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オリックス株式会社様


ICTとデータの力で高品質な農作物の安定出荷に挑む
- 業種:
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- 金融機関
- 業務:
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- 生産管理
- 製品:
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- その他
- ソリューション・サービス:
-
- ネットワーク/ネットワークサービス
事例の概要
課題背景
- 需要に応じて農作物をつくる「計画生産」を実現するには、農作物の過不足を出さずに安定的に出荷できるように、精度の高い収量予測を立てることが一番の課題だった。
- ベテラン農家の経験値に依存していた生産ノウハウの継承を実現するために当該ノウハウを可視化する必要があった。
- 高齢化や就農人口の減少に対応するために、将来的に省人化を目指していく必要があった。
成果
データ収集の仕組みを構築
生産現場の状況可視化のために、圃場内の数カ所にセンサーを設置。温度、湿度、水温、CO2、日射量のデータをクラウドに蓄積し可視化する仕組みを構築した。生産者がデータをいつでもチェックできる環境と、現場で異常があった際に即時に知らせる仕組みを構築することで、現場でのデータ活用をスタートした
収量安定化を実現する基盤ができる
収量予測に繋がるデータの種類、データの取得方法を確立し約3年間のデータを蓄積したことで、データと収量の相関を分析する基盤が整った
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事例の詳細
導入前の背景や課題

農事業部長
倉科 正幸氏
不慮の天候変化による欠品を回避し、損害・信頼失墜を防ぐ
オリックス様が事業多角化の一環として農事業に本格的に乗り出したのは2013年のことです。農作物の生産と流通を組み合わせて独自の農業ビジネスを展開する──。それが当初に掲げられた構想でした。
「まずはサプライチェーンの川上に当たる生産を事業化するために、2015年秋、長野県の八ヶ岳の麓で地元の農業生産法人とともにオリックス八ヶ岳農園株式会社をスタートさせました」
そう話すのは、同社農事業部長の倉科正幸氏です。オリックス様が目指されていたのは、小売店からの受注を受けて農作物をつくる「計画生産型農園」でした。このモデルのメリットは、販売数量があらかじめ決まっているため、無駄なく農作物を生産し出荷することができる点にあります。一方、リスクもあると倉科氏は説明します。
「天候によって計画通りの収量が確保できないケースがあります。そうなると、注文に対して欠品が生じることになります。そのリスクをいかに防ぐかが大きな課題でした」
選択のポイント
定量的データにより生産現場を分析する
安定生産を実現するためにオリックス様が着目されたのが「データ」でした。圃場内のデータを収集し、収量との相関性を見ることによって、どのような条件が揃えばどのくらいの収穫が可能になるかが明らかになります。そのデータ収集と分析のパートナーに選ばれたのがNECでした。
オリックス八ヶ岳農園のメインとなる2カ所の圃場にそれぞれ3つのセンサーを設置して、温度、湿度、水温、CO2、日射量のデータをクラウドに蓄積し、農園内の事務所や東京オフィスからデータを参照する──。農業に変革を目指すオリックス様にNECの農業ICT技術を採用頂きました。
「早い時期から農業界に参入されていた経験と実績に加え、他の事業分野でのお付き合いもあり、NECには大きな信頼がありました。システム導入のコストも納得できるものでしたね」(倉科氏)

代表取締役社長
長戸 建介氏
データ収集が始まったのは2016年4月からです。オリックス様とNEC担当者の二人三脚で試行錯誤を繰り返しながら、必要なデータの種類や収集法を確立していきました。オリックス八ヶ岳農園の責任者である長戸建介氏は話します。
「天候は毎年変化するので、数年間のデータを蓄積することが必要になります。この3年間でようやく分析に活用できる最低限のデータ量が集まりました。今後、データと収量の相関性などを具体的に検証する段階に入っていくことになります」
導入後の成果
ICT活用で農業を進化させる。生産者も消費者もプラスのメリット
オリックス八ヶ岳農園ではこれまで、天候によって収量が不足するリスクを勘案して、需要を上回る生産を行ってきました。この余剰生産が調達費や人件費といったコストの増加要因となり、生産管理面での課題でした。データと収量の相関性が明らかになれば、そのような余剰生産の必要がなくなります。また、生育と収量の予測を立てられるようにもなり、無駄なコストを削減することができ、結果的に農作業の省人化も実現できるだろうと長戸氏は話します。
「現在、農家の高齢化と就農人口の減少が大きな問題となっています。農作業をいかに省人化していくかが私たちにとっても大きな課題です。データ活用による効率化が進めば、より少ない人数で安定的な生産を行うことが可能になります。データ活用は、日本の農業全体を支えるために必須の取り組みと言えるのではないでしょうか」

経営管理部主任
矢崎 昭則氏
一方、オリックス八ヶ岳農園で生産管理や出荷業務管理を担当している矢崎昭則氏は、「これまでベテラン農家の勘と経験に頼ってきた農業をデータによって進化させることができる」と話します。
「自身も一消費者であり、毎日食べるものとして野菜を手に取っています。野菜は毎日消費するものなので、値段が安いに越したことはないですが、生産から出荷作業に至るまで、現場ではとても多くの人の手がかかり、繊細な作業を行っています。よりよい野菜を少しでもリーズナブルにご提供しようと常に現場努力を重ねており、ICTの活用で計画生産の誤差が少なくなれば、コスト削減にもつながり、市場価格も抑えることができ、結果、消費者にとってのメリットも大きいと思います」
オリックス八ヶ岳農園でデータ活用の方法を確立し、他の自社農園にも展開していくこと。そうして農事業全体で計画生産の精度を向上させていくこと──。それが現在のオリックス様のビジョンです。
「今後は、物流や販売における課題もICTを使って解決していきたいと考えています。NECにはさらに広範なサポートをお願いしたいですね」(倉科氏)

NEC担当者の声

コーポレート事業開発本部
AgriTech事業開発局
マネージャー
村川 弘美
技術の力で農業の課題を解決していきたい
作物の生産から流通までを一社ですべて行うのは、チャレンジングなモデルです。オリックス様は、天候変動・作物の植生・病害虫など、不確定要素の多い農業に対し、真の意味での計画生産を目指す過去にない難しい取り組みに挑戦されています。
NECは現在、ICTとデータを駆使して広範な社会領域や産業分野で新しい価値を生み出す「NEC Smart Connectivity(エヌイーシースマートコネクティビティ)」を推進しており、農業分野へ応用したのが、オリックス八ヶ岳農園様と言えます。NEC Smart Connectivityの技術とソシューションをご提供することによって、モデルづくりをお手伝いする取り組みをこの3年間続けてきました。
その取り組みはまた、日本の農業の課題解決にもつながると私たちは考えています。高齢化、働き手不足、耕作放棄地の増加など、農業をめぐる課題は年々深刻になっています。農業の衰退は、地方産業の衰退でもあります。地方創生という観点からも、農業の活性化は必須です。データの収集と分析、ネットワーキング、AIなど、NECが持つ技術は、その課題解決に間違いなく役立つはずです。
オリックス様の農事業を成長させていくことはもちろん、オリックス様と力を合わせて日本の農業を支えていきたい。それが私たちの思いです。
お客様プロフィール
オリックス株式会社
所在地 | 東京都港区浜松町2-4-1 |
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概要 | 1964年にリース事業からスタート。現在の事業分野は法人金融、メンテナンスリース、不動産、事業投資、リテール、海外事業の6つのセグメントからなる。世界37カ国・地域に拠点を展開。農事業関連は2004年の食品メーカーへの出資から始まった。 |
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(2019年9月30日)
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