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2020年度(21年3月期)第3四半期決算概要

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Ⅰ. 第3四半期決算概要

はじめに第3四半期 実績概要です。

売上収益は、9ヵ月累計では市況悪化の影響により、前年度比で6%の減収となりました。
3Qの3カ月間をみると、2Q以降堅調に推移している受注に支えられ、前年比で増収に転じました。

調整後営業利益ですが、9ヵ月累計では売上収益と同様に市況悪化の影響があるものの、資産売却による特別対策の実施もあり、64億円の増益となりました。3Qの3カ月間で見ると327億円の増益で、特別対策を除いた実業ベースでも増益となりました。

調整後当期利益は、調整後営業利益の増加に伴い9ヵ月累計、3ヵ月ともに増益となっています。

9ヵ月累計の売上収益は2兆444億円、調整後営業利益は970億円、調整後当期利益は637億円となりました。

フリー・キャッシュ・フローは1,082億円の支出となりましたが、Avaloq社の買収や不動産などの資産売却を実行しております。

社内の想定に対しては、9ヵ月累計での売上収益が410億円下振れ、調整後営業利益は90億円の上振れとなりました。

こちらは、セグメント別の実績をお示ししております。
各セグメントについては後ほど個別に説明いたします。

四半期別 調整後営業利益の推移につき、対前年で要因別ご説明します。

中央の表のとおり、市況悪化の影響は直近3ヵ月で大幅に縮小しています。

棒グラフは3ヵ月毎の調整後営業損益の推移ですが、赤は新型コロナウイルス起因のネットベースのマイナス要因、緑は資産売却による特別対策、青はこれら2つを除いた実業ベースの損益です。

実業ベースはこの3Qで前年比増益に転換しています。

こちらは四半期毎の受注動向をセグメント別にお示ししています。

3Qの全社受注は前年比で5%の増加。9ヵ月累計でも、前年比で3%の増加となりました。

セグメント別に見ますと、社会基盤はGIGAスクール需要が寄与、ネットワークサービスは5G基地局の需要が本格化したことにより、それぞれ前年比で大きく増加しました。

一方、新型コロナウイルスの影響を最も受けている社会公共とエンタープライズは、社会公共で減少幅が縮小、エンタ―プライズでは3Qで前年度比 増加に転じ、改善基調にあります。

グローバルは、3Qだけみると前年比で減となっておりますが、これはディスプレイ事業の非連結化の影響です。

セグメント別の業績を説明します。

最初は社会公共です。

売上は、消防防災は堅調に推移していますが、医療向けや地域産業向け、ビジネスPCの減少により減収となりました。

調整後営業損益は、売上減により減益となっています。

社会基盤です。こちらはNEC本体と連結子会社で傾向が異なります。

売上ですが、NEC本体は中央省庁向けのITサービスや、GIGAスクール構想を背景とした教育機関向けパソコンが増加し、増収となりました。一方、連結子会社の日本航空電子工業は減収となりました。

次に調整後営業利益ですが、NEC本体は売上増、不採算案件の改善により増益となりました。
しかし、日本航空電子工業は減益となっています。

エンタープライズです。

売上は、前年の流通向け・金融向けの大型案件と、ビジネスPCの減少に加え、製造業や流通・サービス業におけるIT投資抑制により減収となりました。

また、調整後営業利益は、売上減により減益となっています。

ネットワークサービスです。
売上は、5Gの導入に伴う移動ネットワーク領域および固定ネットワーク領域での需要増により、大幅な増収となりました。

3Qから5G基地局の出荷が本格化しており、5Gの状況については後ほどご説明します。

調整後営業利益は、売上増に伴い増益となりました。

グローバルです。
売上は、海洋システムが増加したものの、ディスプレイの減少および11月からの非連結化に加えて、KMD社の買収時に終息を見込んでいた一部事業の影響で、減収となりました。

調整後営業損益は、売上減による影響があるものの、サービスプロバイダソリューションの収益増や、海洋システムの売上増加により増益となりました。

グローバル事業の9ヵ月累計の売上を売却・縮小事業と、それ以外の継続していく事業に分けてお示ししています。

売却・縮小事業は、売上・営業損益ともにディスプレイ事業の減収と非連結化による影響が大きくなっています。

9ヵ月累計のグローバル全体の売上は減収となっていますが、売却・縮小事業を除いた継続していく事業でみると増収です。

また、営業損益についても、継続していく事業で見ると前年比で大きく改善し、これがグローバル全体の増益要因となっています。

フリー・キャッシュ・フローの状況です。

営業キャッシュ・フローは、調整後営業利益が64億円改善したことに加えて、運転収支が約380億円改善しましたが、特別対策を除くベースでの損益悪化に加え、税金などの支払い増により、前年比で256億円の支出増となりました。

