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Transgene社とNEC、AIによって開発されたがんワクチンTG4050の2つの治験を卵巣がんと頭頸部がんで開始
2020年1月7日
Transgene SA
日本電気株式会社
- TG4050は、NECの最先端AI技術とTransgene社のウイルスベクター技術を組み合わせることにより、治療用ワクチンをデジタル世代のものにします
- 新しい免疫治療は、患者さん毎の腫瘍の変異を標的にする免疫反応を引き出すように患者さん一人一人に対して十分に調整されます
- メイヨークリニックとトゥールーズオンコポールにて2つの第Ⅰ相臨床試験への患者さんの登録が行われました。
がん治療向けウイルスベース免疫治療の設計開発を手掛けるバイオテクノロジー企業であるTransgene SA(トランスジーン、注1、以下Transgene社) と日本電気株式会社(注2、以下 NEC)は、本日TG4050(注3)を評価するヒト初回投与試験に初めての患者さんの登録を行いました。TG4050はmyvac™テクノロジーとNECの最先端AI技術をベースとした治療用ワクチンで、このたびの第Ⅰ相臨床試験において、手術後の高い再発リスクを抱える頭頸部がんの患者さんと、手術とアジュバント療法を行った卵巣がんの患者さんに投与されます。
Transgene社のきわめて革新的なmyvac™テクノロジー(注4)は、NECのネオアンチゲン予測システム(注5)で特定・選択された患者さん固有の変異をコードし、ウイルスベース免疫治療を非常に短期間で始めることを可能にします。
TG4050は患者さん固有の最大30個のネオアンチゲン(がん細胞の変異)を標的にするように設計されています。それらは、がん領域で既に適用されている先進的AI技術であるNECのネオアンチゲン予測システムを用いて選択されています。予測システムは20年以上にわたるAIの専門知識に基づいており、独自の免疫データで訓練され、最も免疫原性の高い配列を効率的に優先順位付けして選択できます。
Transgene社は、myvac™を用いたウイルスベクター技術の専門性を活かしてMVA (Modified Vaccinia Virus Ankara, 改変ワクシニアウイルスアンカラ)ウイルスベクターのゲノムに、選択されたネオアンチゲンの配列を組み込みます。また、Transgene社はこの新しい治療用ワクチンの臨床開発に必要なTG4050の患者さん毎のロット製造のための独自の社内GMP(Good Manufacturing Practice, 医薬品製造管理および品質管理基準)ユニットを立ち上げました。
Transgene社 会長 兼CEOのPhilippe Archinard(フィリップ アーシナー)氏は次のように述べています。
「患者さんごとに固有ながんに対応して、私たちはその固形がんの遺伝子的特徴を、極めて特異的ながんに対抗する強力な武器に変える治療法の開発を進めてきました。TG4050は生物学的活性が証明された腫瘍抗原への免疫反応を引き起こす能力のあるMVAウイルスベクターをベースとしています。NECとのパートナーシップにより、TG4050は、世界をリードするAIの専門知識と、この新しいワクチンに強い免疫応答を誘導することを可能にする、最大30個の患者特異的抗原を選択するために使用される独自のアルゴリズムの恩恵を受けることが保証されます。私たちは、免疫療法とビッグデータサイエンスの交差点にあるTG4050はがんとの戦いの新たな時代の到来を告げるものであると確信しています。」
NEC執行役員の藤川 修は次のように述べています。
「これらの治験に最初の患者さん方が参加され、TG4050が臨床に進むのを見届けられることを嬉しく思います。これは患者さん一人一人のためのAIを活用した個別化免疫治療の実現に近づく一歩となります。Transgene社との独創的なパートナーシップは、私たちに重要な臨床開発ノウハウと実績のあるウイルスベクターデリバリープラットフォームの活用を可能にするものです。私たちはTG4050が世界中の患者さんに大きな変化をもたらすことを期待しています。」
