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NEC Digital Platformで成し遂げる
ビジネスと社会の変革
──「NEC Visionary Week 2023」基調講演より
世界中で新型コロナウイルスの蔓延、サイバーセキュリティリスクの増大、生成AIをはじめとした革新的技術の誕生といった著しい環境変化を経験し、テクノロジーによる課題解決への期待がさらに高まっています。「NEC Visionary Week 2023」のオープニングを飾る基調講演で、NEC取締役 代表執行役社長 兼CEOの森田は、DXのプロフェッショナルとして上流コンサルティング、SI・デリバリー、保守・運用までEnd to EndのDXを実現するアプローチについて語りました。
目次
NECのDXアプローチの進化
NECは2019年にDX事業の中核を担う「NEC Digital Platform」の提供を開始しました。以降、戦略コンサルティング部門の設立、Microsoft、AWS、Oracle等のハイパースケーラーとのグローバルレベルでのアライアンス締結などにより、「組織/人材」と「テクノロジー」を拡充し、DXを支援するための「ビジネスモデル」を継続的に強化しています。これらの強化策により、「NEC Digital Platform」は技術提供のみならず、戦略コンサルティングから実装まで、皆さまのDXをEnd to Endで実現できるプラットフォームに進化しています。
NECはDXを「社内のDX」「お客様のDX」「社会のDX」の3つの視点で捉えています。
NEC社内のDX:Corporate Transformationの実現
1つ目は、NECの「社内のDX」です。基幹システムのモダナイゼーションから始まり、現在はデータドリブン経営とスマートワークを実現するNECの「Corporate Transformation」を推進しています。
「IT・制度・プロセス・データ」の変革
その歴史は2000年代に遡り、ITシステムの統廃合を中心とした変革に着手。1,400のシステムを750まで削減したものの、異なる事業をまたがるプロセスの標準化までには踏み込めず、非効率なITシステムが残ったままでした。
その後、事業ポートフォリオの変革を経て、改めて全社的なデータドリブン経営を目指し、ITシステムにとどまらない業務プロセスやデータの標準化を進めています。まずは、基幹システムのSAP S/4HANA化、および、クラウド化を完了。その際、「コア」の部分は業務プロセスの標準化に対応できるようSAP S/4HANAによって標準化し、NECの差別化領域は「サイドバイサイド」という形で 「コア」から適度に独立させて開発することで、標準化と柔軟性を両立したITシステムを実現しています。
並行して、プロセスとデータの標準化も実施。標準化されたデータを全社共通のデータプラットフォームに蓄積し、全社員に対してダッシュボード上で見える化しました。ダッシュボードは各CxOがオーナーとなり、マーケティング、ファイナンスなどの領域別に生成され、経営層と社員が同じデータを見ながら事業を遂行することが可能です。
「組織・人・文化」の変革
合わせて着手したのが「組織・人・文化」の変革です。CxOから一般社員までデータを日常的に活用するため、CEO直下に社内DX専門組織「Transformation Office」を新設、一般社員への基礎トレーニングなどの施策を実施。ITのみならず組織・人・文化まで含めた全てを再構築する「Corporate Transformation」を進めています。
Corporate Transformationの要諦
実践を通して得た社内DXの要諦は2つあります。1つ目は「長期ビジョンを描く」ことです。「Corporate Transformation」は長くタフな道のりであるため、あるべき姿を経営トップが掲げ、コミットすることで、社員はゴールを見失わず、希望を持って取り組むことができます。2つ目は「Quick-winで継続する」ことです。「自分たちは正しい道を進んでいる」と社員が感じるには、小さく成果を出し効果を実感し続けられる仕掛けが必要です。
これらの社内DXの取り組みは現在も進行中ですが、蓄積したナレッジをお客様の社内DXにも展開していきます。
