NEC、FIWAREを活用したスマートシティ向け「データ利活用基盤サービス」を販売開始
2018年2月27日
日本電気株式会社
NECは、EUの次世代インターネット官民連携プログラム(FI-PPP、注1)で開発・実装された基盤ソフトウェア「FIWARE」(ファイウェア、注2)を活用したスマートシティ向け「データ利活用基盤サービス」を自治体やエリア開発事業者向けに2018年4月から販売開始します。
本サービスは、地域の活性化や安全など、都市における課題解決に向けて、都市や地域に分散して存在する様々な分野・領域のデータ(防災、観光、交通、エネルギー、環境など)やIoT技術などを活用して収集したデータをクラウド上で蓄積し、共有・分析・加工して提供するサービスです。なお、本サービスはデジタルトランスフォーメーションを支えるNEC the WISE IoT Platform(注3)の統合IoT基盤の1つとして提供します。
本サービスを用いた都市に関わるデータの統合的な活用により、都市における課題を可視化・把握し、行政サービスの最適化や新たなサービスによる価値の創出など、魅力的な街づくりを支援します。
なお、本サービスは先行して、高松市(香川県)で本日から、加古川市(兵庫県)で3月からそれぞれ運用が開始されます。
本サービスを用いることにより、高松市では防災・観光分野、加古川市では安全・安心分野における課題解決に取り組み、都市におけるデータを利活用したスマートシティの実現を推進します。
NECは社会ソリューション事業に注力しており、AI・IoT技術をはじめとする先進ICTを活用して、お客様との共創を通じた企業・社会のデジタルトランスフォーメーションに貢献していきます。
背景
昨年、官民データ活用推進基本法(注4)が施行され、官民データ活用がIT政策の軸となり、都市の課題解決の手段として期待されています。
こうした中、様々な分野・領域のデータ(防災、観光、交通、エネルギー、環境など)を、地域の複数のステークホルダー間で共有・利用するニーズが高まっています。これには、データを一括管理・運用し、利活用を促進するデータ流通の仕組みが必要です。
実際に欧州では、公共サービスを提供する自治体や企業等の業種を越えたデータ利活用やサービス連携を促すため、上記特長を有する「FIWARE」が開発・実装され、現在、欧州以外の地域にも広く普及しています。
NECはこの「FIWARE」の開発に2011年から携わっており、今回販売開始する「データ利活用基盤サービス」は、FIWAREを基に、その品質を独自に検証し、セキュリティを強化するなど、都市経営やビジネスに利用可能な基盤としてサービス提供します。
「データ利活用基盤サービス」の特長
都市のデータを本サービスに統合して収集・蓄積し、データを相互共有することで、分野を横断した新しいサービスの創出を実現します。
これにより、収集したデータを一覧化するデータ公開サイトや都市の見える化に必要な地理情報など、スマートシティの実現に必要な各種機能を標準サービスとして提供します。
機能名 | 概要 |
---|---|
データ公開サイト | データ利活用者向けに、基盤に収集・蓄積されているデータの種類を一覧化し、そのデータへのアクセス方法を公開するポータルサイト |
地理情報システム | アプリケーションへ地理情報を提供する機能 |
リアルタイム分析 | 収集データをリアルタイム分析し、結果を出力する機能 |
コンテキスト管理 | 都市に存在するモノ・コトをデータ(コンテキスト情報)として統合管理し、データ提供者、データ利用者へオープンAPIを提供する機能 |
履歴データストレージ | コンテキスト情報の履歴を蓄積・参照する機能 |
バイナリデータストレージ | 画像・動画などのバイナリデータを管理するストレージ機能 |
API管理 | Web APIの管理機能、セキュリティプロキシ機能 |
ID管理(認証・認可) | 管理機能やAPIへのアクセス権限をユーザID単位で制御する認証・認可機能 |
- 分野・領域や地域を横断したデータの蓄積と連携による新サービスの構築
本サービスでは多様なデータの相互運用の実現に向けて、データ形式を揃えるための"標準データモデル"を規定し、さらにNGSI(注5)を含むグローバル標準のオープンAPIを準備しています。これらにより、分野・領域、地域間で収集したデータの統合・蓄積・加工をスムーズに行うことができ、地域課題に応じた新たなサービスの構築が可能となります。 - データ利活用に不可欠な強固なセキュリティとワンストップサポートの提供
本サービスは、NECのクラウド基盤サービス「NEC Cloud IaaS」上に搭載され、NECの強みを持つAIやセキュリティ等のサービスと組み合わせることにより、データ利活用の更なる高度化や安全・安心な環境を提供します。さらにNECの持つOSS(Open Source Software)の知見を活かし、オープン性を確保しながら、多くのOSSの組み合わせ検証を行います。これにより、本サービスに採用しているOSSをNECがワンストップでサポートします。
