが出来ました。そのため大阪からのリモートでも快適に取り組むことができたのだと思います。
インターン参加前までは、企業のインターンともなると、与えられる課題をひたすらこなすようなエンジニアリングに近いようなプログラムが中心になるのでは、と思っていたのですが、NECのインターンはあまり大学と変わらないなというのが最初の感想でした。なので、感覚としては学生の身分のまま研究のアカウントが二つできるような状態に近いかもしれません。学生の研究とインターンの研究の二つを並行してやれるという楽しさがありました。さらに、最適化技術を学ぶことで自分の研究における新しい引き出しをつくることもできました。NECのインターンは、そのように学び、楽しめる環境なのではないかと思います。
また大学の都合で対応すべきことが生じた場合は、事前に相談することでインターンの就業日から外したり、休んだりすることも可能です。大学の活動との両立がしやすいため、安心して参加できることもポイントが高いところだと思います。

  • 注1
    インターンの実施内容はテーマにより異なります。

インターン期間中のある1日をご紹介

8:30
コロナ禍のため遠隔勤務(大阪から)
メールやteamsのチェック
今日すべきことの整理から開始。

午前中は研究サーベイを(広く浅く)実施。オンライン最適化の基礎的な勉強も並行。
12:00
自宅でランチ、もしくは、時間が合えば大学同期と学食
13:00
テーマにしたい論文一つを深掘り。手計算したりシミュレーションしたりする。
15:00
上司とのミーティング(週二回実施):調べた内容を説明。非専門分野の内容について質問。
16:00
ミーティングの結果、わかったこと、考えたことなどをまとめる
17:15
退勤
休憩
18:00
テーマが異なるので、大学院生としての研究もしっかり実施

アカデミアの活動にも活かせる経験に

アカデミアのような雰囲気は、インターン中だけでなく入社してからも変わりません。これがNECならではの風土なのだと思います。企業らしい応用研究もできるし、アカデミアのような基盤研究もできる。両方を良いとこ取りできるのが、NECの一番の魅力だと思っています。実際、いま私は化学プラントへの応用に向けた研究と、オンライン最適化技術の基盤研究の両方に取り組んでいます。応用研究では産業技術総合研究所と連携しながら大規模なプラントの現場で使えるシステムをつくっていますし、オンライン最適化の基盤研究では、毎年何本もトップの会議に論文をとおしている研究者と一緒に研究することができています。こうした雰囲気は、ぜひインターンで体験してもらいたいです。
また必ずしもNECに入社することを前提としなくてよいと思いますが、博士課程の人には特にインターンをお勧めしたいです。私がインターンに参加して一番良かったと感じたのは、将来の不安がなくなったことです。博士課程の学生は、自身の将来に不安を持っている方も多いと思います。そもそも学部生や修士に比べて、博士の就職活動というのは、時期も内容もよくわからないものです。一度インターンに参加してみるだけで、それまでぼやけていたものが見えてきます。企業内での研究内容や選考過程、どうすれば入社までつながっていくかを知る機会になるのでそれだけでも大きなプラスになると思います。
また、たとえアカデミアに進むということになっても、具体的な応用先を知れることは大きな収穫になります。たとえば私自身、研究費申請の書類内にある活用先・応用イメージの欄は段違いに書きやすくなりました。インターンによって、自分が研究している基盤技術がどういった業界にどう活かされるのかが具体的に見えてくるようになったおかげだと思います。それだけでも貴重な経験になると思います。

  • 本ページに掲載されている情報は、掲載時の情報です。

お問い合わせ