お客様のDX:ビジネスモデル変革と新事業創造
2つ目は、「お客様のDX」です。NECはお客様のビジネスモデル変革を支援しています。
お客様に伴走し、既存ビジネスの在り方を変える
はじめにご紹介するのはカゴメ様との共創です。加工用トマトの需要は、世界の人口増加に伴い拡大が見込まれるものの、担い手である生産者の高齢化や減少、それに伴う営農技術の消失、温暖化による干ばつの進行や水害による産地への脅威、といった課題があります。
カゴメ様とNECは土壌や作物の状態、肥料や水やりのタイミングといった一連のプロセスをデータとして蓄積。AIの分析によりベテラン農家の暗黙知を形式知化し、最適な営農アドバイスを行う営農支援ソリューション「CropScope」を開発しました。このサービスにより、肥料を20%削減、水の投入量の15%削減かつ収穫量の20%増加、といった成果が出ています。
続いては、顧客体験の変革をご支援したセブン銀行様です。NECは、セブン銀行様のATMの開発・進化に20年以上に渡り伴走しています。最新型の「ATM+」も、将来のATM端末とはどうあるべきかというコンセプトワークに構想段階から参画し、ハードウェアのデザインからユーザーインターフェース、生体認証の先端技術の実装まで支援しています。
来年、ATMでキャッシュカードを使うことなく、顔認証で預金の入出金ができるようになります。利便性が高まるだけでなく、キャッシュカードの紛失、パスワードの盗難・不正利用などの心配からも開放されます。ATMをサービスプラットフォームに変革させるDXにより、顧客体験を進化させた例と言えるでしょう。
技術を起点としたユニークな手法で新規事業創造を支援
DXには新規事業創造の力もあります。
NECの新規事業創出組織であるNEC Xでは、シリコンバレーを中心に5,000人以上の外部起業家プールを持ち、NECの技術を活用した事業化に取り組んでいます。事業構想からスタートアップ設立、資金調達までをサポートするプログラムを展開しており、これまでに、10件のスタートアップをカーブアウトさせています。
お客様に対しては、BIRD INITIATIVEが新事業のグランドデザイン支援から事業アクセラレーション、カーブアウトまでサポートしています。設立から3年弱で、63件の新規事業の創出の支援、2件のカーブアウト実績があります。
社会のDX:人々のWell-being向上や地域の持続的発展への貢献
国民ID、交通・物流システムなど、NECは10年以上にわたりインドのwell-being向上に向けたDXに貢献しています。現在もインド全域で16のプロジェクトを支援しており、その中の1つがインド中西部にある中核都市カリヤン ドンビブリのDXです。
DXで地域が抱える課題を解決
都市全体に設置したセンサーをネットワークにつなぎ、街全体をセンシングできるシステムを構築。AI画像解析技術を活用して、交通量を見える化し、混雑箇所を把握して最適ルートに誘導するなど、渋滞の緩和を図っています。また、地域特性として雨量が多く、水害も問題となっていましたが、天候や河川の水位モニタリングにより、迅速な避難を促すことが可能となっています。
これらの司令塔となるのが、NECがシステム提供するコマンドコントロールセンターです。数々のミッションクリティカルなシステムを構築する過程で蓄積した知見を活かし、止まらない社会を支えています。
NECが目指すスマートシティ
NECはインドをはじめ世界中の都市のスマートシティ化に貢献しており、その経験の中で、都市課題を解決するためにはビジョンと実現の道筋が提示され、ステークホルダーがそれに共感することが必要だと強く感じています。
未来の社会課題解決に向けて未来像を発信し、共に実現を目指す仲間づくりを行い、さらに、技術の実証や価値の検証に積極的にかかわることで社会実装を推進するため、Thought Leadership活動にも力を入れています。その活動の一つとして、NECのスマートシティビジョンがあります。このビジョンとアプローチに基づき、日本国内の41都市でスマートシティを支援しています。
DXで都市の持続的発展を支える
