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セイコーエプソン株式会社様

NECのサポートにより、エプソンがグローバルSCM改革を推進。
需給計画業務のワンヘッド化、計画リードタイムの大幅短縮により在庫削減を目指す。

事例の概要

2分で分かる導入事例

セイコーエプソン株式会社様(以下、セイコーエプソン様)は、プリンタおよびその消耗品の事業領域において、グローバルSCM改革に着手。従来、各製造・販売拠点が個別に行っていた計画業務をセンターに集約すると共に、計画策定・実行期間も月単位から週単位に変更しました。これにより、グローバル規模でサプライチェーンの全体最適化を実現し、需要変動への対応スピードの向上をねらっています。現在は、先行してインクジェットプリンタ用消耗品の計画システムが稼働を開始。2010年度末には、その消耗品在庫の70億円削減と市場応答性の向上を見込んでいます。

導入背景・課題

  • グローバル規模で地域ごとの需要格差が進行するだけでなく、消耗品の品目数も年々増加するなど、プリンタ事業を取り囲む経営環境は大きく変化しています。しかし、従来は、各拠点の生産・販売・在庫の計画情報を統合するために多くの工数がかかるだけでなく、計画立案サイクルも月単位であったため、それらの変化に機敏かつ柔軟に対応するのが困難でした。グローバル市場を勝ち抜く変動対応力と統制力を獲得するため、計画業務オペレーション改革が急務となっていたのです。
  • 改革実現のための課題は、生産・販売・在庫計画の精度向上、変化に対する機敏性と柔軟性のレベルの向上などでした。それには「ワンヘッドで一元化・見える化された計画立案」を基本として「週次サイクルで市場変化への対応力のある高精度な計画策定」と「全体最適を目指した在庫配置計画の策定」を実現するグローバルSCMシステムの構築に早急に着手する必要がありました。

導入成果

グローバルSCMシステムの導入により、生産・販売・在庫計画のサイクルを月単位から週単位に短縮。グローバル市場の変化に迅速に対応できる高精度な計画業務、全拠点の販売・生産データの一元化・見える化を実現しました。

在庫保有コストを抑制するという目標に対して、2010年度末までには、インクジェットプリンタ消耗品の在庫金額の70億円削減、およびそれに付随する在庫保有コストの削減を予定しています。

NECの提案

  • NECの専門コンサルタントが、「グローバルサプライチェーンコンサルティング」手法を用いて、トータルにグローバルSCMシステムの実現を支援しました。具体的には、セイコーエプソン様と共同で現状業務分析、課題抽出から構想企画を実施。さらには、新たな業務プロセスの設計、トレーニング、運用定着(チェンジマネジメント)までをサポートするなど、企画から業務定着まで、幅広い領域で独自のノウハウを提供しています。
  • コンサルティングに基づいたグローバルSCMシステムのシステム設計・構築サービスも合わせて提供。システムの運用の面では、ハードウェアやOSなどの資産と運用業務をNECが一括して受託する「プラットフォームマネージドサービス」を提案し、採用いただいています。

事例の詳細

セイコーエプソン株式会社
情報機器事業セグメント 機器経営企画・管理室 主幹 (情報化ビジネスパートナー戦略担当)
澤田 隆治 氏

今後、継続するプロジェクトについても、ビジネスパートナーとして、さらなるバージョンアップの提案をいただきたいですね

セイコーエプソン株式会社
情報機器事業セグメント 機器事業企画・管理室 機器事業企画・管理部 部長
井口 信夫 氏

グローバルSCM改革の成功体験に基づくコンサルティングによって、システム機能視点・プロジェクトマネジメント視点の両面から、サポートいただきました。
また、新たな業務プロセス設計の部分などでは、その経験をベースに有意義な業務モデリングの検討ができたと思います

導入の背景

複雑化する市場に柔軟に対応できるグローバルSCM改革が急務に

プリンタやスキャナ、プロジェクタなどの情報関連機器、半導体などに代表される電子デバイス、産業用ロボットなどのFA製品など、幅広い領域でビジネスを展開しているセイコーエプソン様。

同社の中核事業の1つであるプリンタ事業は、ビジネス向けプリンタ、コンシューマ向けプリンタとインクカートリッジや各種メディアなどの消耗品で構成されています。このプリンタ事業は、近年、大きな転換期を迎えていました。

機器事業企画・管理室 部長の井口 信夫氏は、「例えば、主力製品の1つであるインクジェットプリンタは、日本や欧米では複合機へのシフトによる商品構成の変化と成長の鈍化に見舞われている反面、そのほかの地域では需要が拡大するなど、グローバル全体で市場が複雑化しています」と語ります。

こうした変化に柔軟に対応する変動対応力と統制力を獲得するためには、グローバルサプライチェーンの最適化が欠かせません。しかし、同社の計画業務には、課題がありました。

