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「変化を恐れず、とにかく挑戦し続ける」
車いすテニス国枝さんとNECグループの共通点

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車いすテニス界の世界的レジェンド、国枝慎吾さん。「オレは最強だ!」との代名詞のもとで数々の金字塔を打ち立て、2023年に世界ランキング1位のまま引退。現在はアメリカで新たな挑戦をしています。30年以上にわたり車いすテニスをサポートしてきたNECも創業から125年、絶えず挑戦を繰り返してきました。そのNECを率いる社長兼CEOの森田隆之と国枝さんが「挑戦すること」そして「変わり続けること」について語り合いました。(対談内は敬称略)

国枝 慎吾

1984年千葉県柏市生まれ。
11歳で車いすテニスと出会い、2004年、初出場したアテネパラリンピックでダブルス金メダル。
その後も北京、ロンドン、東京のパラリンピックでシングルス金メダルを獲得。
2022年には悲願のウィンブルドン選手権を初制覇し、4大大会とパラリンピックすべてで優勝する「キャリアゴールデンスラム」を車いす男子で初めて達成。
2023年1月に世界ランキング1位のまま引退。

現在は全米テニス協会の車いすテニス担当アドバイザーとして活動。

森田 隆之
NEC 取締役 代表執行役社長 兼 CEO

2021年4月、社長兼CEOに就任。
NECグループのPurpose実現に向け、戦略と文化の一体的な取り組みを推進。

社長就任以前は2018年からCFOを務め、成長戦略を後押し。趣味は読書。

──2024年12月、NEC本社。「ご無沙汰してます」「お久しぶりです」と、対談は笑顔で始まりました。国枝さんは現在、アメリカに拠点を移して英語を学びつつ、車いすテニス選手の育成に取り組んでいます。

森田:「世界ランキング1位で引退なんて、ちょっとカッコよすぎますけど(笑い)、新しいチャレンジですね」

国枝:「車いすテニスを多くの人に知ってもらいたいと思ったのが大きな理由です。アメリカは車いすテニス発祥の地なのですが、プロ選手がいないんですよ。ジュニア世代からどう変われるか、僕に変える力があるのかを確かめたい。そして現役時代は試合に集中するために英語を学ぶことを諦めていたのですが、学べばやりたいことの幅が広がるんじゃないかなって。ただ、英語は日々勉強で、ジュニアの子には3回言わないと伝わらなかったり、4回目に諦めたりですね」

国枝さんはアメリカで英語を学びつつ次世代の指導にあたっている

森田:「目的が『英語を話すこと』ではなく『英語で何か実現すること』になると中身が伴うはずですよね。すると拙い英語だとしても相手は一生懸命聞いてくれる。国枝さんにとって英語は『アメリカの車いすテニス界に変革を起こす』ための手段。(目的に向かっていけば)本当の意味でのコミュニケーション力がついてきますよ」

──絶対王者の立場から環境をがらりと変え、日々失敗と向き合いながら挑戦し続けているという国枝さん。その原動力は。

国枝:「引退して強く思ったのが、目標を持つことの難しさです。試合がなくなって『日々どうすればいいんだろう』って。僕は目標があることによる『張り』を求めてしまう所があって、家で暇をしているよりも何かに挑戦していた方が僕らしいかな、と。今までもたくさん失敗して取り戻してきたと、そんな思いがあるので今もトライ&エラーの日々を歩んでいます」

森田:「ビジネスはリスクがあるから利益が出る。だからリスクは避けるものではなくマネージするものです。どれだけうまくマネージできるかによって、その企業の強さが決まります。どんどん変化し続ける世の中では、見えない所でも様々な動きが起きている。そこで昨日と同じことをしていたら取り残されてしまいます。だから(リスクをとって)変化をする。『昨日と同じであることを不安に感じる状態』は、実は極めて健全なんです」

──変化すること。NECグループも国枝さんも、これまでの歩みの中でその重要性を強く認識しています。

森田:「先日、社外取締役から『20年単位で事業内容が大きく変わっていて、すごくドラスティックですね』と言われました。デジタル業界は変化と挑戦が中核にあり、主要企業の顔ぶれもどんどん変わっています。国枝さんも順風満帆に思えますが、水面下では様々な変化、挑戦、困難を乗り越えてきたのでしょうね」

