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インタビュー

2023年9月20日

量子コンピューティングを活用して
社会課題解決を具現化する若手社員の力

量子コンピューティングを活用した新事業の創出に向けて世界中がしのぎを削っています。量子コンピュータのコアである「量子ビット」の製造に世界で初めて成功したNECは、すでにお客様の課題解決に量子コンピューティングを活用し、海外展開にも乗り出しています。この事業の推進を支えるのが入社3年目の伴内さんと入社2年目の上野さんです。二人の若手社員に、その奮闘ぶりを聞きました。

NECの高い技術力が入社のきっかけに

―量子コンピューティング統括部ではどのような仕事をされていますか。

上野 今年が入社2年目で、量子コンピューティングのサービス開発に携わっています。量子コンピューティング技術を使って、お客様の業務プロセスに内在する組み合わせ最適化問題を解決する仕事です。お客様とともに、最先端の量子コンピューティング技術の実用化に向けて日々挑戦しています。

伴内 私は入社3年目になります。組み合わせ最適化問題を解くための専用マシンであるNEC Vector Annealing(疑似量子アニーリング)というソフトウェアの製品開発を担当しています。上野さんがお客様の最適化問題を解く仕事をしていますが、その土台となる製品の開発になります。

―NECを就職先に選んだ理由を教えてください。

上野 大学院まで超伝導材料の研究をしていました。研究室では研究者の経験や知識に頼り、物質を古典的に混ぜながら材料を作って、検証を繰り返していました。そのときに、候補となる材料の組み合わせをシミュレーションで絞り込めたら効率的に新物質を発見できるのではと思ったのが、量子コンピュータやスーパーコンピュータに興味を持ったきっかけでした。NECは、世界で最初に量子コンピューティングに使う量子ビットを作った企業であり、またスーパーコンピュータの技術力も高く、就職先として魅力的でした。

伴内 私は大学で量子力学や統計力学を使った物性理論の研究をしていたので、そうした経験を生かせる仕事に就きたいと考えていました。調べたところ、NECがスーパーコンピューティングや量子の分野で技術力があり、研究開発にも力を入れていることがわかり、入社を志望しました。

量子コンピューティングと現実世界の架け橋を作る

―従事するプロジェクトの具体的な内容を教えてください。

上野 物流業界のお客様向けに、量子コンピューティングを活用した配送計画シミュレーションを提供する案件を担当しています。拠点統廃合の計画がある企業において、統廃合後の配送計画としてどのような計画が最も良いかを導出する案件です。シミュレーションの確度が高く、最適な計画を低コストで素早く導出することを目指しています。また、すでに物流領域において公表している成果としては、グループ会社であるNECフィールディングの配送計画の立案にNEC Vector Annealingを導入することで、これまで2時間かかった立案時間を12分まで短縮できています。

伴内 私は主に2つのプロジェクトを並行して進めています。1つは冒頭でも説明したように、組み合わせ最適化問題を解くための専用マシンであるベクトルアニーリングの製品開発です。連携している研究所(NEC データサイエンスラボラトリー)が開発した技術や機能を、お客様に届けられる製品の形に落とし込む作業になります。もう1つはベクトルアニーリングの海外拡販支援です。2022年に海外の拡販チームが立ち上がり、拡販メンバーへの技術支援や、お客様への技術的な紹介をしています。

―量子コンピューティングに仕事として関わるようになって、それまでの印象と変わったことはありますか。

上野  学生時代は量子コンピューティングというと最先端の技術で、何でも解決できるのではという期待がありました。しかし、現在の量子アニーリング技術では組み合わせ最適化問題に限られるように、得意分野が絞られています。技術的には量子アニーリング技術はとても素晴らしいものですが、まだ発展途上の段階です。一方で、これまで長年研究されてきた従来の数理最適化技術にも得意分野があります。このような事実を知り、従来型技術と量子コンピューティングを補い合ったり、得意なところを発展させたりという進め方がよいのかなと思うようになりました。

伴内  このグループに配属される前は、量子コンピューティングは最先端の分野であり、研究開発的な作業がメインなのだろうと思っていました。ところが、実際に量子コンピューティング統括部に配属されると、ベクトルアニーリングは製品としてすでに提供されていて、お客様の課題解決のために使われていることを目の当たりにしました。良い意味で、量子コンピューティングを技術開発だけで終わらせるのではなく、社会課題を解決することに意義を感じているNECの量子コンピューティング事業に対する本気度を感じました。

小さなチームで風通しのよい仕事環境から生まれるコミュニケーション

―お二人は連携して仕事をすることはありますか。

上野 私がお客様から課題ヒアリングを行います。その課題をNEC Vector Annealingに解かせるためには、数式に落とし込む作業(定式化)が必要です。定式化を行うときに、伴内さんにアイデアを求めて一緒に解決していくといった連携があります。週に数回は伴内さんや年齢の近い先輩方と1on1(社員同士が1対1でコミュニケーションを行うミーティング)で気軽にオンラインで相談できる機会があるので、困ったときにも相談しやすい環境です。

伴内 量子コンピューティング統括部はまだ立ち上がって間もないグループで、組織がコンパクトである上に風通しが良いです。私たちは入社数年目という若い立場ですが、統括部長クラスの方にも意見を言えて、しっかり聞いてくれるような雰囲気はありがたいです。

―お二人が今の業務で一番チャレンジしていることをお聞かせください。

上野 量子コンピューティングを活用して実際の本番業務で運用いただける価値のあるサービスを生み出すことです。お客様が本当に喜んで利用していただけるサービスを創造することに日々チャレンジしています。

伴内 NEC Vector Annealingの海外拡販をすることが、個人としてもチームとしても1つの大きな目標です。すでに多くのお客様に試用していただき、高い評価をもらっていますが、売上を伸ばすという成果を出すためにどう進めていくかのチャレンジをしているところです。

―最後に、今後の抱負を教えてください。

上野 夢は量子コンピューティングを応用して、室温超伝導物質を見つけることです。並行して、病気治癒のための創薬開発や物流問題などの社会課題を解決できるソリューションを考えて、世の中に貢献していきたいです。

伴内 量子コンピューティングは最先端で研究中の技術ではなく、NECではすでにお客様や社会課題を解決できるレベルになっていることをもっとアピールしていきたいです。そして、ゆくゆくは量子コンピューティングも含めた最適化の領域で、お客様により良いソリューションを提供できるような人材になりたいと思っています。

  • 量子コンピュータにはゲート方式とアニーリング方式の2種類があり、このうちアニーリング方式は組み合わせ最適化問題を解くことに特化した方式になります。

学生時代は物理学を専攻し、NECに新卒入社。以来、ベクトルアニーリングの製品開発、海外拡販支援、大学との共同研究等に従事。趣味はスポーツ観戦と旅行。夏の時期にはよく高校野球の現地観戦に行く。入社後は旅行で各都道府県を渡り歩くことに熱中しはじめ、あと3県で全国制覇。

量子コンピューティング統括部
伴内 光太郎さん(担当)

大学院修士課程修了後、NECに新卒入社。以来、量子コンピューティングを活用した最適化ソリューションのコンサルティングに従事。趣味はガンプラづくり。尊敬する人は高杉晋作。座右の銘は「おもしろき、こともなき世を、おもしろく」。

量子コンピューティング統括部
上野 瑛士さん(担当)

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