一方、投資キャッシュ・フローは、データセンター向け投資の一巡や昭和オプトの株式売却の影響などで312億円、加えて、相模原事業場を含む固定資産の売却により約350億円改善しましたが、Avaloq社の買収に伴う1,980億円の支出により、前年比で1,318億円の支出増となりました。

これらの結果、フリー・キャッシュ・フローは、1,082億円の支出となりました。

なお、一過性の特殊要因である固定資産売却とAvaloq社の買収を除いたベースで見ますと、フリー・キャッシュ・フローは前年度の9か月累計の数字と概ね同水準となっております。

続いて、2020年度 通期の業績予想についてご説明します。

年間の業績予想は、昨年の5月12日に公表した計画から変更していません。

今年度年間の新型コロナウイルスを起因とする市況悪化の影響について、最新の見通しをご説明します。

2020年10月時点では、営業利益で年間650億円のマイナス影響と想定していましたが、3Qでの影響額と最新の4Q見通しをベースに改めて精査し、本日時点で売上 1400~1500億円、営業損益で500億円のマイナス影響と想定しております。

上期の決算発表時点では収束タイミングが当初想定よりも長引いていることを考慮し、慎重にマイナス影響を再度見積もりましたが、足もとの受注が回復傾向にあること、この状況下でもオペレーションをマネージできるようになってきたことにより、本日時点では年度初めの想定範囲内でマイナス影響を納めることができると考えております。

費用コントロールについては、リモート環境に適合した新たな費用構造へと転換が進んでいます。費用の削減総額は好調も、ネットワークサービスや社会基盤の事業拡大に伴う費用増もあり当初想定より縮小し、年間で170億円の改善を見込んでいます。

New Normalにおける新たな需要の獲得については、年間で90億円を見込んでいます。
既にハワイ空港への感染症対策ソリューションの提供といったコロナ以前は想像しなかった案件の獲得もあり、来年度以降本格化する5G展開、政府・金融領域のデジタル化への布石になると考えております。

コーポレートの特別対策は3Qまでに330億円の利益を計上済です。これらの施策によりマイナス影響を超過する分については、できるだけ事業拡大に向けた将来投資を、前倒しで実施することを検討しております。

経営トピックについてご説明します。
1点目は、Avaloq社の買収完了とその資金手当についてです。

スイスの大手金融ソフトウェア会社であるAvaloq社の買収を昨年12月に完了しており、4Qから業績に寄与いたします。

また、本日 JICTによる出資の受け入れを発表いたしました。出資金額は約3億スイス・フラン、日本円で350億円となり、実施は2021年2月以降を予定しております。

今回の出資受け入れと、今年度実行した資産売却を合わせ、本買収は手元キャッシュ・フローの範囲内での買収実行が可能な見込みです。

経営トピックの2点目は5Gの取り組みについてです。

国内では、5Gネットワークの構築が本格化しており、基地局では、先行して展開していたRUに加えて、Open RAN対応のCUの出荷が本格化しました。基地局だけでなくスタンドアローン方式に対応した5Gコアの領域も、NTTドコモ、楽天モバイルでの採用が決定し、国内の5Gネットワーク展開に貢献していきます。

海外展開に向けた活動も着実に進めております。英国では、11月に事業開発拠点 Center of Excellenceを設立。ここを拠点とし、政府が主導するOpen RANを活用した実証プロジェクトへの参加が決定しています。

また、テレフォニカドイツが行うOpen RANシステムの実証実験に当社がシステムインテグレーターとして選定されました。今後も、先端技術を保有するパートナー企業との連携強化や、グローバルでのOpen RAN市場の活性化に積極的に取り組んでいきます。

経営トピックの3点目は行政のデジタル化に向けた取り組みについてです。

行政のデジタル化の実現に向けて、既にGIGAスクール構想を背景とした教育機関へのソリューション提供や、政府の共通プラットフォームの運用管理といった事業活動を活発に行っております。

また、マイナンバーの利活用に関する提言活動や、セキュアなクラウドプラットフォームの提供を行うと共に、それらを推進するための全社横断的な実行体制を構築し、強化することで事業を拡大していきます。

デジタル先進国であるデンマークのKMDのノウハウ活用を含め、NECは、行政のデジタル化の実現に大きく貢献できると考えています。

以上で説明を終わります。