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少量の血液で将来の病気を予測! ICTが地域の健康長寿に貢献、熊本県荒尾市で一歩

「超高齢化社会」と呼ばれる日本では、医療・福祉のあり方をはじめ、社会保障制度や財政の問題など多くの課題に直面しています。また、地方では高齢化の進行が一層深刻な問題となっています。誰もが健康で長生きできる社会を実現するために。「少量の血液で将来の病気を予測できる」技術を利用したNECグループのサービスが貢献しています。一歩を踏み出したのは、熊本県の荒尾市でした。

培ったICTを活用 自治体と共同で「地域の健康で長生きできる仕組みづくり」

NECグループは、2025中期経営計画で「ヘルスケア・ライフサイエンス事業」を次の成長事業の1つの柱に位置づけ、これまで培ってきたICTをヘルスケア領域で活用しています。

ヘルスケアの中で、特に注目を集めているのがNECグループのフォーネスライフとNECソリューションイノベータが提供する「フォーネスビジュアス」というサービスです。これは、少量の血液から約 7000 種類のタンパク質を一度に解析する日本初*の技術と、NECグループのビッグデータ解析とICTを活用し、将来の疾病リスクを予測する検査から生活習慣改善サポートまで行うトータルヘルスケアのサービス。2020年から医療機関を通じて提供しているこの検査は、生まれてから死ぬまでほとんど変わらない「遺伝子」の検査とは異なり、生活習慣により刻々と変化するタンパク質を測定するため「今抱えている疾病発症リスクの変化」を捉えることができるのが強みで、認知症や心筋梗塞や脳卒中、肺がんの将来の疾病リスクを予測できます。

今回フォーネスライフは、自治体としては初めて熊本県荒尾市と共同で「フォーネスビジュアス検査」を荒尾市民病院にて実施。2023年3月、応募で集まった荒尾市民61名にサービスを提供しました。

共同で実施した荒尾市の高齢化率は、日本の平均を上回る36.23%(2023年2月現在)。生活習慣が原因の疾患の医療給付費が特に高いのも特徴です。フォーネスビジュアス検査で「将来の疾病リスク」を予測して、生活習慣の改善で予防することができれば──。高齢化で増える社会保障費を抑えつつ、市民の健康寿命を延ばし、健康格差の解消を実現につなげられるはず。この「健康で長生きできる仕組みづくり」は、荒尾市だけでなく、日本全体が向き合う課題でもあります。

「将来の病気を予測することで、予防や将来の生活を考えるきっかけにしたい」

「こんな少ない量(の採血で)認知症とか心疾患とか脳梗塞がわかるのが素晴らしい」

「健康診断で糖尿病と診断され、自身の身体に不安がある。新しい技術、未来の技術で病気が予測できるなら、とても嬉しい」

「家族や兄弟など周りでも病気で亡くなる人が多い。事前に病気が分かることで、予防に繋げることができるのは素晴らしいと思う。もっとこの取り組みを広げてほしい」

「大好きなゴルフを80歳になっても続けたい。そのためには今の自分の状態を知り、健康を維持したい」

今回参加した40~70代の荒尾市民の方々の感想です。歳を重ねて健康に不安を覚えることが増え、この検査を病気の予防に繋げたいというコメントが目立ちました。また、ICTとヘルスケアを組みあわせた新しい技術にも好意的な意見が多く寄せられました。

「協力して地域の課題解決を」 一人一人への改善プログラムを今後も提供

荒尾市役所 総務部 総合政策課 スマートシティ推進室 吉光 周平さん

高齢化率が全国平均を大きく上回り、医療給付費や介護給付費が大きな課題となっている荒尾市。「『フォーネスビジュアス検査』は、市民の健康に対する気づきを得ることにとても有効だと考えています」。そう語るのは、荒尾市役所 総務部 総合政策課 スマートシティ推進室の吉光 周平さんです。「高い技術力を有し、社会課題の解決のためにDXに取り組むNECグループと協力することで、地域の課題解決に取り組んでいきたい」と、NECグループとの取り組みに確かな手ごたえを感じています。

6月からはフォーネスビジュアス検査結果を踏まえて、保健師の資格を持つコンシェルジュとの健康相談を行います。NECソリューションイノベータとともに、一人ひとりに合った生活習慣改善プログラムを提供し、スマートフォンアプリの活用など継続のためのフォローを実施する予定です。

NECグループでは、今後も“今”と“将来”の健康状態、病気にかかるリスクを分かりやすく可視化し、個々に合った改善策の提案をすすめていきます。めざすのは、健康で長生きできる社会、そして「人に寄り添い心躍る暮らしを支える」NEC 2030VISIONの実現──その先に、NECグループのPurpose(存在意義)「安全・安心・公平・効率という社会価値を創造し、誰もが人間性を十分に発揮できる持続可能な社会」の実現があります。

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    約7000 種類のタンパク質を一度に測定するSomaLogic社の技術を活用した、日本で初めての検査

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