LPガスの配送業務効率化に向けた国内初の大規模実証を名古屋で開始
2018年5月8日
株式会社ミツウロコクリエイティブソリューションズ
日本電気株式会社
株式会社ミツウロコクリエイティブソリューションズ(注1、以下 ミツウロコCS)、日本電気株式会社(注2、以下 NEC)は、LPガスの配送業務効率化につながるNECの「LPガスメーター指針値提供サービス」を利用した大規模実証を愛知県名古屋市周辺で行います。
「LPガスメーター指針値提供サービス」(以下 本サービス)は、ミツウロコCSの全面的な協力を得てNECが開発し、全国のLPガス事業者・配送事業者向けに今夏から提供するもので、各消費者宅のLPガスメーターに「LPWA対応IoT無線化ユニット」(注3、以下 無線化ユニット)を設置し、通信網に京セラコミュニケーションシステム株式会社(注4、以下 KCCS)が提供するIoT向けのネットワーク「Sigfox」(注5)を主に利用することで、LPガスメーターの指針データを遠隔から網羅的、かつ高頻度、低コストで収集できるサービスです。
今回の名古屋での大規模実証は約12ヶ月間に渡って実施し、数千世帯を対象に行うものとしては国内初であり、指針値取得の自動化、及び、LPガス容器の配送業務効率化と物流コスト削減の具体的な効果を測定する取り組みです。また、双方向通信可能な他のLPWA網を一部で利用し、保安面の強化も併せて効果測定を行います。
ミツウロコCSは、同実証の実施主体として、指針値の日次取得に対応した配送システムの構築、無線化ユニットの設置工事から現場運用支援、指針情報の収集・処理、保安情報の収集・処理までを一元的に行い、エネルギー事業を行うグループ会社である株式会社ミツウロコ、株式会社ミツウロコヴェッセル、ロジトライ株式会社等の協力のもと、配送業務効率化と物流コスト削減の効果測定を実施し、従来方式の配送方法との比較・分析を行うことでノウハウの蓄積を行うとともに、配送業務の更なる高度化と保安面の強化に向けた取組みに着手します。
NECは、本サービスを提供すると同時に、同実証で取得したデータを収集・蓄積し、NECの最先端AI技術群「NEC the WISE」(注6)を活用して、ミツウロコCSの協力を得ながら、LPガスの需要予測や最も効率的な配送ルートの分析・策定につなげます。
背景
これまでLPガス配送事業者は、月に1~2回人手で取得するLPガスメーター指針値や過去のガス消費実績からLPガス容器内のおおよそのガス残量を予測し、LPガス容器の配送計画を立案していました。多くのLPガス配送事業者は消費者宅に2系統(供給側の系統と予備側の系統)設置してあるLPガス容器を交互に交換し、おおよそのガス残量予測による配送で生まれる非効率な部分を許容することでガス切れのリスクを回避していました。
今回の実証は、日次で取得した指針値により、LPガス容器内のガス残量を正確に把握し、配送業務効率化と物流コスト削減の具体効果の測定とエビデンス獲得を目指すものです。
LPガスメーター指針値提供サービスの概要
実証内容について
- LPガス指針データの自動取得とLPガス残量の日次把握
LPガスメーターに設置したNECの「無線化ユニット」によりLPガスの指針データを自動取得します。取得したデータはKCCSの「Sigfox」を介してクラウド(「NEC the WISE IoT Platform」(注7))上に収集・蓄積します。また、双方向通信可能な他のLPWA網を利用し収集するデータも、同様のクラウド上に蓄積します。ミツウロコCSは、遠隔取得したLPガスメーターの指針情報でLPガス消費者のガス消費量を日次で把握・管理し、保安面の要件にも対応します。 - LPガス容器の全量交換を実現
ミツウロコCSは、日次で把握・管理可能となったLPガス残量から、消費者宅へLPガス容器を配送する上で最適な配送計画を構築します。その際、LPガス容器の交換は、各消費者宅に設置してあるLPガス容器内のガス残量が供給側と予備側の両側とも減った段階で全量交換を実施します。(従来は片側ずつ交互に交換)
これにより、配送回数を最大50%近くまで削減し、配送業務の大幅な効率化が期待されます。 - 配送業務効率化と物流コスト削減の効果測定とエビデンス獲得
ミツウロコCSは、本実証にて配送業務効率化と物流コスト削減の具体効果を測定し、そのエビデンスを獲得します。
