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大阪大学サイバーメディアセンター、NECが納入したクラウド連動型HPC・HPDA用 新スーパーコンピュータシステムSQUID(スクウィッド) を2021年5月から稼働開始
(2021年7月末まで無料開放)2021年5月6日
日本電気株式会社
概要
大阪大学サイバーメディアセンター(以下「大阪大学CMC」)は、日本電気株式会社(以下「NEC」)が納入したクラウド連動型高性能計算(HPC: High Performance Computing)・高性能データ分析(HPDA: High Performance Data Analysis)用スーパーコンピュータシステムの運用を2021年5月6日から開始しました。
このスーパーコンピュータは、わが国の学術・産業を支える研究者による未解決の学際的なデータサイエンス問題への探究を支援すべく、SQUID(スクウィッド: Supercomputer for Quest to Unsolved Interdisciplinary Datascience)と名付けられ、総理論演算性能として16.59PFLOPS(※1)を安定的に供給します。
また、このSQUIDの“顔"には、大阪大学CMCが主催し、NEC、インテル株式会社、エヌビディア合同会社、クラウディアン株式会社、株式会社データダイレクト・ネットワークス・ジャパン、日本オラクル株式会社、日本マイクロソフト株式会社が共催・協賛したSQUIDラックデザインコンテスト(※2)を通じて、広く一般から公募して最終決定した最優秀デザインが描画され、産業界と大学、市民が協力し作り上げたスーパーコンピュータとなっています。
大阪大学CMCとNECが提供する最先端テクノロジーで実現したSQUIDは、数値計算、科学シミュレーションといった従来のHPC分野に加え、近年急速に需要が拡大しつつある機械学習、ディープラーニング、ビッグデータ解析といったキーワードに代表されるHPDA分野の多様な計算ニーズを収容します。また、研究で利活用するデータをスーパーコンピュータに、あるいは、スーパーコンピュータから利用者環境あるいはクラウドに移動させるといった、スーパーコンピュータシステムの内外のデータ利活用を促進し、研究者らの地域連携、国際連携、産学共創の加速を支援するデータ集約基盤を試験導入しています。
大阪大学CMCでは、2021年5月6日より7月末までの期間、同センターのSQUID試験運転をかねて、今後SQUIDのご利用を検討いただける、全国の大学、研究所、企業の研究者に対して、最新鋭のHPC・HPDA環境を無料で開放します(一部の先行利用研究者グループを除く)。その後、2021年8月よりSQUIDは正式運用されます。
SQUIDは以下のような特徴を持っています。
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多様な計算ニーズを収容する最新鋭プロセッサおよびアクセラレータを搭載したハイブリッド構成
需要が拡大し続けている利用者の計算資源要求に対して、演算性能・資源量を増強し、より多くの需要に応えるため、3つの計算環境(汎用CPU計算環境、GPGPU計算環境、ベクトル計算環境)を配備しています。インテル ディープラーニング・ブーストテクノロジーを有する第3世代インテル Xeonスケーラブル・プロセッサー(開発名:Ice Lake)を搭載した最新鋭の汎用CPUノード群1,520ノードに加え、AI、データ分析、HPC、可視化などのワークロードを高速化するエヌビディア社製 NVIDIA A100 Tensor コア GPUを8基搭載したGPUノード群42ノード、および、研究開発分野での利用に加え気象、地震、水理等のシミュレーション領域などを高速に実行するNEC製SX-Aurora TSUBASA 8基を搭載したベクトルノード群36ノードにより、最大理論性能16.5PFLOPS超を供給可能なハイブリッド型スーパーコンピュータシステムとなっています。全ノードは、NVIDIA Mellanox HDR InfiniBandネットワークによって接続されているため、ノード間通信は超高速低遅延でスマートなコネクティビティを実現しています。 -
広域化・グローバル化する学術研究を支える大容量データ集約環境の実現
