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BluStellar 「成功のカギは“社員の共感”」
グループ全体を巻き込むブランド戦略
「BluStellar(ブルーステラ)」。2024年5月にNECが発表した企業や社会のDX(デジタルトランスフォーメーション)を加速させる価値創造モデルです。足掛け4年にわたる試行錯誤の末に誕生したBluStellarは、単なるブランドに留まらず、社会価値の創造を使命としています。この使命を全うするために、立ち上げを率いたメンバーがこだわったのは「社内」、すなわちグループ全体の巻き込みでした。「成功のカギは社員の共感」 ──この言葉に象徴される、立ち上げの裏側に迫ります。
「まず足元から」社内に向けて生配信
「BluStellarはNECが自らやってきた変革実践の集大成」。2024年5月30日、NEC本社に集まったメディアやアナリストを前に、社長兼CEOの森田隆之は力を込めました。これまで訴求してきたNEC Digital Platformをリブランドし、上流コンサルから実装、運用・保守まで、すべてのプロセスでの価値提供。システムやプロダクト、サービスを顧客に「オファリング」する提案型のビジネス展開を加速させる「価値創造モデル」を打ち出したこの発表は、数多く報道され、注目を集めました。
この日の説明会、実はNECグループ内からも熱視線を浴びていました。社内で「生配信」が実施されていたのです。
生配信を行った背景を、BluStellarのブランド立ち上げメンバーの一人、マーケティングビジネスパートナー統括部の茂木崇は語ります。「BluStellarを社会に浸透させるためには、まずつくりあげたコンセプトを、社内に浸透させ、社員に共感してもらうことが必要不可欠でした」。この戦略に至るには、茂木自身の教訓がありました。
「ブランドキングって社内で呼ばれていたんです」と茂木がやや自嘲気味に打ち明けるのは、二けた近くのブランドの企画や推進を担当したという実績があるものの、苦い経験もあるからです。社外に華々しく発表やキャンペーンを打っても、たくさんブランドがあるなかで、社員が正しく名前やその提供価値をお客さまに伝え切れないケースもあったといいます。
「NECの想いを世の中に広める最も頼もしい戦力が一人一人の社員」「社員の共感を得るアプローチを疎かにしたら、どんなに良いものでもお客様にも社会にも広がらない」。当たり前のことかもしれない。でも足元から固めないと成功はない。この経験が、社内アプローチに力を入れる原点となりました。
足掛け4年 だからこそ生み出せた「共感」
今回の発表に向けた動きは4年前にスタート。最初の一歩はコンセプトを煮詰めることでした。
立ち上げの時点ですでに「社内の共感」作りは動き出していたといいます。
徹底したのは社内横断のワークショップです。マーケティング、コンサルタント、ビジネス関係などメンバーが集い、何度も議論。NECの強みは。目指す姿は。社員が伝えやすく、愛着を持つには。NECのPurpose(存在意義)である「安全・安心・公平・効率という社会価値を創造し、誰もが人間性を十分に発揮できる持続可能な社会」の実現へつながるものを。たどりついたのが、コンセプト「未来へ導く、光となる。」と「BluStellar」という名称でした。名称だけでなくロゴデザインやコンセプトムービーなどを決める際には社員投票を実施しています。
「立ち上げ期間として4年は“長すぎる”と言ってもいい」と茂木は笑いつつも、「時間をかけたからこそ社員に“いいね”と思ってもらえるものにできた」といいます。この4年の間にNECのDXの実績や組織も大きくなり、テクノロジーが育ち、自信をもってBluStellarをお客さまに提供できる状況が整えられました。
社内生配信の当日は、想定を上回るアクセスが殺到。見られなかった社員からの要望を受けてアーカイブ配信も行った結果、視聴者は合計1万人以上にのぼりました。翌日に行われた森田CEOと社員のコミュニケーションの場「CEO Town Hall Meeting」でもテーマに取り上げられ、盛り上がりました。
未来への光 社員みんなでともす
手応えは少しずつ得られています。「カッコイイ」といった声や「BluStellarのブルーはNECのロゴのブルー由来ですか」とオリジナルの解釈も。「こんなにポジティブな社内の反応はブランド企画に携わるようになって初めて」と茂木は喜びます。
営業職のリクエストにも対応しました。「商談で使える小ネタがほしい」「想いをわかりやすく伝えるには」という要望に応じて、営業向けトーク集(通称「虎の巻」)を作成。「イタリア語でBluは”青”、Stellaは“星”」「青い星というと、一般的に地上から見えるもっとも明るく見える恒星の”シリウス”をさすので“最も明るく輝く一等星”としてお客様を導けるように」といった具合に、トーク用に絞った「ここだけの話」を載せて社内公開しています。こうした施策もあり、発表後の社内アンケートでは認知度99%となっています。
「価値創造モデル」をBluStellarの枕詞にしたのも社内議論の結果です。敢えて「DXブランド」と名乗らないのは、DXの次のステージを目指しているから。この言葉が世の中になじむのはこれからのことですが「“価値創造モデルってどういうことですか?”と尋ねられれば、こっちのもの、そこから対話が始められる」と茂木はいいます。価値創造モデルが当たり前の言葉になり、「みんなのBluStellar」になることを目指し、社内で事業のマイルストーンについて議論し続けています。まず足元から光をともすために。お客様を未来に導くために。