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2020年度(21年3月期)第2四半期決算概要
Ⅰ. 第2四半期決算概要
まず始めに2020年度 上期実績の全体像をご説明いたします。
売上収益は、前年にあった大型案件の反動と、ビジネスPCの更新需要の一巡に加え、新型コロナウイルス感染症の拡大に起因するマクロ経済悪化の影響により減収となりました。
調整後営業利益は、費用コントロールや子会社株式の売却益を計上したものの売上収益の減少により減益となりました。
調整後当期利益は、調整後営業利益の減少に伴い減益となっております。
上期の売上収益は1兆3,150億円、調整後営業利益は290億円となりました。
また、調整後当期利益は166億円となりました。
フリー・キャッシュ・フローは297億円の収入となりました。中間配当は、期初からお約束していた1株40円の配当を、本日の取締役会で決定いたしました。
なお、本日発表の上期実績ですが、社内の想定に対して、売上収益が700億円、調整後営業利益で160億円、それぞれ下振れとなりました。
こちらは、セグメント別の実績をお示ししております。
各セグメントについては後ほど個別に説明いたします。
調整後営業利益について、前年からの増減要因をご説明いたします。
前年度の上期と比べて、ビジネスPCの売上減による40億円、19年度の大型案件の反動による100億円に加えて、5Gやデジタルトランスフォーメーションの共通プラットフォームへの投資増による90億円といった減益要因があった一方で、不採算案件で31億円の改善がありました。これらが当初から想定していた変動要因です。
この上期は、これに加えてマクロ経済悪化の影響を、グローバル・エンタープライズ・連結子会社の日本航空電子工業で受け、330億円の減益要因となっております。
この市況悪化の影響を費用コントロール、New Normal需要の獲得、子会社株式の売却で改善させるも、前年度比では263億円の減益となりました。
セグメント別の業績を説明します。
最初は社会公共事業です。
売上収益は、医療向けや地域産業向けの減少に加えて、ビジネスPCの売上減により減収となりました。
調整後営業損益は、売上減により減益となっております。
次に社会基盤事業です。
売上収益は、航空宇宙・防衛向けが減少したことに加え、連結子会社の日本航空電子工業の減により減収となりました。前年にあったビジネスPCの更新需要の反動減については、GIGAスクールの需要を取り込むことによりカバーしております。
調整後営業利益は、日本航空電子工業が悪化したことにより、減益となっております。
なお、日本航空電子工業を除いた単独ベースでは、売上減と稼働損によるマイナスの影響を不採算案件の改善により挽回し、前年並みの利益を確保しています。
エンタープライズ事業です。
売上収益は、前年の流通向け・金融向けの大型案件と、ビジネスPCの減少に加え、製造業や流通・サービス業におけるIT投資抑制により減収となりました。
一方で、New Normalにおける新たな需要も出てきており、今後の業績に寄与するものと期待しております。
調整後営業利益は、売上減により減益となっております。
ネットワークサービス事業です。
売上収益は、連結子会社のNECネッツエスアイでNew Normal商材を中心に増加し、増収となりました。
調整後営業利益は、NECネッツエスアイが増益となったものの下期以降の5G基地局出荷に向けた開発の加速に加えて、スタンドアローン向け機器開発のための開発費用の増加により減益となりました。
グローバル事業です。
売上収益は、需要が拡大している海洋システムが増加しましたが、ディスプレイ、ワイヤレスが減少したことに加え、KMD社の買収時に見込んでいた同社の一部事業の終息もあり、減収となりました。
調整後営業損益は、売上減により減益となっておりますが、費用コントロールを行うことで、この影響を一定程度、吸収できております。
グローバル事業の上期の売上を売却・縮小事業と、それ以外の継続していく事業に分けてお示ししております。
売却・縮小事業は、エネルギー、ディスプレイ、そしてKMD社の買収時に収束を見込んでいた事業となりますが、売上収益・営業損益ともにディスプレイ事業の悪化が大きく影響しております。
したがって、2020年度上期のグローバル全体の売上は減収となっておりますが、継続していく事業については、この状況下においても改善しております。
