Japan
サイト内の現在位置
味の素ファンデーション、シスメックス、NEC、ガーナ共和国の母子の保健と栄養の改善を目指し、異業種の共創プロジェクトを開始
~「ユニバーサル『栄養』ヘルス・カバレッジ」への貢献へ~2022年5月27日
公益財団法人味の素ファンデーション
シスメックス株式会社
日本電気株式会社
公益財団法人味の素ファンデーション(所在地:東京都中央区、理事長:野坂千秋、以下味の素ファンデーション)、シスメックス株式会社(本社:神戸市、代表取締役会長兼社長 CEO:家次 恒、以下シスメックス)、日本電気株式会社(本社:東京都港区、代表取締役 執行役員社長 兼 CEO:森田 隆之、以下NEC)は、ガーナ共和国(以下ガーナ)における母子の保健と栄養の改善のための共創プロジェクト(以下本プロジェクト)を開始します。
本プロジェクトは、2019年8月の第7回アフリカ開発会議※1(TICAD7)の際に提唱された「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(以下UHC)※2拡大とアフリカ健康構想(AfHWIN)」の実現に向けて日本とガーナ間で締結された協力覚書※3に沿ったものであり、この構想の具体的な事業として、両国の官民および民間の連携を推進し、ガーナの母子の保健と栄養の改善を目指すものです。
ガーナでは、国民の死亡・障害を引き起こす最大の危険因子としての栄養失調、また、死因の1位※4とされているマラリア※5が、深刻な保健課題となっています。栄養失調は、胎児・乳幼児の身体と脳の成長を遅らせる発育阻害の要因となる上、マラリアの重症化リスクを高める貧血も引き起こします。さらに5歳未満の乳幼児や妊婦はマラリアによる健康被害が特に大きい※6ため、栄養・貧血・マラリアの課題を同時に考える統合的なアプローチが求められています。
国連世界食糧計画(以下WFP)と味の素ファンデーションは2019年からの2年間、母子栄養改善の取り組みにより、ガーナ政府保健機関(Ghana Health Service: 以下GHS)との協働によって母親の行動変容促進と、栄養改善の具体的解決策として栄養サプリメント「KOKO Plus®※7」を推奨する等の活動を実施してきました。これを本プロジェクトではさらに発展させ、質の高い検査と日本発のICTを組み合わせることによって、母子栄養改善に向けた活動を加速させるとともに、ガーナ母子の健康、ひいては、持続的かつ安定的な経済成長の促進に貢献する仕組み構築を目指します。また、2022年8月にチュニジアにて開催される第8回アフリカ開発会議(TICAD8)において、活動事例として世界に発信され、アフリカの母子保健の改善に向けた民間による活動の後押しとなるよう推進していきます。
日本とガーナの官民連携のもと、本プロジェクトは、SDGsのゴール17「パートナーシップで目標を達成しよう」を実践しながら、ゴール2「飢餓をゼロに」およびゴール3「すべての人に健康と福祉を」のターゲット達成を目指します。官民そして異業種が分野横断的に社会課題の解決に取り組むことによって、より大きな価値を共創しながらUHC推進の加速に貢献していきます。
本プロジェクトの経緯と概要は下記をご参照ください。
1. 経緯
- 2019年8月:TICAD7開催、「横浜宣言2019」が採択される
アフリカビジネス協議会発足、日本―ガーナ間で協力覚書を締結 - 2021年2月:内閣官房・アフリカビジネス協議会主催「Ghana-Japan Healthcare Business Webinar」で、ガーナ政府・保健医療関係者に「栄養-貧血‐マラリア-ICT」の共創コンセプトを提案
- 2021年10月:ガーナ共和国に対する栄養改善のための無償資金協力に関する書簡「栄養改善のための持続可能なシステムを通じたユニバーサル『栄養』ヘルス・カバレッジ計画(WFP連携)」の交換※8
- 2022年3月:2021年10月の書簡に基づき、WFPガーナ事務所とKOKO Plus Foundationの間で、契約を締結
- 2022年3月:WFPガーナ― KOKO Plus Foundation間の契約に基づき、本プロジェクト展開のための契約を日本およびガーナに所在する関係者間※9で締結
- 2022年4月:ガーナ共和国にて、「日本政府支援による新しい栄養プログラム・栄養改善のための持続可能なシステムを通じたユニバーサル『栄養』ヘルス・カバレッジ計画」のローンチイベントを開催
2. 本プロジェクトの概要
2-1. 目的
ICTを活用したガーナの母子への効果的な栄養教育と、持続性を可能にする現地民間企業によるサプリメント製造、現地NGOによる販売・浸透活動などのビジネスベースのアプローチを組み合わせることで、ヘルスケアに対する行動変容を起こすとともに、貧血・マラリアの早期発見・早期治療に貢献する検査の普及および医療従事者の人材育成を通じた保健基盤の強化を図る。日本発の革新的なICT技術、検査技術を活用し、妊婦、母親、子どもたちが質の高い栄養と保健サービスを享受できる環境づくりに貢献する。
2-2. 参画組織・企業
- 日本:味の素ファンデーション、シスメックス、NEC
- ガーナ:KOKO Plus Foundation(NGO)
Sysmex West and Central Africa Ltd.(シスメックスのガーナ現地法人)
2-3. 役割
味の素ファンデーション/KOKO Plus Foundation:
- WFPとの連携、プロジェクト全体のマネジメント
- GHSと連携した、保健所のスタッフ向けの研修実施による保健・栄養指導能力の向上
- 保健所周辺における、栄養サプリメント「KOKO Plus®」のサプライチェーンの構築
- 過去十数年のガーナにおける経験やネットワークをプラットフォームとして提供
シスメックス/Sysmex West and Central Africa Ltd.:
- GHSの指定医療機関へのマラリア診断装置導入による検査の質とアクセスの向上を促進
- 貧血・栄養失調・マラリアの早期発見・早期治療につなげる医療従事者(臨床検査技師、臨床医)に対する人材育成、学術シンポジウム等を通じた啓発活動
- GHS、National Malaria Control Programme※10との連携
NEC:
- 健康診断および栄養指導のためのアプリケーション開発
