Japan
サイト内の現在位置
個別化がんワクチンTG4050の第I層臨床試験の最新データをASCO 2022で発表
Transgene SA(トランスジーン、注1、以下Transgene社) と日本電気株式会社(以下 NEC)は、両社が共同開発した個別化がんワクチンTG4050(注2)の第I層臨床試験の新しい予備的データを、American Society of Clinical Oncology (ASCO、米国臨床腫瘍学会)の学術集会で、ポスター発表致しました。TG4050は、Transgene社のmyvac®プラットフォームに、NECの最先端AI技術(注3)を活用した治療法になります。
血中循環腫瘍DNA(ctDNA)の解析を含む最新かつ良好な予備的データは、2件のTG4050の臨床試験に参加した最初の卵巣がんの患者さん、および頭頸部がんの患者さんから得られました。
臨床試験の追跡調査では、卵巣がんおよび頭頸部がんに対するTG4050のポテンシャルをこれまでと同様に示している
- 頭頸部がんの臨床試験では、患者さんは一次治療終了直後にTG4050ワクチン接種を受ける早期治療群(Arm A)と、再発時にワクチン接種受ける後期治療群(Arm B)に無作為に振り分けられます。Arm Aに振り分けられた評価可能な患者さん(8例)は、2022年5月中旬の時点において全員が完全奏効となっています。Arm Bに振り分けられた患者さん(8例)のうち、2例で再発を確認しました。
- 卵巣がんの臨床試験(5例)のうち、1例は直近にTG4050の治療を開始しました。CA-125の上昇後に治療を受けた患者さん1例で、関連性のない慢性的病気で亡くなる前の9か月間、臨床的進行を伴わずにCA-125が正常化しました。また、放射線診断により再発と確認された時点で治療を始めた患者さん1例において、11.4ヶ月間症状が安定していました。
これまでのところ、2件の臨床試験においてTG4050の忍容性は良好であり、関連する重篤な有害事象は報告されていません。
また両臨床試験とも、患者登録や投薬は予定通り進行しております。試験全体では、卵巣がん13名、頭頸部がん30名を予定しております。
免疫細胞応答データが示す免疫システムの効果的な刺激と、それに伴う病気の退縮
- 循環免疫細胞の定量解析(特に単球、樹状細胞、NK細胞、及びCD8、CD4、そして制御性T細胞のサブクラス)および免役チェックポイント遺伝子(ICOSおよびPD-1)の発現解析により、TG4050ワクチンが患者さんの自然免疫および獲得免疫応答の両方を効果的に活性化できる事が示されました。
- 卵巣がん患者において、臨床的および生物学的動態(CA-125及びctDNAの反応)は、複数のがん抗原に対する免疫応答と有効な免疫応答のマーカー発現(CD4およびCD8細胞のエフェクター細胞化、CD16陰性NK細胞の増加、そして血中サイトカイン発現のピーク) に付随して起こっていました。
Poster title: Phase 1 studies of personalized neoantigen vaccine TG4050 in ovarian carcinoma (OC) and head and neck carcinoma (HNSCC)
- Abstract number: 2637
- Session title: Developmental Therapeutics—Immunotherapy
- Authors: J.P. Delord, M. Block, C. Ottensmeier, G. Colon-Otero, C. Le Tourneau, A. Lalanne, O. Lantz, KL. Knutson, G. Lacoste, A. Tavernaro, M. Brandely, N. Silvestre, B. Grellier, Y. Yamashita, K. Onoue, N. Yamagata, Y. Tanaka, B. Malone, E. Quemeneur, K. Bendjama
臨床試験について
TG4050は、卵巣がん(NCT03839524)およびHPV陰性頭頸部がん(
NCT04183166)について2件の第I相臨床試験にて検証中です。
- (注1)
- (注2)TG4050について
TG4050はTransgene社のmyvac®テクノロジーとNECのAIをベースとする個別化免疫療法です。このウイルスベースの治療用ワクチンは、NECのネオアンチゲン予測システムによって特定・選択されたネオアンチゲン(患者さん毎に異なる変異)をコードします。予測システムは20年以上にわたって培われたAIの専門知識に基づいており、正確に最も抗原性の高い配列の選択と優先順位付けを可能にする独自のデータによって訓練されています。TG4050は患者さん固有のネオアンチゲンに基づき、腫瘍細胞を認識し破壊することができるT細胞反応を引き起こすことを目的として、患者さんの免疫システムを刺激するよう設計されています。 この個別化免疫療法は患者さん毎に開発、製造されるものです。 - (注3)NECのネオアンチゲン予測システムについて
ネオアンチゲン予測にはNECが開発したグラフベース関係性学習を利用し、標的ネオアンチゲンを予測するために、複数の生物学的データを学習させています。頑健なT細胞応答を惹起する可能性を計算するため、NEC独自のHLA結合能および抗原提示能AIツールを含む機械学習アルゴリズムを用いて、標的ネオアンチゲンは慎重に求められます。これにNEC OncoImmunityが加わり、今後もNECは世界トップクラスのネオアンチゲン予測パイプラインの強化に務め、世界中の患者さんのために個別化がん免疫療法の治療効果を最大限に引き出すことを目指します。詳細はこちらをご覧ください。NEC https://jpn.nec.com、NEC OncoImmunityhttps://www.oncoimmunity.com/