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東北大学とNEC、スーパーコンピュータを活用して航空機用複合材料開発を加速するマテリアルズインテグレーションシステムの研究開発を開始

2020年7月1日
東北大学 大学院工学研究科
東北大学 大学院情報科学研究科
日本電気株式会社

東北大学 大学院工学研究科(注1)、同 大学院情報科学研究科(注2)、日本電気株式会社(注3、以下 NEC)は、内閣府が主導する戦略的イノベーション創造プログラム(注4)「統合型材料開発システムによるマテリアル革命」のうち、研究開発課題名「多機能CFRPの開発による高付加価値化」において、スーパーコンピュータを活用し、航空機用の炭素繊維強化プラスチック(CFRP、注5)の開発を加速するマテリアルズインテグレーションシステムの研究開発を開始しました。本研究開発では、次世代航空機用複合材料の開発・製造コスト・期間を従来の50%以下に低減し、国際競争力強化への貢献を目指します。

航空機に用いられる構造材料分野において、日本は優れた特性を有する材料を数多く産み出してきた一方で、その開発に膨大なコスト・期間を費やしてきました。世界的にデジタル化が進み、市場までの投入期間の短縮が求められる現状において、この開発コスト・期間の低減が喫緊の課題となってきています。高性能な構造材料を短期間で効率良く開発するためには、実験や熟練者の経験に依存する従来手法から脱却し、完成品を見越した上で、材料科学や情報科学など様々な学術的知見を組み合わせた戦略的な研究・開発が求められています。

本研究開発では、これまで東北大学が中心となって開発してきた航空機用複合材料・構造のシミュレーション技術とスーパーコンピュータの高速化技術、および NECのベクトル型スーパーコンピュータ「SX-Aurora TSUBASA (注6)」を用い、航空機用CFRPの材料開発をデジタル上にて行える統合型システムを世界に先駆けて開発します。
具体的には、スーパーコンピュータ上に分子スケールの材料特性から巡航時の機体に生じる力学応答までを解析するシミュレーションを実装することで、材料選択から機体設計に至るまでを高速かつマルチスケール(注7)に行うことができます。また、本システムを共通プラットフォームとして利用することで、機体メーカーからの要望に応じたテーラーメードな材料開発も期待されています。

図 航空機用複合材料開発の流れ

研究開発の概要と役割

1.材料・構造シミュレーションの開発(東北大学 大学院工学研究科 航空宇宙工学専攻 岡部 朋永 教授)

戦略的イノベーション創造プログラムにおいて、これまでに培った複合材料工学での学術研究の成果を活用し、材料開発の各工程で必要とされる各種シミュレーションを参画企業と共に開発してきました。本研究開発では、本システムに実装される各シミュレーションの開発およびさらなる高度化を行うとともに、航空機にとどまらず、幅広く適用されるようにシステム全体の取りまとめも行います。

2.スーパーコンピュータ高速化技術の適用(東北大学 大学院情報科学研究科 小林 広明 教授)

これまでマテリアルズインテグレーションシステム向けに開発されてきたシミュレーションプログラムに対して、ベクトル型スーパーコンピュータの高速化技術を適用し、シミュレーションプログラムの実行時間の大幅な短縮を実現します。企業における材料開発では、求められる性能の材料を如何に早く探査できるかが企業の競争力につながります。本研究では企業との連携を重視しプログラムの高速化を行います。

3.スーパーコンピュータを用いたシステム構築(NEC)

スーパーコンピュータSX-Aurora TSUBASAは、シミュレーションプログラムを高速に実行するベクトルエンジンと多種多様な処理を行うベクトルホストから構成されています。本研究開発ではNECのスーパーコンピュータの利用技術とシステム構築ノウハウを活かして、本研究で開発されたシミュレーションプログラムをSX-Aurora TSUBASA上に実装・システム化を行います。これにより、材料・構造統合シミュレーション、データサイエンス、最適材料設計を融合したマテリアルズインテグレーションシステムを構築します。

以上

  • (注1)
    所在地:宮城県仙台市、研究科長:長坂 徹也
  • (注2)
    所在地:宮城県仙台市、研究科長:尾畑 伸明
  • (注3)
    本社:東京都港区、代表取締役 執行役員社長 兼CEO:新野 隆
  • (注4)
    戦略的イノベーション創造プログラム:
    総合科学技術・イノベーション会議が自らの司令塔機能を発揮して、府省の枠や旧来の分野の枠を超えたマネジメントに主導的な役割を果たすことを通じて、科学技術イノベーションを実現するために新たに創設するプログラム。
    new windowhttps://www8.cao.go.jp/cstp/gaiyo/sip/
  • (注5)
    炭素繊維強化プラスチック(Carbon Fiber Reinforced Plastic):
    炭素繊維とプラスチックの複合材料。軽量・高硬度・高剛性という特徴を持ち、主に航空機の機体等に利用されている。
  • (注6)
    SX-Aurora TSUBASA:
    https://jpn.nec.com/hpc/
  • (注7)
    マルチスケール解析:
    分子スケールから機体まで異なるスケールの特性を同時に解析する手法。

本件に関するお問い合わせ先

東北大学 大学院工学研究科 航空宇宙工学専攻
教授 岡部 朋永
TEL:022-795- 6984
E-Mail:tomonaga.okabe.a8@tohoku.ac.jp

東北大学 大学院情報科学研究科 情報基礎科学専攻
教授 小林 広明
TEL:022-795- 7010
E-Mail:koba@tohoku.ac.jp

NEC 第一官公ソリューション事業部
E-Mail:science@1kan.jp.nec.com

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