サイト内の現在位置

経営戦略

文字サイズ

(2024年6月21日現在)

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、NECグループが判断したものです。

(1) 会社の経営の基本方針

NECグループは、NECグループが共通でもつ価値観であり、行動の原点として「NEC Way」を規定しています。

「NEC Way」は、企業としてふるまう姿を示した「Purpose(存在意義)」「Principles(行動原則)」と、NECグループの一人ひとりの価値観・ふるまいを示した「Code of Values(行動基準)」「Code of Conduct(行動規範)」で構成されています。

「Purpose(存在意義)」は、Orchestrating a brighter worldをもとに、豊かな人間社会に貢献する姿を示した宣言です。

Orchestrating a brighter world

NECは、安全・安心・公平・効率という
社会価値を創造し、
誰もが人間性を十分に発揮できる
持続可能な社会の実現を目指します。

「Principles(行動原則)」は、NECグループとしての行動のもととなる原則であり、次の3つの心構えを示しています。

創業の精神「ベタープロダクツ・ベターサービス」
常にゆるぎないインテグリティと人権の尊重
あくなきイノベーションの追求

「Code of Values(行動基準)」は、NECグループの一人ひとりが体現すべき日常的な考え方や行動の在り方を示した行動基準です。

視線は外向き、未来を見通すように
思考はシンプル、戦略を示せるように
心は情熱的、自らやり遂げるように
行動はスピード、チャンスを逃さぬように
組織はオープン、全員が成長できるように

「Code of Conduct(行動規範)」は、NECグループの一人ひとりに求められるインテグリティ(高い倫理観と誠実さ)についての具体的な指針であり、次の章から構成されています。

  1. 基本姿勢
  2. 人権尊重
  3. 環境保全
  4. 誠実な事業活動
  5. 会社財産・情報の管理

コンプライアンスに関する疑問・懸念相談、報告

NECグループは、「Purpose」を全うするため、「Principles」に基づき、中期経営計画をはじめとする中長期的な経営戦略を実践し、社会価値の継続的な創出と企業価値の最大化をはかっていきます。
また、NECグループの一人ひとりが、「Code of Values」に基づき、自らの働き方や組織のあり方を常に見直し、改善するとともに、高い倫理観と誠実さをもったよき企業人として「Code of Conduct」を遵守していきます。
社会や顧客が期待する価値は常に変化し続けていることから、NECグループがこれからも社会から必要とされる存在であり続けるためには、何が価値となるのかを常に考え、新たな価値を創造していく必要があります。NECグループは、情報通信技術とさまざまな知見・アイデアを融合することで、世界の国々や地域の人々と協奏しながら、明るく希望に満ちた暮らしと社会を実現して未来に繋げてまいります。

(2) 目標とする経営指標

NECグループは、企業価値の最大化に向けて、Purpose・戦略・文化の一体的な取り組みを経営方針として掲げています。Purposeの具現化に向けて、戦略ではEBITDA成長率(*1)を、文化ではエンゲージメントスコアを、特に中核指標と位置づけています。加えて、売上収益、調整後営業利益(*2)、Non-GAAP営業利益(*3)、親会社の所有者に帰属するNon-GAAP当期利益(*4)、EBITDA(*5)およびROIC(*6)を経営上の目標として掲げています。

  • *1
    EBITDA成長率:2020年度から2025年度までの期間におけるEBITDAの年平均の成長率を意味します。
  • *2
    調整後営業利益:営業利益から、買収により認識した無形資産の償却費およびM&A関連費用(ファイナンシャルアドバイザリー費用など)を控除した利益指標です。
  • *3
    Non-GAAP営業利益:営業利益から、買収により認識した無形資産の償却費およびM&A関連費用(ファイナンシャルアドバイザリー費用など)ならびに構造改革関連費用、減損損失、株式報酬その他の一過性損益を控除した本源的な事業の業績を測る利益指標です。
  • *4
    親会社の所有者に帰属するNon-GAAP当期利益:親会社の所有者に帰属する当期利益から税引前当期利益に係る調整項目およびこれらに係る税金相当・非支配持分相当を控除した、親会社の所有者に帰属する本源的な事業の業績を測る利益指標です。
  • *5
    EBITDA:売上総利益-販売管理費+減価償却費・償却費
  • *6
    ROIC:(調整前営業利益-みなし法人税<30.5%>)÷(期末有利子負債+期末純資産<非支配持分含む>)

(3) 経営環境

当連結会計年度の経済環境は、欧米を中心に物価水準の高止まりとこれまでの金融引き締め政策などの影響により、世界経済の改善ペースは緩やかなものとなりました。日本経済は、物価高などの影響により、民間需要を中心に改善ペースが緩やかなものとなりました。
一方で、IT投資が世界的に活性化しており、国内においても過去最高水準の投資意欲がみられます。従来型ITインフラのクラウドシフト、通信インフラの増強などが需要を強く下支えし、社会全体のデジタル化が進展しています。また、質問や指示に応じて文章や画像を生成する「生成AI(人工知能)」が大きな注目を集め、AIによる働き方や社会の変革にも大きな関心が寄せられています。環境問題をはじめとした社会課題がますます深刻化・複雑化する中で、持続可能な社会の実現に向けた企業の貢献が求められており、テクノロジーの役割が増大しています。
このような経営環境のもと、NECグループは、Purpose・戦略・文化の一体的な取り組みを経営方針として掲げる「2025中期経営計画」を策定し、高いモチベーションをもって、ITサービス事業および社会インフラ事業を中心とした成長の実現や、サステナビリティ経営の基盤強化などを目指します。

