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NECとCEPI、最先端AIを活用し広範なベータコロナウイルス属に対応する次世代ワクチンの開発を開始

~日本およびノルウェー企業で初のCEPIとのパートナーシップにより、将来のパンデミック防止に貢献~

2022年4月8日
日本電気株式会社
感染症流行対策イノベーション連合

NECとノルウェー子会社のNEC OncoImmunity(NECオンコイミュニティ、注1)は、ワクチン開発を行う製薬企業や研究機関に資金を拠出する国際基金「感染症流行対策イノベーション連合(CEPI、注2)」と、新型コロナウイルスとその近縁種ウイルスを含むベータコロナウイルス属全般に有効な次世代ワクチンの開発を開始しました。CEPIはシードファンド(初期段階の投資)として最大480万米ドルを拠出します。

NECはNECオンコイミュニティを通じて、欧州ワクチンイニシアチブ(EVI、注3)やオスロ大学病院などの研究コンソーシアムを主導し、広範なベータコロナウイルス属に対するmRNAワクチンの設計およびコンセプト実証を行うプロジェクトを開始します。NECのAIを用いたワクチン設計技術と知見をもとに、ベータコロナウイルス属全般に対して有効な新しいウイルス抗原を探索します。そして、SARS-CoV、SARS-CoV-2、MERS-CoVなど、これまでに流行したベータコロナウイルスを用いた非臨床試験を実施し、特に有効性の高いウイルス抗原を選定してワクチン設計に活用します。
この革新的なアプローチの有用性が示せた場合は、CEPIがポートフォリオに設定した他の病原体(パンデミックを引き起こす未知の病原体「Disease X」含む)に対するワクチン開発に展開することも考えられます。

CEPIが資金を拠出するワクチンは、公平にアクセスできることを原則としています。このEquitable Access Policy(公平なアクセスポリシー)に従い、NECはCEPIと資金拠出契約を締結し、プロジェクト成果への公平なアクセスを約束しています。

本件に対するコメントは以下のとおりです。

コロナウイルスが壊滅的な被害をともなうパンデミックを引き起こす可能性を持つことが明らかとなりましたが、新型コロナウイルスが人類を脅かす最後のコロナウイルスではありません。そのため、病原体が出現するより前に、広範なコロナウイルス種に有効なワクチンに世界中の人々がアクセスできるというCEPIの野心的なプログラムが、グローバルヘルスセキュリティに不可欠であると考えています。
日本は、グローバルヘルスにおける世界的なリーダーとして誇るべき歴史を持っており、CEPI創設時のメンバーであり主要な拠出国であるなど、長期にわたって新興感染症に関する研究開発を支えています。このたび、日本企業との最初のコラボレーションとしてNECと組むことを嬉しく思っています。AIによるワクチン設計という革新的なアプローチによる開発を進め、それが完成した際は、コロナウイルスの脅威を取り除くことができるかもしれません。

感染症流行対策イノベーション連合(CEPI) CEO Dr. Richard Hatchett

新型コロナウイルス感染症のパンデミックで生まれた課題への対処により、人々の生活は大きな打撃を受けました。困難な教訓が今後何十年も私たちに残り、また将来の目に見えない敵に対して武装しておくことも重要です。NECは、最先端AIを活用してコロナウイルスに対する次世代ワクチンを開発するミッションでCEPIと協業することに喜びを感じています。このパートナーシップは、NECの専門知識およびヘルスケアへの貢献と、画期的な技術を通じて医薬品開発を推進する日本のリーダーシップが認められたものです。今後もNECグループのリソースを活用し、グローバルヘルスを実現するための活動を推進していきます。

NEC 取締役 会長 遠藤 信博

CEPIがNECオンコイミュニティの技術力とサイエンスチームの専門性を信頼してくれたことを非常に光栄に思います。私たちは新型コロナウイルス感染症禍で、理想的なワクチンとは絶えず変異するウイルスに対して頑強でなければならないことを学びました。NECオンコイミュニティのAIは、すぐには変異せず、またSARS-CoV、SARS-CoV-2、MERS-CoVなどのベータコロナウイルス属に共通する領域を探索します。より広範なT細胞および抗体応答を引き起こす抗原を見出すという私たちのユニークなアプローチは、世界中の人々をベータコロナウイルスの脅威から長期的に守ることができる、包括的ベータコロナウイルスワクチンの作製に適していると確信しています。

NECオンコイミュニティ CEO Richard Stratford

人類共通の課題であるパンデミックに対応するため、ワクチン開発を促進するCEPIの活動に、NECが日本企業で初めて参画することを歓迎いたします。我が国は2022年2月にCEPIに対し、今後5年間で新たに3億ドルの拠出表明を行い、国際社会のワクチン開発に積極的に貢献しています。NECが世界最先端のAIによる次世代ワクチンの開発に貢献し、グローバルヘルスへ寄与することを期待しています。

厚生労働省 総括審議官 達谷窟 庸野

日本のワクチン業界にとってNECの参入はとても喜ばしいことです。AIを活用するという新しいサイエンスの切り口で、今までより安全かつ有効なワクチンのスピーディーな開発が進むことで、パンデミックの早期対策へ貢献いただくことを期待しております。

国立大学法人東京大学 医科学研究所 教授 石井 健

以上

  • (注1)
    本社:ノルウェー オスロ、CEO:Richard Stratford
  • (注2)
    CEPI(Coalition for Epidemic Preparedness Innovations、読み:セピ)は、2017年1月にダボス会議で発足した、ワクチン開発を行う製薬企業・研究機関に資金を拠出する国際基金。日本、ノルウェー王国、ドイツ連邦共和国、英国、欧州委員会、オーストラリア連邦、カナダ、ベルギー王国、ビル&メリンダ・ゲイツ財団、ウェルカム・トラストなどが拠出を行っている。平時には需要の少ないエボラ出血熱のような世界規模の流行を生じる恐れのある感染症に対するワクチンの開発を促進し、現在、新型コロナウイルスに対するワクチンの開発も支援している。2022年2月には日本政府から、今後5年間で3億ドルの拠出を新たに行うことが発表された。
  • (注3)
    EVI(European Vaccine Initiative)は、ドイツのハイデルベルグに本部を置く、ワクチン開発を支援する非営利団体。

本件に関するお客様からのお問い合わせ先

NEC AI創薬統括部
E-Mail:contact@aidd.jp.nec.com

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