具体的には、同社の計画業務は、グローバルに展開されている各拠点で立案されており、それら計画情報の統合と調整に多くの工数が必要となっていました。例えば、消耗品の領域では、国内外の消耗品製造6拠点、ロジスティックセンター5拠点、世界の主要販社9拠点で個別に計画が立てられています。また、計画立案のサイクルも月単位であったため、刻々と変化し、複雑化するグローバルの市場に対応しきれず、欠品や余剰在庫を抱えてしまうといった問題が起こっていたのです。

そこで、同社は「オペレーション・エクセレンス」という目標を掲げ、グローバル規模でサプライチェーンの全体最適化に取り組むことを決定。プリンタ事業において、まずは消耗品事業から、グローバルSCM改革を始めました。「製品自体の性能や競争力に加え、グローバルなオペレーション改革により、ライバルに対して新たな差別化要因を獲得。そうした取り組みで競争優位を追求する時代に突入したのです」と井口氏は強調します。

導入の経緯

グローバルSCM改革の第一歩として消耗品領域から着手

グローバルSCM改革への取り組みを決めたセイコーエプソン様が、まず行ったのがパートナーの選定です。複数のベンダーなどの提案を検討した結果、同社は、NECをパートナーに選定しました。

「NECは、すでに自身のグループ会社で同様のグローバルSCM改革を実現していましたし、コンサルティングのみならず、システム設計・構築、システム保守運用まで、一貫して対応できる点を高く評価して選定しました」と機器経営企画・管理室 主幹の澤田 隆治氏は話します。NECなら、グローバルSCM改革の成功体験に裏付けされた「グローバルサプライチェーンコンサルティング」手法に基づき、企画から業務定着まで、グローバルSCMシステムの実現をトータルに支援できます。加えて、システム設計、構築、システムの保守運用サービスまでを合わせて提供できる点が高く評価されたのです。

NECをパートナーに選定した後、セイコーエプソン様は、NECのコンサルタントと共同で、自ら従来の生産・販売・在庫計画業務の現状業務分析を行い、課題を抽出。構想企画を実施しました。その結果、センターである広丘事業所にて、週単位で一元的にグローバル需給計画を立て、その計画に沿ってグローバルの各拠点が業務を遂行するという新たな業務プロセスが策定されました。井口氏は「ワンヘッドで一元化した計画を週単位で立案することにより、サプライチェーン全体を見える化、製造・販売・物流プロセスの途中で発生しているロスをなくし、グローバル規模でサプライチェーンを全体最適化することが目的です」と話します。

また、改革は、先述したとおり消耗品事業から開始されましたが、その点について、澤田氏は、次のように説明します。

「消耗品事業は現在、当社の収益に与える影響が大きい重要な事業ですが、急速に事業が拡大したため、管理面のシステム化が追いついていませんでした。しかも、インクカートリッジなどは品質保証期限がありますから、在庫管理が大変重要です。加えて、販売終了となった機種の消耗品も、一定期間は継続して提供する必要があるため、品目数は雪だるま式に増加し続けており、現在、管理しなければならない品目数は、インクカートリッジやメディアなど『約6,000品目』にも及びます。ワンヘッド・オペレーションの確立が最も急務だったのが、このインクジェットプリンタを中心とした消耗品事業だったのです」。

システム概要

コンサルからシステム構築までの一貫した支援、プロジェクトマネジメント力を評価

2008年11月、グローバルSCMシステムの第1弾として、インクジェットプリンタ用の消耗品のグローバルSCMシステムが本稼働を開始しました。このシステムを活用し、同社は、生産・販売・在庫の実績データをセンターに集約。その上で、販売拠点からの需要情報をもとに、生産拠点の供給能力に応じた計画を週単位で策定し、約6,000品目にも及ぶアイテムの集中管理を実現しています。

新たな業務プロセスの確立・移行は困難を伴いましたが、セイコーエプソン様では、井口氏・澤田氏をはじめプロジェクトの主要メンバーが何度も各拠点に足を運び、グローバルSCM改革に関する理解を促進。新たな業務プロセスに基づいてサプライチェーンコストを見える化し、サプライチェーンの全体最適化を図るというミッション成功のための意識統一を行いました。

業務担当者は、改革を成功させるべく、現業を抱えながらも、文字通り寝食を忘れて取り組みました。一方のIT部門のメンバーも、これに呼応して、『ITに起因するプロジェクトの遅れは絶対に発生させない』という意識を徹底。「今回のプロジェクトは、業務、IT、各拠点担当者が、グローバルSCM改革をやりとげるという、1つの目標に向かって一体となり、モチベーションとロイヤリティーを発揮し、頑張った成果です」と井口氏は話します。

グローバルSCMシステムを支える計画系システムには、「i2 Supply Chain Planner」を採用しています。この計画系システムに、あらかじめサプライチェーンモデルを定義しておき、需要情報・実績情報・制約情報(生産能力や在庫基準等)を活用して、グローバルでの生産・販売・在庫計画を一括立案しているのです。なお、実績情報は「SAP® ERP」といった各拠点の基幹システムから収集しています。

