2017年度(18年3月期)決算概要
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当社は、当年度第1四半期からセグメントを変更しています。2015年度、2016年度の数値についても新たなセグメントに組み替えて表示しています。
Ⅰ 2017年度 決算概要(2017年4月1日から2018年3月31日の1年間)
2017年度の売上収益は、2兆8,444億円と前年度に比べ1,794億円(6.7%)増加しました。これは、パブリック事業が増収となったことなどによるものです。
収益面では、営業利益は、売上収益が増加したことなどにより、前年度に比べ220億円改善し、639億円となりました。
税引前利益は、営業利益が改善したことなどにより、前年度に比べ189億円改善し、869億円となりました。
親会社の所有者に帰属する当期利益(当期利益)は、税引前利益が改善したことなどにより、前年度に比べ186億円改善し、459億円となりました。
セグメント別の前年度比では、売上収益は、消防・防災システムが減少したものの、日本航空電子工業㈱を連結子会社化(2016年度第4四半期から)したことなどによりパブリック事業が1,729億円(22.6%)、海外向けセーフティ事業が増加したことなどによりその他が326億円(19.2%)、それぞれ増加しました。また、エンタープライズ事業は前年並みとなりました。一方、テレコムキャリア事業は海外でTOMS(通信運用管理ソリューション)が伸長したものの、モバイルバックホール(パソリンク)や海洋システムが減少したことに加え、国内の通信事業者の設備投資が低調に推移したことなどにより206億円(3.4%)、システムプラットフォーム事業は保守サービスの減少などにより55億円(0.8%)、それぞれ減少しました。
営業利益は、売上の増加などによりパブリック事業が213億円、その他が81億円、費用の効率化などによりシステムプラットフォーム事業が18億円、それぞれ改善しました。一方、売上の減少に加え、海外での構造改革費用の計上などによりテレコムキャリア事業が160億円、IoT関連の投資費用の増加などによりエンタープライズ事業が40億円、それぞれ悪化しました。
Ⅱ 2018年度 業績予想
2018年度の売上収益は、前年度に比べ0.5%減少の2兆8,300億円、営業利益は139億円悪化の500億円、当期利益は209億円悪化の250億円を計画しています。配当金については、前年度比で当期利益の悪化を見込むことから、遺憾ではございますが20円の減配となる40円の年間配当(中間無配、期末配当40円)を計画しています。
セグメント別の売上収益の予想については、パブリック事業は連結子会社の売上減を見込むものの、2020年のオリンピック・パラリンピックを契機としたビジネス拡大などにより1.2%の増収、エンタープライズ事業は流通・サービス業向けの増加により0.3%の増収、その他は海外セーフティ事業の増加により6.1%の増収を見込んでいます。一方、テレコムキャリア事業は海外ソフトウェアの増加を見込むものの、国内通信事業者において設備投資の抑制傾向が継続することにより2.5%の減収、システムプラットフォーム事業は前年度にあった大型案件の減少などにより3.4%の減収を見込んでいます。
営業利益の予想については、前年度に実施した構造改革の効果などによりパブリック事業が96億円、テレコムキャリア事業が100億円の増益を見込んでいます。一方、エンタープライズ事業がシステム構築サービスは増益を見込むものの、AI・IoT関連の投資費用の増加により37億円、システムプラットフォーム事業が売上減に伴い14億円の減益を見込んでいます。また、その他はスマートエネルギー事業、海外事業の改善に加え、NECエナジーデバイス株式の譲渡などにより269億円の改善を見込んでいます。
≪ご参考≫ 業績予想における特殊要因(前年度比)
Ⅲ 2020中期経営計画の進捗
2018年1月に発表した2020中期経営計画では、「収益構造の改革」、「成長の実現」、「実行力の改革」を経営方針に掲げました。「収益構造の改革」については、3,000人の構造改革、従業員のリソースシフト、オフィスフロアの効率化や生産拠点の再編など、2019年度以降の利益改善に向けて2018年度に取り組む施策の具体化を進めており、400億円の構造改革費用を2018年度の業績予想に織り込んでいます。これらの施策を着実に進めることでSGAを下げ、将来の投資の原資を確保していきます。グローバル競争を勝ち抜くために必要最低限の利益率である5%を2020年度までに達成したいと考えています。
事業構造改革の一環として、2017年度に国内事業は収益体質を維持したものの、海外向け事業で赤字を計上したテレコムキャリア事業について、当社は2018年4月1日付けで組織再編を行いました。国内事業は新組織「ネットワークサービスビジネスユニット」において、テレコムキャリア市場で培ったネットワークの強みをサービスプロバイダや製造業、流通・サービス業、自治体などに幅広く展開することで収益最大化を図るとともに、事業規模に見合ったリソースの最適化を進めていきます。また、海外向け事業は新たな「グローバルビジネスユニット」に集結し、ポートフォリオ見直しや構造改革を進め、早期に収益体質に転換を図るとともに、ソフトウェア領域を中心とした成長の実現に取り組んでいきます。
課題事業への対応については、赤字が継続しているモバイルバックホール事業は早急に黒字化のための施策を実行していきます。また、大型蓄電システムを手がけるNECエナジーソリューションズについては、2016年度、2017年度と赤字を計上してきましたが、市場が英国や米国で立ち上がり、パイプラインも積み上がっていることから、2018年度は大きな増収を見込んでいます。営業損益も、売上増によりほぼブレイクイーブンレベルまで改善させていく計画です。
2020中期経営計画の2つめの経営方針である「成長の実現」に向け、国内では、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会関連とデジタルガバメントの領域での取り組みを進めていきます。オリンピック・パラリンピックに向けたインフラ整備として、生体認証・画像解析や業務用無線など、当社が強みを持つ領域での事業機会獲得に努めるとともに、デジタルガバメントの領域では、当社のマイナンバー関連プロジェクトでの実績・経験を活かし、市場創造と売上・利益の最大化を図っていきます。一方、グローバルでは、これからの事業成長を担える基盤を構築するため、組織変更を実施しました。各セグメントに分散していた海外事業を「グローバルビジネスユニット」に集結し、外部から採用した責任者のもとで、事業責任と権限の一体化、経営スピードの向上や成長事業への集中投資、コスト削減などを実行し、事業成長を実現していきます。
「実行力の改革」の取り組みとしては、当社の事業開発力を強化するため、米国にdotData社を設立しました。これは当社が強みを有するAI技術(予測分析自動化技術)を早期にマネタイズするための施策であり、事業化・収益化のスピードにこだわって取り組みを進めていきます。また、やり抜く組織の実現については、社員の力を最大限に引き出す改革として、「カルチャー変革本部」を新設しました。部門長には社外の人材を採用し、これまでのNECにはなかった視点と手法で、カルチャー変革本部を軸に企業文化の抜本的な変革に取り組んでいきます。
NECは、市場環境・顧客動向が日々変化する中、サステナブルな企業として生き残っていくため、これまでの常識にとらわれずに本当に必要なものを見極め、強いNECを取り戻すための変革に邁進してまいります。
≪ご参考≫ 2020中期経営計画のロードマップ
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