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リビングラボを活用したサービスアイデア創出

市民、NTTテクノクロス,NECによる共創プロジェクト

市民、NTTテクノクロス,NECによる共創プロジェクト

NECでは「社会課題の解決」を大きなテーマに掲げていますが、より複雑化する社会課題や変化の大きい生活環境に対して、求められるサービスや製品は多様化しています。こうした状況の中で、利用者の真のニーズを捉えるには、利用者の声を直接聞く必要があります。その仕組みづくりの一環としてわたしたちが検証を進めているのが「リビングラボ」という取り組みです。

リビングラボとは、2000年代から北欧を中心に世界中に広まった取り組みで、利用者(市民)、企業、自治体、大学などが対等の立場で参加し、サービスや製品の開発などを行う方法(仕組み)です。サービスや製品が完成した後に試用してもらう製品テストとは違い、課題を見つける最初の段階から利用者に参加してもらうことで、本当に必要なサービスや製品を開発しようというものです。また、利用者に実生活の中でサービスや製品を継続的に試用してもらうことで、行動に関するより深い洞察が得られるのも特長です。

このリビングラボの有効性を評価し、知見(制約、進め方、手法など)を蓄積するため、わたしたちは、2017年5月より、「ともに育むサービスラボ」というリビングラボを運営する、NTTテクノクロスと協力して、子育て中の参加者(市民)と、新しい子育て支援サービスのアイデアを創出する共創活動をはじめました。

サービス検討のプロセス

テーマに掲げたのは、「育児中の親の『過ごしたい理想の時間』を実現する新規サービス」です。NTTテクノクロスとNECのUXデザイナーが、子育て中の参加者同士(市民)で等身大の悩みや必要とすることを話し合ってもらいながら、日々の生活におけるニーズを探り、その優先順位付けを実施。そのニーズを満たすためのアイデアを検討し、さらに、その実現方法を考えました。

1:日々の生活に対するニーズを探る

理想的な過ごし方を、雑誌の写真を材料にイメージしてもらう

リビングラボ実施風景写真

2:ニーズを満たすアイデアを考える

1で出たニーズの中から、重要度の高いものを選択し、それを叶えるために必要な条件を洗い出す。

リビングラボ実施風景写真

3:アイデアを具体化する

2で出たアイデアから3つのコンセプトを創出。参加者の生活をイメージしてもらいながらアイデア出し。

ワークシート(デジタルおばあちゃん)の記録写真1

4:アイデアの実現方法を考える

3で出されたアイデアを、いつ、どこで、何を使って、どうするかを考えて、実現方法を考える。

ワークシート(デジタルおばあちゃん)の記録写真2

リビングラボのアウトプット

共創活動の主な成果が、次の3つの子育て支援サービス(コンセプト)です。

デジタルおばあちゃん

たとえば、子どもの幼稚園の行事で「服装で周りの親から浮きたくない」と思っている親に、去年の様子を写真で教えてくれたり、「時短ができて食材に無駄がない献立を選ぶのが大変」という親に、スーパーに行った際に買い物の指示をしてくれたり。架空のおばあちゃんが、日頃の困りごと・知りたいことを教えてくれるサービスのアイデアが生み出されました。

デジタルおばあちゃんのコンセプト画像

体験型エンターテイメント

意外と大変な子どもとの外出。その時間を、準備、移動、滞在、振り返りという一連の流れに合わせて、安全で楽しい体験にしてくれるサービスが求められました。 たとえば旅行先で遊べる場所として、観光やアミューズメント施設だけでなく、子どもが普段通りに遊べる「地元の子どもたちが遊ぶ公園」のような場所を検索できるなど、参加者のリアルな悩みとそれに対する解決法がサービスアイデアとして生まれました。

体験型エンターテイメントのコンセプト画像

子供中心設計

たとえば、子どもが片付けをせずにいるときに親がイライラすると、その気分が子どもに移り、さらにグズグズしてしまうもの。そこで親のイライラ度をフィードバックして、親に気づきを与える事ができれば、親子の関係を良好にしてくれます。
子どもの習性を尊重(うまく利用)し、親子が楽しく過ごせる「子供中心設計」というサービスのアイデアも創出されました。

子供中心設計のコンセプト画像

リビングラボで活用した手法

リビングラボ(共創活動)の実施で特に重要なのが、参加者(市民)が気軽に意見を述べられる場づくりです。そこで、NTTテクノクロスのUXデザイナーが主にコミュニティづくりや当日の進行を、NECのUXデザイナーが主に活動を円滑に行うための仕掛けや道具づくりを担い、参加者(市民)が意見を述べやすい環境を整えました。その中で用いたのは、次のようなデザイン手法や工夫です。

「コラージュ法」で参加者のニーズを引き出す。

初回の取り組みで、参加者が日々の生活で感じている理想の時間やニーズを探るために用いたのが「コラージュ法」です。その内容は、ファッション雑誌や旅雑誌などを会場に用意し、気に入った写真を破いて自身の前に置いてもらい、話のきっかけにしてもらうというもの。何か感じているけれど、「口ではうまく言えない」という人に、話をしてもらうきっかけを提供するために用いました。子どもが同席していることもあり、ハサミを使わず、手でびりびりと破いてもらうなど、その場に合わせた工夫もしています。この手法により、最初の段階で多くのニーズを引き出すことができました。

写真

気になる雑誌を切り抜いてもらい、話のきっかけにする「コラージュ法」

参加者がなじみやすい「ニーズカード」

たくさん出たニーズを絞り込んだら、今度は参加者に「今すぐ叶えたいもの」「できれば叶えたいもの」「我慢できるもの」の3段階に分けてもらいます。その後、優先度の高いニーズについて深掘りし、そのニーズを満たすアイデアを話し合ってもらいました。
これらの作業において、参加者同士がスムーズに話し合えるよう、ニーズをまとめた10枚のカードを作りました。このカードでは、前回からの連続性が感じられるように、切り抜いた写真をそのまま使いました。ニーズが出てきた背景などの説明も記載して、前回参加していなかった人もすんなり入り込めるようにしています。
さらに、色味やイラストなどをやわらかく仕上げて、なじみやすいよう工夫しています。

ニーズカードの図

参加者の声とイメージをわかりやすくまとめたニーズカード。

実現方法を考えるための「ストーリー仕立てのワークシート」

ニーズを満たすためのアイデアがまとまったら、次はそのアイデアの実現方法を考えてもらいます。そのときには、参加者がサービスを使っている場面を想像しやすいように、ストーリーを考えながら作るワークシートを使いました。その内容は、左端に困ったことがあり、右端に、実現したい理想の姿をゴールとして配置。その間を参加者に埋めてもらうというものです。さらにスマホやタブレットなどの道具を表すカードや、利用場所を示すシートなども用意し、実現方法をより具体的に考えられるようにしました。

ワークシートの図1

ワークシートの図2

参加者に「困った〜したい」から「やったー」までの間を埋めてもらう
ストーリー仕立てにしたワークシート。

このように、さまざまな工夫や手法を用いることで、市民参加型共創活動のノウハウを蓄積しました。こうして得た知見とサービスコンセプトが、今回の大きな成果です。
わたしたちは、今後、3つのサービスの事業化に向けた取り組みを進めるとともに、利用者(市民)とともに製品・サービス開発を目指す、リビングラボの手法やノウハウを、さまざまなビジネスの場に活用していこうと考えています。

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