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空間の価値検証に対する産学の共同研究結果

NECスマートシティ

空間の魅力を高める科学的検証アプローチ

当社では、さまざまな観点から空間(まちやエリア等)の価値向上につながるための取り組みを行っています。この度新たな取り組みとして、空間の魅力や持続的な価値を高めるにあたって、それらの拠り所となるデータの活用や価値の証明手法に着目し、明治大学商学部専任講師である加藤拓巳氏との共同研究において、科学的なデータ検証を行いました。その中で得られた結果から、被験者に提示した条件下で聞こえる鐘の音・子どもの声に対する人々の印象を分析し、その内容を第20回日本感性工学会春季大会で発表しました。

空間の価値向上に向けたデータ活用

空間の価値は一義的に決定されるものではなく、価値として換算される要素としては、「ヒト」・「モノ」・「情報」などの様々な要素が考えられます。従前より当社では、ロジックモデルやAIを用いたデータ分析などの先進的な手法を用いて、以下3つの観点に代表される定性的なデータを活用した空間の価値向上に対して取り組んでおりました。

 ① 人と人とのつながり
 ② 空間の心地よさ
 ③ 持続的な幸福度

  • ロジックモデルとは、課題における取り組みや施策(インプット)と、それらが生み出す結果(アウトプットやアウトカム)との因果関係を論理的に明示する手法です。これにより、インプットとアウトプットにおける成果の関係性について、一定の評価や示唆を導くことが期待されます。

空間の魅力や持続的な価値に寄与するデータ活用

今回、マーケティング分野に関して多数の研究に従事されている明治大学商学部専任講師の加藤拓巳氏の協力を得て、空間の魅力や持続的な価値向上に向けた新たな検証を行いました。具体的には、人がより幸福度が高まり愛着が醸成される空間の実現に向けては、どのようなデータや空間を構成する要素(例えば景観など)が、そこで過ごす生活者や来街者にとっての魅力や居住意向に影響するのかについての検証を行いました。

共同取り組み:加藤 拓巳(明治大学 商学部 専任講師 / 博士(経営学))
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今回は、以下に掲載したような空間のサンプル画像を、複数の条件(芝生の状態や水辺の種類、影の具合など)を変えた状態で用意しました。そして、その空間を構成している要素の有無や環境音の違いなどの条件を被験者によって変えた状態で、提示された空間への印象をアンケート形式で集計しました。この手法に至った背景としては、これら条件の組み合わせの違いが人々の感性に何かしらの影響を与え、その空間への魅力や居住意向を醸成するものと仮説を立てたからであり、この証明のためにランダム化比較試験を用いることで、この仮説の一端を明らかにする試みを行いました。
その結果、環境音の要素として比較を行った内容について統計的な有意差を確認することができました。具体的には、電車の音と比較して鐘の音・子どもの声は、公園の魅力・訪問意向・周辺の居住意向を高めること、年代などの属性により傾向が異なることが明らかになりました。

(ランダム化比較試験で使用した実験素材の一例)
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(ランダム化比較試験の一部分析結果)

出典:加藤拓巳, 千葉友希, 服部亜美, 池田亮介, 小泉昌紀. (2025). 都市の生活音に対するサイレントマジョリティの印象の可視化 -鐘の音と子どもの声が公園の魅力に与える影響-. 日本感性工学会講演論文集, 2(2), 1-7. (in press)

今後の取り組み

本検証のように、データを活用した科学的な検証を行うことで、より納得性の高い空間の魅力や持続的な価値向上の道筋が見えてくるものであると考えております。
引き続き、これらの検証や蓄積された経験・ノウハウを活用しながら、持続的な空間づくりに向けて取り組んでまいります。

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