その中でも先進的な取り組みをしているのが富山市です。人口減少への危機感から2007年にコンパクトシティ戦略を打ち出し、都市機能を公共交通機関の沿線に集めることを目指して居住状況の把握・データ化や、IoTによる街のセンシングに取り組まれました。NECは、それらのデータを集約・分析する都市OSの導入を支援し、児童の登下校路の見守りに活用されるなど、様々な施策が展開されています。
さらに、地域産業の活性化に向けてアルミニウムの資源循環にも取り組んでいます。アルミは自動車の軽量化等、カーボンニュートラルを支える重要なマテリアルですが、地政学リスクが高まる中で日本は天然資源由来のアルミニウムを全量輸入に頼っており、供給リスクをはらんでいます。
この課題に、リサイクルアルミで解決を図ろうと地元の産官学が共創し、先進的な資源循環モデルの創出に取り組んでいます。NECは2つのデジタルテクノロジー領域で貢献しています。
1つ目は「アルミ精製プロセスの最適化」です。アルミを再生する工程パターンは無限にありますが、最適な精製工程を導き出すところに、NECのAI技術を活用します。各工程においてAI画像認識技術を導入し、廃アルミの元素含有量の確認作業や、品質の判定作業といった、人が職人技で行っている工程を自動化しています。
2つ目は「サプライチェーンの分野間データ連携による環境価値の見える化」です。産業用データ連携基盤のDATA-EXとNECのブロックチェーン技術を活用することで、サプライチェーン全体のトレーサビリティを担保し、CO2削減量が把握できるようになります。これにより、環境価値の実証につなげることが可能となります。
DXの中核を担うNEC Digital Platform
End to EndのDXを実現
社内のDX、お客様のDX、社会のDXの中核を担うのがNEC Digital Platformです。上流コンサルティング、SI・デリバリー、保守・運用まで、End to Endの「ビジネスモデル」で、皆さまのDXをご支援します。
そして、これを支えるのが「テクノロジー」と 「DX人材・ナレッジ」です。「テクノロジー」ではNECの世界トップクラスのAIや生体認証、昨今重要性が増すセキュリティ技術といった独自技術群に加え、グローバルパートナーの最先端テクノロジーも活用いただけます。「DX人材・ナレッジ」では、グループ会社のアビームコンサルティングが7,500名のコンサルタントを擁していることもNECの強みです。NEC社内でも採用を強化し、2025年に戦略コンサルタントを1,000名まで増員する計画です。
進化し続けるNEC Digital Platform
NEC Digital Platformの進化点を3つ紹介します。
1つ目は、「NEC Generative AI Service」です。NECの大規模言語モデルは、世界トップクラスの高い日本語性能を有しています。パラメータ数を世界トップのモデルと比較して13分の1に抑え、非常に軽量であるため、オンプレ環境で安全にご利用いただくことが可能です。また、導入に必要なツールや100名規模の生成AI専門家による導入支援サービスも提供し、コンサルティングから環境の構築まで、生成AIの活用を包括的に支援します。
2つ目は、サイバーセキュリティです。「データドリブンサイバーセキュリティサービス」では、システム全体から網羅的に収集した実データを起点に、リスクを可視化し、コンサルティングによる戦略策定からセキュリティ対策の導入・運用・監視・対処まで支援し、企業全体のセキュリティを担保します。
3つ目は、グローバルアライアンスによる提供価値の拡大です。NECの印西データセンターは、Oracle、AWS、Microsoftというグローバルハイパースケーラー3社のパブリッククラウドとの接続拠点を備える国内唯一のデータセンターとなりました。また、先月、プロセスマイニングのグローバルリーディングカンパニーであるCelonisと戦略的協業を締結しました。
Truly Open, Truly Trusted
NECは社会や企業の変革そのものであるDXを支援する立場として、お客様や社会からの信頼が何よりも重要だと考えています。私たちはこの思いを「Truly Open, Truly Trusted」という言葉に込めました。NECはオープンな共創のもとで、イノベーションを起こし続けます。そして生成AIのような最新技術に対しても高い倫理観でチェックし、お客様が常に安全・安心に利用できる形で提供していきます。