今回の発表にあたりFIWARE普及・推進団体「FIWARE Foundation」CEO Ulrich Ahle様、本ソリューションを導入した高松市長 大西 秀人様、加古川市長 岡田 康裕様より、以下のエンドースメントを頂戴しております。
FIWARE Foundationは、日本初のFIWAREベースのプラットフォームとなる「FIWAREを活用したスマートシティ向けデータ利活用基盤サービス」の販売開始を心より歓迎いたします。FIWAREはオープンデータやセンサデータ等の利活用に適したオープンAPIを持ち、欧州を中心に様々な都市のサービスの効率化、高度化の実現に活用されています。今後、本基盤が普及することで、多様な主体が地域課題の解決に結びつく各種スマートサービスを創出し、データ利活用のエコシステムが形成され、日本の都市のスマート化が加速していくものと確信しております。
高松市は、地域課題の解決を目指して、総務省「データ利活用型スマートシティ推進事業」を活用し、国内で初めて、FIWAREを共通プラットフォームとするデータ利活用を開始しました。国際標準に準拠し、分野横断的なデータの相互運用が容易なFIWAREが、NECの取り組みによって国内外でさらに普及していくことを期待しています。
加古川市は、まち・ひと・しごと創生総合戦略を踏まえ、「子育て世代に選ばれるまち」の実現に向けて、安全・安心分野をはじめとした複数分野のデータを収集し分析等を行うためFIWARE を採用しました。今後、地域課題の解決に向け、市民をはじめ、学識者や民間業者など多様な主体が参画できる取り組み体制の構築に努めてまいります。
NECグループは、安全・安心・効率・公平という社会価値を創造する「社会ソリューション事業」をグローバルに推進しています。当社は、先進ICTや知見を融合し、人々がより明るく豊かに生きる、効率的で洗練された社会を実現していきます。
以上
- (注1)次世代インターネット官民連携プログラム(FI-PPP):
EUの第7次研究枠組計画におけるICTプロジェクトとして、3億ユーロの予算の下、2011年から5年計画で次世代インターネット官民連携(FI-PPP)プログラムを実施。 - (注2)FIWARE:
FI(Future Internet)WARE(次世代インターネット基盤ソフトウェア)。FI-PPPが次世代インターネット技術における欧州の競争力強化と、社会・公共分野のスマートアプリケーション開発を支援するために、開発した基盤ソフトウェア。FIWAREの仕様はオープンかつロイヤルティフリーで、オープンソースソフトウェアによるリファレンス実装と、オープンAPIを持つ。FIWAREが実装するオープンAPIは、「NGSI」のコンテキスト管理に係るインタフェース「NGSI-9/10」で、データ流通やデータモデルなどの仕組みを標準化したベンダーニュートラルな仕様であり、既存の各種IoT基盤と並立して業種を超えたデータの相互利活用を促すもの。
参考URL:
https://www.fiware.org/
http://jpn.nec.com/press/201703/20170317_01.html - (注3)NEC the WISE IoT Platform:
NECの最先端AI技術群「NEC the WISE」を活用したIoTプラットフォームであり、システム構築における実証から本番フェーズまで、シームレスな移行を実現します。
・プレスリリース
http://jpn.nec.com/press/201609/20160929_02.html
・NEC the WISE IoT Platform
http://jpn.nec.com/iot/iotplatform/index.html - (注4)官民データ活用推進基本法:
自立的で個性豊かな地域社会の形成、新事業の創出、国際競争力の強化等を目的とし、国・自治体・民間企業が保有するデータの適正かつ効果的な活用を推進するために平成28年12月7日に成立した。 - (注5)NGSI:
Next Generation Service Interfacesの略。Open Mobile Allianceが仕様策定した次世代サービスインタフェース。FIWAREはデータ流通に関わるコンテキスト管理に係るインタフェース(NGSI-9, NGSI-10)を採用している。
データ利活用基盤サービスについて
本件に関するお客様からのお問い合わせ先
NEC 未来都市づくり推進本部
TEL:03-3798-6715
E-Mail:smartcity@iot.jp.nec.com
NECは、社会ソリューション事業を推進する
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