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NEC Analytics Challenge Cup 2020

開催期間:2020年8月17日〜9月11日(最終審査会:2020年10月5日)

NECでは2017年度より、AI人材育成の一環として社内分析コンテストを実施している。今回、2020年8月17日~9月11日に開催した第5回目となる分析コンテストでは、その取り組みを広げ、連携大学・企業との共同コンペティションという形で分析コンテスト「NEC Analytics Challenge Cup 2020」を開催。また、10月5日(月)に、受賞チームのプレゼンテーション、最終審査からなる「NEC Analytics Challenge Cup 2020 カンファレンス」をオンラインで開催した。

参加者が取り組んだのは、new window人口動態データ(提供元:KDDI株式会社)を分析対象として特定地域の滞在人口予測の精度を競う「予測精度コンテスト(2部門)」と、人口動態データの分析結果を活用したビジネスアイデアを募る「アイデアコンテスト」。挑戦者は専用のデータ分析環境で約1か月にわたり、提示された課題に取り組んだ。

のべ99チーム(250名)にのぼる参加者の中から、事前審査・最終審査会を経て決定した各コンテストの受賞チームの分析アプローチ、また、アイデアの一部を紹介する。

予測精度コンテスト

予測精度コンテストは、難易度別に「オフィス街部門」と「繁華街部門」の2部門を設け、それぞれ、人口動態データ(時系列の位置情報データ)を用いて、特定地域および指定条件における滞在人口の予測精度を競った。

オフィス街部門

学生~社会人2年目までを対象とした「オフィス街部門」は、過去の人口動態データを用いて、2019年7月のオフィス街(東京駅 丸の内周辺)における40代男性の平均滞在人口の予測精度を競うものだ。比較的規則的なデータではあるものの、トレンドや季節性の考慮、祝日をどうケアするかなどの考慮が求められる。

オフィス街部門で最優秀賞を受賞したのは、滋賀大学の泉 英樹さん、小川 幸進さんのチーム(指導教官:田中 琢真先生)である。時系列の代表的なSARIMAモデルを中心とした3つのモデルのアンサンブルというアプローチをとり、他チームを大きく引き離しての勝利となった。

優秀賞は、同じくSARIMAモデルをベースとしたアプローチをとったダイキン工業株式会社のチーム、滋賀大学の堤 駿人さん、山崎 大輔さんのチーム(指導教官:江崎 剛史先生)、線形回帰のアプローチをとった滋賀大学の細野 泰生さん、松本 和真さん、釼持 実祐さん、渡邊 典子さんのチーム(指導教官:河本 薫先生)、XgboostのアプローチをとったNECの袴田 紘斗さんが獲得した。

カンファレンスでは、上位チームが集まり、祝日の対応方法や新たに追加した特徴量など、各々の工夫点について活発な質疑が行われた。

繁華街部門

コンテスト参加者全員を対象とした「繁華街部門」は、過去の人口動態データを用いて、2019年7月の繁華街(新宿駅 西口/東口周辺)における全年代・全性別の平均滞在人口の予測精度を競うものだ。

エリア(西口・東口)や属性(年齢・性別)によってデータの傾向が全く異なるため、予測の難易度は比較的高いデータといえる。

75チーム(175名)もの参加した「繁華街部門」で、最優秀賞を獲得したのは、ダイキン工業株式会社のチーム。Kaggleなどのデータ分析コンペティションでもよく使われるLightGBM、RandamFrorest、線形回帰(ElasticNet)のアンサンブルを用いて、見事、頂上決戦を制した。

優秀賞は、独自のデータ操作のみで予測を行ったNECの高橋 尚武さん、篠田 茂樹さん、生藤 大典さん、冨永 慎さん、仙田 裕三さんのチーム、LightGBMのアプローチをとったNECの山下 修さん、NECソリューションイノベータの石村 司さん、線形回帰のアプローチをとったNECソリューションイノベータの江部 哲生さんが獲得。

カンファレンスでは、上位チームが集まり、エリアや属性によって傾向の異なるデータをどう捉え、どのようにデータを分割してモデルを作成したかなど、各々のアプローチの違いやその手法を選択した理由について興味深い議論が繰り広げられた。

アイデアコンテスト

アイデアコンテストは、山手線沿線区の人口動態データ(2019年、2020年)を分析して導き出したビジネスアイデアを競うものだ。

一次審査の結果、ファイナリスト7組が選出され、最終審査会に臨んだ。カンファレンスで行われた最終審査会では、上位7組が審査員および聴衆の前で、各々のアイデアについてプレゼンテーションを行った。

アイデアコンテストの審査員は、人口動態データをご提供いただいたKDDI株式会社の若井 幸夫 氏を特別審査員として迎え、NEC AI・アナリティクス事業部 事業部長の池田 雅之、NEC AI人材育成センター センター長の孝忠 大輔、NEC シニアデータアナリスト本橋 洋介の計4名が務めた。

審査員が、「ビジネス価値」「独創性」「完成度」の3指標で評価し、「最優秀賞」を選出、また、カンファレンスに参加した視聴者から投票を募り「聴衆賞」をあわせて選出した。

最終審査の結果、「新たなフードトラックビジネスのビジネスモデルの提案」というタイトルで発表したダイキン工業株式会社のチームが「最優秀賞」および「聴衆賞」をダブル受賞。COVID-19の流行により苦境にある飲食店の支援を目的とした、人口動態データの分析結果を活用して飲食店・フードトラックオーナー・消費者をつなぐフードトラックビジネスに審査員および聴衆の票が集まった格好だ。

優秀賞は、「空きオフィスを活用した”サブスクルーム”の提案」というタイトルで発表した滋賀大学の田中 大稀さん、徳永 一輝さんのチーム(指導教官:河本 薫先生)、「山手線沿線区の人口動態データから導く新しいビジネスの提案」というタイトルで発表した滋賀大学の山崎 大輔さん、堤 駿人さんのチーム(指導教官:江崎 剛史先生)、「キッチンカーと広告宣伝車のルート最適化のご提案」というタイトルで発表したNECソリューションイノベータ株式会社の仲栄真 言祈さん、玉城 喜範さん、長浜 竜太さん、新城 睦子さんのチーム、「鉄道会社様向け ダイナミックプライシング導入のご提案」というタイトルで発表したNECの菊池 匠さん、内田 啓太さんのチーム、「エリアの人口動態情報を活用したダイナミックプライシングの提案」というタイトルで発表したNECの近藤 研二さん、岩井 良典さん、中田 一人さんのチーム、「山手線沿線区の人口動態データから読む 地元密着型ビジネスターゲティング」というタイトルで発表したNECの飛田 尚洋さん、計6組が獲得した。

まとめ

カンファレンスでは、その締めくくりとして「今回、NECグループの中で実施してきたAI人材育成の取り組みを連携企業・連携大学に広げてこのようなコンテストを実施でき、よい刺激を受けた」、「データの活用方法に関して新しい気付きを得られた」、「東京に住んでいない方にとっては想像しづらいデータでありながら、具体的なビジネスアイデアを考えていただいて、是非一緒にビジネスをしたいと思った」「COVID-19の状況にいかに打ち勝つかという面でも、おもしろいアイデアがたくさん出たのが素晴らしかった」などのコメントが審査員から述べられ、参加者からは暖かい拍手が送られた。

最終審査会当日の様子

複数会場と発表者、視聴者をオンラインでつなぎ、プレゼンテーションをライブ配信した。