Japan
サイト内の現在位置を表示しています。
音楽の可能性を、事業として磨き上げる
―プロボノとともに進むsoundefineの次のフェーズ

情報や選択肢があふれる現代社会の中で、私たちは日々、さまざまな刺激や期待に囲まれて過ごしています。その一方で、忙しさの中、自分の気持ちや心身の状態に目を向ける時間を持ちにくくなっていると感じることもあるかもしれません。こうした背景のもと、自分自身の内面に静かに寄り添うための手がかりとして、音楽の持つ役割に関心が寄せられています。
東京都中野区を拠点に活動しNECの若手社会起業家育成プログラム「NEC社会起業塾」の2024年度卒塾生である株式会社Estlaughtive(エストラフティヴ)は、音楽への反応を通して「社会や他人にとらわれず、自分を取り戻す」体験を届けるアプリケーション「soundefine(サウンディファイン)」の開発・提供に取り組む団体です。音楽を入り口に、自分自身の感覚に気づき、その人らしく生きられる社会の実現を目指しています。
NECはPurposeとして、「安全・安心・公平・効率という社会価値を創造し、誰もが人間性を十分に発揮できる持続可能な社会の実現」を掲げています。その実践の一つが、社員一人ひとりの専門性を社会課題の現場に届けるプロボノ活動です。
その一環として、NECは2025年3月より、Estlaughtiveへのプロボノ支援を2タームに分け実施してきました。初回の支援では、Estlaughtiveが抱えていた価値の伝え方や、メンタルケアに対する心理的なハードルといった課題に向き合いながら、「soundefine」のコンセプトをもとに、サービスの方向性整理や価値の検証を支援しました。NECグループ社員によるモニター協力やアンケートを通じて、音楽体験とメンタルケアに関する利用者の意識やニーズを丁寧に整理し、Estlaughtiveとともに、誰もが自分らしく心と向き合える体験のかたちを検討しました。
こうした検証を踏まえ、今回のプロボノ支援では、事業の価値をどのように言葉にし、どのような層に、どのようなかたちで届けていくのかといった、次のフェーズに向けた課題に、引き続き伴走しながら向き合いました。
事業の価値を明確にし、次の一歩につなげる
今回のプロボノ支援は、2025年12月から2026年3月までの期間、NECグループ社員7名で取り組みました。Estlaughtive代表の北橋玲実氏を含むメンバー全員が集まる定例会を軸に、進捗を共有しながら方向性を確認し、あわせてテーマごとの支援チームで検討を重ねてきました。支援内容は、大きく二つのテーマから成り、クラウドファンディングに向けた企画支援と、アプリの機能改善に関する支援を行いました。
価値を届けるための企画を描く
一つ目の支援として、soundefineの開発および今後の活動資金の確保に向けて、Estlaughtiveとともにクラウドファンディングの実施を見据えた検討を行いました。
まず、プロジェクトの想いをより適切に届けられる場を探るため、複数のクラウドファンディングプラットフォームを比較。支援の趣旨やプロダクトとの親和性、目標金額の達成しやすさ、運営サポート体制などをEstlaughtiveと共有しながら検討を重ね、今回のプロジェクトに最適なプラットフォームを選定しました。
あわせて、クラウドファンディングにおけるメッセージ設計の土台となるターゲットユーザー像の具体化にも取り組みました。NECグループ社員に協力を募り、計6名へのインタビューを実施。音楽体験をどのように捉えているのか、どのような場面で価値を感じているのかといった声に丁寧に耳を傾けながら、soundefineが届けようとする体験の輪郭を、Estlaughtiveとともに整理していきました。
「自分を取り戻す」体験を形づくる
二つ目の支援であるアプリの機能改善に向けた検討では、まずsoundefineの既存のユーザー体験をあらためて整理するところから始めました。従来の「アプリで音楽を聴く → フィードバックを記入する」という体験の流れを見つめ直す中で、その間に本来大切にしたい「自分自身の感情に気づく」プロセスが、十分に組み込まれていない点に着目しました。
この気づきをもとに、感情を可視化するための新たな機能仮説の検討や、既存機能の見直し案について、Estlaughtiveと対話を重ねながら検討を進めました。soundefineが大切にしている「自分を取り戻す体験」が、より自然に、より実感をもって伝わるアプリの姿を描いていったことが、本検討の中心です。
コンセプトと実際の体験が無理なく結びつく構造を意識しながら議論を重ねた点は、本プロボノ支援ならではの特徴のひとつです。
「一緒に考える」プロボノが生む価値
今回のプロジェクトを通じて、NECプロボノメンバーは、社会起業家が日々向き合っている課題に真摯に寄り添いながら取り組みました。正解のない問いに対して仮説を立て、対話と検証を重ねながら価値を少しずつ形にしていくプロセスは、NECプロボノメンバーに多くの気づきと学びをもたらしました。
Estlaughtiveにとっても、ターゲット層の解像度向上や、拡大するメンタルケア市場の中での立ち位置の整理など、今後の事業展開につながる基盤を整える機会となりました。今後は、今回のインタビュー結果をもとにしたターゲット設定を深めながら、「自分を取り戻す」体験を体現するUIの開発やテストを進めていく予定です。
NECはこれからも、社員の専門性を活かしたプロボノ活動を通じて、社会課題の現場と向き合い続けます。音楽という身近な存在を入り口に、人が自分自身と向き合うための新たな選択肢を広げるsoundefineの取り組みとともに、Purposeの実践としての社会価値創造を積み重ねていきます。
関連リンク
「NEC社会起業塾」は、2002年に、NPO法人ETIC.が主催、NECがオフィシャルパートナーとして協働で始めた、社会課題に取り組む若手社会起業家を育成するプログラム。
NECは2010年に国内企業としては初めてプロボノを開始。
2020年には、NECグループの社員有志による、地域社会やNGO/NPO・教育機関等の課題解決に取り組むプロボノコミュニティ「NECプロボノ倶楽部」が発足。現在、約900名の社員から構成。
株式会社Estlaghtive