NECは車いすテニスを30年以上支援してきた

国枝:「1位でいる時に『現状維持』では、あっという間に抜かれてしまいます。自分自身が変化し続け、挑戦し続け、改善し続けてきたことが、1位を継続できた理由だと感じています。2位や3位の人は負ける経験がある。すると『相手に対して自分に何が足りなかったか』を分析できるんです。それが1位になると相手の背中が見えなくなる。これでは練習が難しくて、自分自身を分析するしかない。他者との相対的な戦いじゃなくて、絶対的な自分との戦いです。1位になってから『負けること』が貴重になり、『負けはチャンスだ』と思っていました」

「僕は挑戦し続けることが楽しい。変わり続けないと成長し続けられないし、挑戦することで生まれるエネルギーも革新もある。実際、色んなプレースタイルに挑戦してきました。『車いすではできない』とされていたことも、やってみたら割とできる。何かに挑戦することでわかる、見えるというのは、スポーツでも個人でも企業でも同じです」

森田:「企業には国籍があって、NECグループは日本生まれの企業としてグローバル企業になりたい。(日本国籍だと)言葉やマーケットのサイズ、レギュレーションといった面でハンディキャップもありますが、良いところを生かすことで挑戦ができるんですね。日本という国籍を大きな力にしていくには、組織としてのより大きな能力、そして一人一人の挑戦する力が大切です。国枝さんの言う『変化を続ける能力』。NECグループはこれを持つ企業になりたいと思っています」

対談を振り返って ~国枝さんの想い

──今回の対談では「変化と挑戦」が2人に共通する考え方でしたね。

「森田さんは何度も『変革を続けるんだ』と仰っていて、社長自身が挑戦し続けて会社をとにかく変革させ続けるという、エネルギーや変革マインドがあると感じました。僕の中でのビジネスパーソンのモデルとして、また目指す方向として、とても共感しました」
「僕自身も現役時代に『変化を恐れない、変化しないと成長がない』と感じていました。自分が努力していない時にライバルは努力をしているので、現状維持が一番怖い。変化を恐れずにとにかく挑戦し続け、ダメだったら戻ればいい。失敗して一度戻って、また変化に挑戦して、『あ、今度は進んでるな』という作業。これってすごく大事で、今もそれを信じて取り組んでいます。森田さんとの対談でそれを再確認しました」

「アメリカでは車いすバスケにも挑戦しています。ここで僕には何の看板もなく、何者でもない。11歳くらいの男の子に『シンゴ、ボール取ってこい』って言われて(笑い)。これも僕にとっては新鮮で、そういった状況を楽しんでいます」

──挑戦と変化を続ける国枝さんですが、恐れていることはありますか。そしてそれにどう対処していますか。

「自分が変わらない状態って『何をしたらいいかがわからない』状態なんだと思います。テニスでも一番つまらないのは、そういう時です。コートに行っても戦略も課題もなくて、何を目指せばいいのか、どう改善すればいいのかも分からない。これが一番怖い」
「そこで、よく考えて何をすべきか見出すと楽しくなります。例えばフォアハンドを強化するとか、もっとスタートのコントロールを良くするとか。こうした目的意識を見出すには分析が必要です。自分自身の弱点や強み、これから何をするべきなのかを洗い出していくと、コートに行きたくなる。だから、負けた時にはしっかり分析していました」

──これから「変わろう、挑戦しよう」と思っている方々にメッセージをお願いします。

「まず一歩、動いてみてください。僕はいま、それを『英語』と定めています。アメリカの車いすテニスを自分の力でどれだけ強くできるか。その先に何が生まれるのかは分からないですが、歩み出せば『自分自身が何をすべきなのか』がちょっとずつ見えてくる。僕自身、この1年よく感じていることです」
「アスリートをやめて、目標に向かっていくことの難しさを痛感しています。けれど今は自分のスキルをちょっとずつ積み上げているところ。僕も自分を変え続け、変わり続けることにチャレンジしていきます。その日々こそが、生きていて『楽しいな』と思う瞬間ですから」

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