また配送現場での課題を抽出し、ノウハウとして蓄積することで、他のLPガス事業者に対する本サービスのより効果的な活用方法や、配送業務の効率化・物流コスト削減に向けたコンサルティングサービスにも活用していく予定です。
今後両社は引き続き、本実証で得られたデータの分析と現場ノウハウの活用を進め、配送ルートの自動構築とLPガス配送車両への容器積載指示の自動化による「属人化の排除」にも取り組んでいきます。
これにより、今回実現した「省力化」に加えて、今まで人に依存する要素の強かったLPガス配送業務において、属人化したノウハウの継承を必要としない、常に効率の良いLPガス配送業務を実現し、業界全体の共通課題である「人手不足の解消」と「働き方改革の実現」を目指します。
なお、NECは本サービスを「第7回IoT/M2M展(春)」(会期:5/9(水)~11(金)、会場:東京ビッグサイト(東京都江東区))に出展します。
以上
- (注1)株式会社ミツウロコクリエイティブソリューションズ:
本社:埼玉県さいたま市、代表取締役社長:児島 和洋
*ミツウロコクリエイティブソリューションズは、株式会社ミツウロコグループホールディングス(本社:東京都中央区、代表取締役グループCEO:田島 晃平)の100%子会社です。 - (注2)日本電気株式会社:
本社:東京都港区、代表取締役 執行役員社長 兼 CEO:新野 隆 - (注3)
- LPWA(Low Power Wide Area):
LPWAは少ない消費電力で、km単位の距離で通信できる無線通信技術の総称です。機器のバッテリー消費を抑えながら、データを収拾する基地局まで電波を届けることができるため、特にIoT(Internet of Things)向けに有用な技術であると注目を集めています。 - 「LPWA対応IoT無線化ユニット」:
Sigfox、LoRa/LoRaWAN、LTE Cat.M1等の様々な無線通信規格に対応し、LPガスメーターをはじめ、業務用設備・什器、工作機械など様々な機器に接続可能なインターフェースを搭載、今後ますます増えるIoT化ニーズに対応する無線ユニットです。
- LPWA(Low Power Wide Area):
- (注4)京セラコミュニケーションシステム株式会社:
本社:京都府京都市、代表取締役社長:黒瀬 善仁 - (注5)Sigfox:
SigfoxはフランスのSigfox S.A.が運営するグローバルIoTネットワークです。日本では京セラコミュニケーションシステム株式会社が事業者となり、国内でのサービスを提供しています。ヨーロッパを中心に現在45カ国に展開、2018年までには60カ国でのサービス展開を目指しています。 - (注6)
「NEC the WISE」(エヌイーシー ザ ワイズ)は、NECの最先端AI技術群の名称
です。"The WISE"には「賢者たち」という意味があり、複雑化・高度化する社会課
題に対し、人とAIが協調しながら高度な叡智で解決していくという想いを込めて
います。
プレスリリース「NEC、AI(人工知能)技術ブランド「NEC the WISE」を策定」
http://jpn.nec.com/press/201607/20160719_01.html
NECのAI技術 http://jpn.nec.com/bigdata/ai/ - (注7)NEC the WISE IoT Platform:
NECのIoTシステムを実現する機能群。最先端AI技術「NEC the WISE」を活用するための高効率なデータ収集基盤と、実証から本番まで、素早いシステム構築・移行が可能なビルディングブロック構造を持ち、セキュアで堅牢性の高いシステム構築が可能。
参考URL:http://jpn.nec.com/iot/iotplatform/
本件に関するお客様からのお問い合わせ先
株式会社ミツウロコクリエイティブソリューションズ
遠隔指針情報取得・利用事業推進プロジェクト
E-Mail:mcs_project@mitsuuroko.co.jp
NEC ものづくりソリューション本部
E-Mail:nec_iot@csc.jp.nec.com
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