- 保健所スタッフが同アプリケーションを活用してガーナ母子へ健康診断及び栄養指導を行い、「KOKO Plus®」摂取やシスメックス検査機器のある病院での追加検査の推奨といった母子の行動変容を促進するための支援
- 保健所スタッフへのタブレット提供及びトレーニング
2-4. プロジェクト体制(下図参照)
注釈
- ※1:アフリカ開発会議(Tokyo International Conference on African Development: TICAD)はアフリカの開発をテーマとする国際会議。1993年以降、日本政府が主導し、国連、国連開発計画(UNDP)、世界銀行及びアフリカ連合委員会(AUC)と共同で開催している。各開催回数をつけて「TICAD7」のように表記する。
- ※2:ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)とは「すべての人が、適切な健康増進、予防、治療、機能回復に関するサービスを、支払い可能な費用で受けられる」ことを意味し、すべての人が経済的な困難を伴うことなく保健医療サービスを享受することを目指したもの。
- ※3:日本国内閣官房健康・医療戦略室及び日本国厚生労働省とガーナ共和国保健省との間のヘルスケアと健康分野における協力覚書
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/kenkouiryou/pdf/20190820_ghana_hc.pdf - ※4:The Institute for Health Metrics and Evaluation (IHME)
https://www.healthdata.org/ghana - ※5:マラリアは、世界保健機構(WHO)が定める世界三大感染症の一つで、世界の熱帯・亜熱帯地域を中心に広く流行している。蚊を媒介としてマラリア原虫によって引き起こされる原虫感染症で、マラリア原虫が体内に侵入すると、一定の潜伏期間を経て血液中の赤血球に感染し、高熱、頭痛、嘔吐、貧血などの症状が認められる。WHO の「World malaria report 2021」によると、2020 年の罹患者数は約2.4億人、死亡者数は約62.7万人と報告されている。
https://www.malarianomore.jp/archives/12598
https://www.who.int/publications/i/item/9789240040496 - ※6:5歳未満の子どもは、マラリアと栄養失調の両方に対して特に脆弱であり、栄養失調の子どもではマラリアがより重症化する可能性がある。また、マラリアは、妊婦の貧血・死亡、自然流産、死産、低出生体重児、新生児・乳児死亡など、母体と新生児の予後不良のリスクを高める。
Nutrition and Malaria: Integrated approach for effective case management
https://endmalaria.org/related-material/malaria-and-nutrition-thematic-brief - ※7:子供の栄養を改善するサプリメントの味の素ファンデーションの登録商標
http://www.theajinomotofoundation.org/kokoplus/ - ※8:ガーナ共和国に対する栄養改善のための無償資金協力に関する書簡の交換
https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press6_000941.html - ※9:本契約は、味の素ファンデーションとそのガーナでの業務委託先のKOKO Plus Foundation、シスメックスとそのガーナ現地法人のSysmex West and Central Africa、およびNECの5者による契約です。
- ※10:ガーナ国内のマラリア対策を行うGHS内の組織
公益財団法人味の素ファンデーションについて
味の素ファンデーションは、広く社会からの賛同と協力をいただきながら、食を通じた栄養改善に関する事業を通じて、日本はもとより世界の重要な社会的課題の解決に寄与することを目的に、2017年に設立されました。被災地復興応援事業、ガーナ栄養改善プロジェクト(GNIP)、食と栄養支援事業(AINプログラム)、ベトナム栄養制度創設事業(VINEP)の4つの公益目的事業を行っています。
URL: http://www.theajinomotofoundation.org/
シスメックス株式会社について
シスメックスは、グループ企業理念「Sysmex Way」において「ヘルスケアの進化をデザインする。」をミッションに掲げ、医療の発展と人々の健やかな暮らしに貢献しています。血液や尿などを 採取して調べる検体検査に必要な機器・試薬・ソフトウェアの研究開発から製造、販売・サービス &サポートを一貫して行っており、190以上の国や地域の医療機関へ製品をお届けしています。また、グローバルに事業を展開する企業が果たすべき責務の一つとして、一人でも多くの方が適切な医療を受けられるよう、新興国・開発途上国において検査の普及を通じてUHCを推進する取り組みを進めています。
URL: https://www.sysmex.co.jp
日本電気株式会社について
NECは、安全・安心・公平・効率という社会価値を創造し、誰もが人間性を十分に発揮できる持続可能な社会の実現を目指しています。海外では2025中期経営計画において成長事業と定めたデジタル・ガバメント/デジタル・ファイナンス、グローバル5G、コアDXを軸に事業を展開し、ステークホルダーの皆さまと新たな価値を共創していきます。
URL: https://jpn.nec.com
本件に関するお客様からのお問い合わせ先
NEC 事業開発統括部
E-Mail:info@phcs.jp.nec.com
以上
プレスリリースに掲載されている情報は、発表日現在の情報です。その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご了承ください。
NECは、安全・安心・公平・効率という社会価値を創造し、
誰もが人間性を十分に発揮できる持続可能な社会の実現を目指します。
https://jpn.nec.com/profile/brand/