NEC、ベトナム地球観測衛星「LOTUSat-1」を受注 (2020年4月23日): プレスリリース

2020年4月23日
日本電気株式会社

NECは、住友商事株式会社からベトナム向け地球観測衛星「LOTUSat-1」(ロータスサット・ワン)1機(図1)の開発・製造・打ち上げサービス調達と地上システムの整備、および衛星開発プロセスに関する現地人材育成プログラムを一括受注しました。受注金額は約200億円、衛星の打ち上げは2023年を予定しています。衛星システムの海外向け輸出は当社初であり、ベトナム国家宇宙センター(注1)に提供されます。当社は、本受注を通してベトナムの自然災害への監視強化による被害低減や災害予測の高度化に貢献します。

NECが受注した地球観測衛星は、合成開口レーダー(SAR)を搭載した人工衛星(注2)であり、NECが長年にわたる人工衛星開発のノウハウを活用し、短納期・低コストかつ高機能を実現した標準衛星システム「NEXTAR」(ネクスター)をベースに開発します。現在、NECが保有し観測を継続しているレーダー観測衛星「ASNARO-2」(アスナロ・ツー：注3)の同型機となります。
また衛星の追跡・管制やミッション運用を担う地上システムは、直径9メートルのパラボラアンテナ、これまでの衛星管制・運用のノウハウをもとに開発したパッケージソフトウエア「GroundNEXTAR」(グランド・ネクスター：図2、注4)をベースに開発する衛星管制センター、衛星データ処理センター、ユーザインターフェースで構成されます。本システムは、ベトナム国家宇宙センターにより整備・運用されるホアラック宇宙センターに設置されます。
衛星の打ち上げは2023年、地上システムの整備は2022年から2023年を予定しています。
さらにNECは衛星開発プロセスに関する技術移転の研修を日本で実施する等、ベトナム人材育成を支援し、同国の自然災害被害の監視能力向上や予測の高度化に貢献します。

なお、本契約は日本企業がODA基金を活用した初の地球観測衛星案件であり、国際協力機構(JICA)の本邦技術活用条件(STEP)に基づいて実現しました。

図1：ベトナム地球観測衛星「LOTUSat-1」　フライトイメージ図　(c)NEC

図2：衛星管制・運用のためのパッケージソフトウエア「GroundNEXTAR」(c)NEC

【別紙】 PDF 同型機の「ASNARO-2」により取得した画像サンプル

以上

注1：
ベトナム国家宇宙センター
ベトナム政府は、国家の発展における宇宙技術の重要性を認識し、2006年に「2020年までの航空技術の研究と応用に関する戦略」を承認し、ベトナムの地域における地位向上を目指しています。計画の主な目的は以下のとおりです。
- 宇宙技術の研究・出願のための法的・規制的枠組みの構築・完成
- 宇宙技術基盤の整備
- 宇宙技術の科学研究
- 宇宙技術の応用
ベトナム政府は、ベトナム宇宙センタープロジェクトの管理・実施を目的として、「2020年までの航空技術の研究と応用に関する戦略」を促進し、小型衛星建設技術の指揮に向けた取組を進めるため、2011年9月16日、ベトナム科学技術アカデミー(VAST)の下にベトナム国家衛星センターを設立しました。2017年7月17日、同センターはベトナム国家宇宙センターに改称されました。
注2：
地球観測衛星「LOTUSat-1」の概要
ベトナム宇宙センタープロジェクトのパッケージ「LOTUSat-1,Equipment and Capacity Development」の目標は、合成開口レーダーを活用した地球観測衛星LOTUSat-1の開発と活用を成功させることです。LOTUSat-1は、昼夜を問わず、高精細な地球画像を撮影できます。LOTUSat-1から受信する映像は、衛星画像の緊急ニーズに応え、自然災害や気候変動の影響を軽減し、天然資源の管理や環境のモニタリング、社会経済発展に役立つ正確でタイムリーな情報を提供し、地上局、衛星管理センター、衛星データ処理センター、ITインフラのシステムを実施・活用し、同時に衛星製造施設における衛星研修コースの進捗や衛星画像応用研修コースを通じて高品質な人材育成を行います。
【衛星の概要】
1. 主な機器：Ｘバンド合成開口レーダーセンサー
2. 衛星バス：NEXTAR NX-300L
3. 大きさ：4.0 × 4.0 × 3.9 (単位：メートル)
4. 重さ：580kg
5. 観測モード：
  
  -1.
  スポットライト・モード：分解能1m以下、観測幅10km以下
  
  -2.
  ストリップマップ・モード：分解能2m以下、観測幅12km以上
  
  -3.
  スキャンSAR・モード：分解能16m以下、観測幅50km以上
6. 軌道：太陽同期準回帰軌道
7. 設計寿命：5年
注3：
レーダー観測衛星「ASNARO-2」の概要
経済産業省のASNARO(Advanced Satellite with New system Architecture for Observation：小型化等による先進的宇宙システムの研究開発)事業により、シリーズの2番目としてNECが開発したレーダー観測衛星。「ASNARO-2」は2018年、打ち上げに成功し、搭載したＸバンド合成開口レーダーによって昼夜・天候を問わず観測を継続しています(別紙参照)。同シリーズ初号機の光学観測衛星「ASNARO-1」もNECが開発し2014年に打ち上げ成功、小型の衛星でありながら地上分解能50センチメートル以下を実現し、現在も観測を続けています。いずれの衛星も現在NECが所有し、取得した衛星画像の販売などで宇宙利用ビジネスの拡大に活用しています。
注4：
GroundNEXTAR
「GroundNEXTAR」はNECで約60年間にわたる人工衛星の開発や製造、および地上システム構築で培った技術に裏付けられた高品質な地上システムパッケージです。衛星システム運用業務を標準化し、低コスト・短納期を実現したパッケージソフトウエアで、衛星システム運用業務を効率化および省力化しています。撮像計画を立体アニメーションで見える化し、直観的にミッション計画が確認可能なオプション機能も搭載します。

Tweet
Share

本件に関するお客様からのお問い合わせ先

NEC 宇宙・防衛営業本部　川内
E-Mail：info@space.jp.nec.com

NECは、安全・安心・公平・効率という社会価値を創造し、
誰もが人間性を十分に発揮できる持続可能な社会の実現を目指します。
https://jpn.nec.com/profile/vision/

サイト内の現在位置

NEC、ベトナム地球観測衛星「LOTUSat-1」を受注

関連するホームページの情報

本件に関するお客様からのお問い合わせ先