システムの保守運用においては、ハードウェアやOSなどの資産と運用管理業務を一括してNECが受託する「プラットフォームマネージドサービス」を提供しています。このサービスでは、ITIL® 準拠の運用を行うことにより、継続的なサービスレベル向上を行っています。

このようにして、同社は、新たな業務プロセスに基づくグローバルSCMシステムを構築したわけですが、その遂行は、NECのプロジェクトマネジメント力に負うところが大きかったと井口氏は評価します。

「我々が立てたグローバルSCM改革の実現目標を客観的に判断してもらい、大変助かりました。加えて、要求した要件のシステムへの落とし込みが的確でした。この成果は、コンサルティングとシステム構築を一貫してサポートしていただいた結果であると考えています」。

導入の成果と今後の展望

さらにコンシューマ向けプリンタ、ビジネス向けプリンタなどのSCM改革へと展開

消耗品の計画系システムに次いで、2009年5月にはコンシューマ用プリンタ、2011年3月にはビジネス用プリンタのグローバルSCMシステムを立ち上げる予定です。これにより、同社は、すべてのシステムがそろう2010年度末までに、消耗品に完成品を加えた情報機器事業セグメントでは、グローバルで200億円強の在庫削減と、さらなる市場応答性向上を見込んでいます。

成果はこれだけではありません。澤田氏は、「各拠点担当者の判断に頼らず一元的に計画を立て、グローバルサプライチェーン全体の動きが手にとるように『見える化』された今、様々な変化に、すばやく手を打てるようになりました。在庫滞留を削減し、流通スピードが上がれば、これまで以上に鮮度の高いプリンタインクを市場に届けることもできるようになりますし、計画の見える化は、生産・販売・物流拠点同士の信頼関係強化にもつながっています。こうした成果の背景にある、各拠点の機能・役割の明確化といった業務プロセス見直しにも、NECのノウハウが活かされています」と語ります。

計画系業務をセンターに一元化したことで、計画業務全体の工数も大幅に削減されました。数字上の供給過不足については、システムがアラートを発するため、従来のようにデータを人手で精査する必要もありません。

加えて、同社では、計画立案にコストバリューの指標を盛り込むことも考えています。「グローバルSCM改革の本来の目的は、ロスコストを抑え利益を創出することです。そこで計画系システムには、今後、利益評価が明確にできる判断基準を設定することにしました。例えば、グローバル連結利益を基準に『在庫が欠品してもやむを得ない』『コスト超過になっても航空便を使って即座に調達すべき』といった判断を支援できるシステムを作り上げたいのです」と井口氏は語ります。

世界に先駆けて先進的なグローバルSCMシステムを作り上げたセイコーエプソン様は、すでに次の目標を見据えています。「今回の改革は、目標の実現に向けた最初の一歩。最終的な目標は、間接部門が関与せずとも全体最適化されたサプライチェーンを実現することです。その実現が、グローバル市場で戦い、勝ち抜くための大きな武器になると考えています」と澤田氏は語りました。

NEC担当スタッフの声

NECの成功体験に基づくメソドロジでグローバルSCM改革を支援

「製造と販売と物流の動きがグローバルですべて把握でき、週次の計画に基づき動いていく」。グローバルSCMの構築にあたって活用いただいたのが、NECのグローバルSCM構築メソドロジです。

NECのグローバルSCM構築プロジェクトの成功体験に基づきノウハウをナレッジ化した「グローバルサプライチェーンコンサルティング」というメソドロジは、専門コンサルタントが、現状業務分析、課題抽出から構想企画を実施し、新たな業務プロセスの設計、トレーニング、運用定着(チェンジマネジメント)を行うなど、企画から、業務定着まで、グローバルSCMシステムの実現に向けた取り組みをトータルに支援します。

セイコーエプソン様にもご指摘いただいているとおり、グローバルSCM改革においては、世界中に展開する各拠点の業務プロセスの変更・定着化を同時に行う必要があるため、大きな困難が伴います。しかし、当社のメソドロジでは、どのタイミングで何をすべきかといったチェックポイントを明文化するなどして、グローバルへのSCM展開をサポートしています。

また、セイコーエプソン様が採用した「i2 Supply Chain Planner」についても、当社では独自にi2ソリューションセンターという部隊を用意し、システム構築を支援しています。

お客様プロフィール

セイコーエプソン株式会社

会社名 セイコーエプソン株式会社
(英語名:SEIKO EPSON CORPORATION)
創立 1942年5月18日
資本金 532億400万円
本社 長野県諏訪市大和三丁目3番5号
従業員数 連結93,279名/単体13,260名(2008年9月30日現在)
事業内容 プリンタやスキャナ、プロジェクタなどの情報関連機器、半導体などに代表される電子デバイス、産業用ロボットなどのFA製品など、幅広い領域でビジネスを展開。
URL new windowhttp://www.epson.jp/
  • 掲載されている会社名および商品名は、一般に各社の商標または登録商標です。

(2008年12月15日)

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