利用可能な超大容量データを将来にわたる持続可能性を保持しつつ責任をもって活用できるように、ストレージの容量・性能の向上、多様なデータの取り扱いを考慮した機能性の向上を含む、ストレージ環境の強化を、大容量データ領域20ペタバイトと高速データ領域1.2ペタバイトを提供するデータダイレクト・ネットワークス社のEXAScaler高性能並列ファイルシステム搭載ストレージアプライアンスで実現しています。さらに、クラウディアン社のオブジェクトストレージHyperStoreと連動させたデータ集約基盤(ONION: Osaka university Next-generation Infrastructure for Open research and innovatioN)を実現することにより、多様なデータアクセスプロトコルに対応しつつ、データ利用の利便性を大幅に高めるとともに、クラウドサービスや他研究機関との間でデータを共有するサービスを提供することで、学内外の利用者のそれぞれが保有するデータを、研究者間で柔軟に共有することが可能です。 -
高秘匿性データを安全に計算・解析できるセキュアコンピューティング環境の実現
データプライバシー等のデータセキュリティ要件が問われるデータも扱えるように、秘匿性の高いデータをより安心して使える、セキュアコンピューティング環境を実現しています。大阪大学CMC とNECで設計・開発したセキュアステージング機能を用いることで、キャンパス内の他部局等に配置されたストレージ内に格納された秘匿性の高いデータを移動させることなく、新システム上の計算ノードで計算・解析が可能となります。また、その計算・解析は、特定の利用者に対して計算ノード、ネットワークを動的に分離・隔離し、計算に使用するデータおよび計算実行が他の利用者には閲覧できないサービスを実現します。医療分野や企業からの利用等においては、所有するデータを外部に持ち出せないことが障壁となり、大阪大学CMC等の計算機センターが提供する最新鋭・大規模な計算リソースを利用できないという課題がありましたが、本機能を用いることにより、利用者向けに隔離された環境を動的に用意することができるため、従来利用することが出来なかった分野での利用が可能となります。 -
クラウド連動・連携機能の実現
ピーク利用時の待ち時間緩和、利用者の多様な計算ニーズへの柔軟な対応のために、民間クラウド(オラクル社のクラウドサービスOracle Cloud Infrastructureおよびマイクロソフト社のクラウドサービスMicrosoft Azure)との臨機応変な連動・連携を実現するクラウドバースティング(※3)機能を実現しています。大阪大学CMCでは、オンプレミス計算リソースの利用状況が高く、利用者の待ち時間が長時間となるという問題がありましたが、計算処理の一部を民間クラウドサービス上のリソースに切り替えることで、利用者にとってはオンプレミス計算環境と同じ使い方でありながら、急なリソース需要の高まりに対応することが可能になる他、クラウドサービス上で更新され続ける新しい計算リソースを柔軟に利用可能となります。
大阪大学CMCでは、データサイエンスへの探求を下支えし、学術、産業、市民で作り上げるスーパーコンピュータの提供を行いながら、優れた研究成果の創出に貢献していきます。SQUIDは、2021年7月末まで無料での試行利用が可能となっていますので、この機会に最新鋭のHPC・HPDA環境を気軽に体感頂けます。
以上
用語説明
- ※1PFLOPS (ペタフロップス)
計算機の処理性能の指標としてフロップス(FLOPS:Floating-point Operations Per Second)、すなわち1秒間に実行可能な浮動小数点数演算回数(実数演算回数)が用いられます。PFLOPS(Peta FLOPS) とは、1015 フロップス(FLOPS)となります。 - ※2SQUIDラックデザインコンテスト
SQUIDの導入・運用開始を記念して、SQUIDの“顔"となるラックデザインコンテストを実施。市民の皆様から59作品が応募されました。
http://www.hpc.cmc.osaka-u.ac.jp/squid-rack-design/ - ※3クラウドバースティング
IaaSで用いられる概念。コンピューティングリソースの需要が極端に高まったピーク時(バースト)に、処理をクラウド上のリソースに迅速に切り替えることを可能にするもの。内部リソースで需要を満たすのが難しいときや、企業ネットワーク内の容量が上限に達したときなどに行われる。
本件に関する問い合わせ先
大阪大学 サイバーメディアセンター 准教授 伊達 進(だて すすむ)
TEL:06-6879-4411(研究室)、06-6879-8805(総務係)
FAX: 06-6879-8794
E-Mail:date@cmc.osaka-u.ac.jp
NEC 第一官公ソリューション事業部
E-Mail:science@1kan.jp.nec.com
NECは、安全・安心・公平・効率という社会価値を創造し、
誰もが人間性を十分に発揮できる持続可能な社会の実現を目指します。
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