TG4050の第Ⅰ相臨床試験は、手術と第一選択の化学療法を受けた卵巣がんの患者さんを登録します。この多施設単群試験は、米国およびフランスで患者さんを募集します。この治験の評価項目は、治療ワクチンの安全性、フィジビリティ、生物学的動態を含みます。米国ではメイヨークリニックのDr. Matthew Block(MD, PhD, 免疫学者、腫瘍内科医)が治験を遂行し、フランスにおいてはトゥールーズオンコポールのDr. MartinezとインスティテュートキュリーのPr. Le Tourneauによって治験は遂行されます。
TG4050のもう1つの第Ⅰ相臨床試験は、新たに診断され、局所的に進行したHPV陰性の頭頸部扁平上皮がんの患者さんのうち、手術後にアジュバント(第一選択)療法を受けた患者さんを登録します。この多施設非盲検無作為化2群試験には、イギリスおよびフランスの患者さんが含まれます。患者さんは、アジュバント療法の終了後にTG4050の単剤療法を受けるか、または再発時に標準治療と組み合わせてTG4050のワクチン療法を受ける予定です。この治験の評価項目は、治療ワクチンの安全性、フィジビリティ、生物学的動態を含みます。フランスにおいてこの治験は、トゥールーズオンコポールのPr. DelordとインスティテュートキュリーのPr. Le Tourneauによって遂行され、イギリスにおいてはサウサンプトン大学のPr. Ottensmeierによりコーディネートされます。
両方の試験はTransgene社によってスポンサーされ、Transgene社とNECが共同で資金提供しています。
以上
- (注1)本社:フランス ストラスブール、会長 兼CEO:Philippe Archinard(フィリップ アーシナー)
Transgene社についての詳細は、こちらをご参照ください。
http://www.transgene.fr/ - (注2)本社:東京都港区、代表取締役 執行役員社長 兼CEO:新野 隆
- (注3)TG4050について
TG4050はTransgene社のmyvac™テクノロジーとNECのAIをベースとする個別化免疫療法です。このウイルスベースの治療用ワクチンは、NECのネオアンチゲン予測システムによって特定・選択されたネオアンチゲン(患者さん毎に異なる変異)をコードします。予測システムは20年以上にわたって培われたAIの専門知識に基づいており、正確に最も抗原性の高い配列の選択と優先順位付けを可能にする独自のデータによって訓練されています。TG4050は患者さん固有のネオアンチゲンに基づき、腫瘍細胞を認識し破壊することができるT細胞反応を引き起こすことを目的として、患者さんの免疫システムを刺激するよう設計されています。 この個別化免疫療法は患者さん毎に開発され、短期間で製造されるものです。 - (注4)myvac™について
myvac™は、Transgene社が開発したウイルスベクターを基にした、固形がんに対する個別化免疫療法のプラットフォームです。myvac™を用いた治療法は、患者さん自身の免疫システムを刺激し、患者さんそれぞれのがんに特徴的な遺伝子変異を用いてがん細胞を識別、攻撃するように設計されたものです。Transgeneはバイオ工学、デジタルトランスフォーメーション、確立されたベクター設計ノウハウおよび独自の製造設備をつなぐ革新的なネットワークを立ち上げました。Transgene社はmyvac™の開発のためにBpifranceより「Investment for the Future」基金を授与されています。 - (注5)NECのネオアンチゲン予測システムについて
ネオアンチゲン予測には、NECが新たに開発したグラフベース関係性学習を利用します。このAIエンジンは、NECが独自に蓄積してきたMHC(Major Histocompatibility Complex, 主要組織適合性遺伝子複合体)結合能の実験データをもとに学習させた予測技術を中心に多面的な項目を総合評価し、患者さんそれぞれが持つ多数の候補の中で、有望なネオアンチゲンを選定することができるものです。
NECの創薬事業について
本件に関するお客様からのお問い合わせ先
Transgene
Lucie Larguier
Director Corporate Communications & IR
TEL:+33 (0)3 88 27 91 04
E-Mail:investorrelations@transgene.fr
NEC AI創薬事業部
E-Mail:contact@aidd.jp.nec.com
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