(4) 中長期的な会社の経営戦略および対処すべき課題

NECグループは、2021年5月に発表した「2025中期経営計画」に基づき、Purpose・戦略・文化の一体的な取り組みを経営方針として掲げ、その実現に向けて、役員・社員一丸となって取り組んでいます。

① Purpose

NECグループは、「NEC Way」において、安全・安心・公平・効率という社会価値を創造し、誰もが人間性を十分に発揮できる持続可能な社会の実現をPurposeとして掲げています。社会価値を創造する企業として、社会や顧客との「未来の共感」を創ることで、その実現を目指します。

② 戦略

NECグループの強みである技術力を顧客価値に転換し、「ITサービス」および「社会インフラ」の事業を中心に成長を実現します。
「ITサービス」のうち、国内ITサービス事業では、DX(デジタルトランスフォーメーション)事業の共通基盤である「NECデジタルプラットフォーム」(*)において、クラウド、モダナイゼーション、AI (特に生成AI) 、セキュリティを中心に強化することで、高い売上成長と収益性の実現を目指します。コンサル起点で戦略構想策定から実装・運用までをEnd to Endで支援するビジネス(コンサル起点ビジネス)においては、アビームコンサルティング㈱との連携を通じて、上流コンサルを起点に顧客との価値共創ビジネスを拡大します。加えて、社会の変革を後押しするプロジェクトについても、当社の強みを活かし、政策と連動することで、新たな事業機会を創出します。海外ITサービス事業(デジタル・ガバメントおよびデジタル・ファイナンス)では、売上拡大による利益底上げに加え、収益性の高いソフトウェア・SaaS事業に注力し、オフショア拡大やコスト削減などによる競争力強化をはかります。
「社会インフラ」のうち、テレコムサービス事業では、通信領域の仮想化・オープン化を推進し、ソフトウェア・サービスや通信事業者のDX(デジタルトランスフォーメーション)といった高付加価値領域の拡大による収益性の向上を目指します。また、パートナー企業との連携強化により、国内外へ販路を広げていきます。エアロスペース・ナショナルセキュリティ事業では、獲得済の案件を着実に実行するとともに新規案件の獲得により事業拡大をはかります。
新規事業開発では、AI関連事業、ヘルスケア・ライフサイエンス事業およびカーボンニュートラル関連事業において、NECグループがグローバルで強みを持つ技術をベースに、海外を含む先端顧客、研究機関との協業やNECグループが近年培ってきた新事業開発ノウハウ・手法を用いて事業化を進めていきます。
上記に加え、利益率が低い事業については、CFO主導による徹底的なモニタリングを強化しており、着実な収益性の改善をはかっていきます。また、改善計画が未達成となった場合には、事業撤退を含めた経営判断を行うなどして、各事業における堅調な成長と競合他社を上回る利益率の実現を目指します。
これらの成長戦略の実行の裏付けとなる財務力については、持続的なEBITDAの成長に加え、保有資産の最適化を進めることでキャッシュ・フローを創出します。それらを原資に事業成長を重視したキャピタル・アロケーションを実行するとともに、強固な財務基盤の維持・強化をはかり、今後の成長投資を支えます。
また、NECグループでは、Purpose経営を推進するために、ESG視点の経営優先テーマとして「マテリアリティ」を特定しています。マテリアリティの実践を通じて大きな社会・環境価値および経済価値を創出し、主要なESGインデックス銘柄への継続的な組み入れを目指します。

③ 文化

Purposeの実現には、高いモチベーションをもつ社員の存在が不可欠であることから、社員に選ばれる会社(Employer of Choice)への変革を目指し、人とカルチャーの変革に取り組んでいます。
2024年度は、社員が「NEC Way」に基づく会社の方向性を理解、共感し、自身の仕事に誇りを持って働けるよう全社方針・戦略の浸透を強化します。
具体的には、NECグループ各社で実施しているタウンホールミーティングをグローバルでも実施し、経営層とのコミュニケーションを強化します。加えて、各組織のリーダーが自組織の「NEC Way」実践を伝える連鎖ミーティングを実施することで、組織が向かう方向性に対する社員の理解を促進します。また、市場の変化にしなやかかつスピーディに対応し、かつパフォーマンスに応じたフェアな評価をするために全社員を対象としたジョブ型人材マネジメント制度を導入し、「適時適所適材」の実現や、イノベーションの源泉であるダイバーシティのさらなる加速を推進します。さらに、経営インフラについては、社員の仕事の仕方そのものを変えるべく、組織の変革を成功に導くための管理手法であるチェンジマネジメントを強化するとともに、様々なデータを蓄積し、デジタル技術を駆使してビジネスのあらゆる局面においてデータ主導での意思決定をする経営(データドリブン経営)を推進することにより、会社の成長と収益性の向上を目指します。

上記の各施策を通じて、2025年度に、EBITDA成長率8%およびエンゲージメントスコア50%、ならびに、売上収益3兆5,000億円、調整後営業利益3,000億円(利益率8.6%)、Non-GAAP営業利益3,000億円(利益率8.6%)、親会社の所有者に帰属するNon-GAAP当期利益1,850億円(利益率5.3%)、EBITDA4,250億円(利益率12.1%)、ROIC6.5%の達成を目指します。
NECグループは、Purposeの実現に向け、「2025中期経営計画」の達成をとおして、国際連合の定める「SDGs」の達成に貢献します。

* 2024年5月にNECデジタルプラットフォームは、価値創造モデル「BluStellar(ブルーステラ)」へ進化しました。