また、営業損益についても、継続していく事業のベースでは前年比で大きく改善し、増益となっております。なお、既に決定しておりましたディスプレイ事業のシャープとの合弁会社化は11月中に実施される見通しです。
受注動向についてご説明いたします。
全社の上期受注は、前年同期比でプラス2%となりました。特に第2四半期は、前年対比で10%の増加に転じ、第1四半期と比較してモメンタムが改善しております。
セグメント別に少し補足いたしますと、マクロ経済悪化の影響が大きい社会公共とエンタープライズは1Qと比べてマイナス幅が縮小し、社会基盤とネットワークサービスは前年から2Qで大きく増加、グローバルは海洋システム事業が1Q・2Qとも好調を維持しています。
フリー・キャッシュ・フローの状況です。
営業キャッシュ・フローは、売上の減少や、一部案件の前受金などにより、運転収支が約220億円改善しましたが、調整後営業利益が263億円悪化したことに加えて、税金・賞与などの支払い増による約370億円の悪化により、前年比で414億円の悪化となりました。
一方、投資キャッシュ・フローは、データセンター投資の一巡や、関係会社再編の影響などにより、155億円の改善となりました。
これらの結果、フリー・キャッシュ・フローは、297億円の収入となりました。
Ⅱ.業績予想
続いて、2020年度通期の業績予想についてご説明いたします。
年間の業績予想は、5月12日に公表した計画から変更しておりません。
新型コロナウイルス感染症の拡大を起因とするマクロ経済の悪化の影響についてご説明いたします。
期初時点では、営業利益で年間500億円のマイナス影響を想定しておりましたが、上期実績および今後の見通しを踏まえ今回精査し、本日時点では650億円のマイナス影響を想定しております。感染症拡大の収束に今しばらくの時間を要することに伴い、影響も当初より拡大する見込みです。
このマイナス影響を、費用コントロール、New Normal需要の獲得、そして特別対策によって相殺していくという考え方に変更はございません。
まず、費用コントロールについては予定通り進捗しており、今後も不要不急の費用を抑制することで年間で220億円の改善を見込んでいます。
次に、New Normalにおける新たな需要の獲得に関しては、補正予算や当注当売の案件を更に積み上げていきます。現時点で年間160億円のうち、60億円は見えておりますので、残り100億円の足付けを進めてまいります。
また、コーポレートとしての追加の特別対策として、昭和オプトロニクス社の株式売却や、本日発表しました相模原事業場の土地譲渡により、合計で270億円の利益寄与を見込んでいます。
キャッシュ・マネジメントについて説明いたします。
9月末のコミットメントラインを含めた手元流動性は、月商の2.8か月分となり、継続的なフリーキャッシュフローの創出や、7月の第三者割当増資により、前年同期比では0.4か月の改善となりました。
マクロ経済悪化への備えとして、引き続き万全の手元流動性を確保しております。
経営トピックを2つご紹介いたします。
まず1点目は、相模原事業場の土地をヒューリック株式会社に譲渡することを決定いたしました。
相模原事業場はNECグループ外の企業による利用比率が拡大しており、以前と比較して利用形態が変化しています。
本譲渡により160億円の営業利益を今年度下期に計上する見込みです。資産圧縮によるキャッシュの創出を加速し、成長投資へと振り向けていきます。
経営トピックの2点目は、10月5日に発表しましたスイスの大手金融ソフトウェア会社であるAvaloq社の買収についてです。
Avaloq社は、金融資産管理向けソフトウェア市場において、欧州でシェア1位、APACでも2位のシェアを持つ会社であります。
Avaloq社の保有する、強固な顧客基盤やデジタルファイナンスのプラットフォーム、データ分析ソリューションと、NECが保有する生体認証やAI、ブロックチェーン、グローバルでの展開力を掛け合わせることで、グローバルにおけるデジタルファイナンス領域に本格進出してまいります。
買収金額は約2,360億円となり、手元資金を充当いたします。なお、本買収は2021年4月までの買収完了を予定しております。
説明は以上になります。
新型コロナウイルス感染症の影響が当初の見込みより長期化する中で、当社業績へのマイナス影響も当初の見込みより大きくなる想定です。
しかし、本日ご説明させていただいた各種の施策を着実に実行することで、調整後営業利益の1,650億円は是非とも達成し、来年度からスタートする次の中期経営計画に繋げていきたいと考えています。
以上