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ボランティアで、プロボノで。サステナブルな未来へ。
「NEC田んぼ作りプロジェクト」を舞台に広がる地域貢献の輪

2004年より認定NPO法人アサザ基金さんとともに開始した「NEC田んぼ作りプロジェクト」では、茨城県霞ケ浦近辺の耕作放棄地であった谷津田を再生した田んぼを舞台に、田植えや稲刈りなどの体験イベントを毎年実施。2025年10月に開催された「秋の収穫祭2025」にボランティア参加した社員と、今後NEC田んぼ作りプロジェクトをプロボノで支えていく中核メンバーに話を聞きました。
得意分野を生かして、田んぼ作りやイベントを裏方から支援
──まずは、現場で活躍するお二人にお聞きします。これまでの経歴と現在のお仕事、「NEC田んぼ作りプロジェクト」でのボランティア歴を教えてください。
西山 2023年にNECに入社し、以来ずっと「Express5800」というサーバ製品の販促を担当しています。イベントのボランティア活動には、入社初年度から毎回参加していて、今回で3年目になります。
高橋 私は1994年に日本電気移動通信へ入社し、携帯電話のソフトウェア開発に12年間従事しました。その後一度退職し、2025年9月にNEC通信システムへ再入社したばかりです。田んぼ作りプロジェクトには、社員ではなかった期間も含めておよそ10年間参加しています。また、年間を通して再生活動を行う「達人コース」にも2015年から参画し、田植えや稲刈り以外の整備活動にも関わってきました。

──本プロジェクトに携わるようになったきっかけをお聞かせください。
高橋 2015年、NEC時代の同期に誘われて「新酒蔵出しイベント」に参加したのが始まりです。当時はまだ社外の人間でしたが、「人手は大歓迎」と受け入れていただき、そのままボランティアに入りました。そこから田植えや稲刈りのイベント、経験者がより主体的に再生活動に取り組む「達人コース」にも参加するようになり、気づけば10年続いています。
西山 もともと学生時代に農業ボランティアの経験があり、社内ポータルサイトで「田植えイベント」の募集を見て、ぜひ参加したいと思いました。新入社員での参加者は私1人でしたが、その分みなさんにもすぐ覚えてもらえ、いろいろ教わりながらの楽しいスタートとなりました。

──ボランティア活動の内容をご紹介ください。
西山 開催当日の裏方作業を担当しています。「秋の収穫祭」では、参加者のためのテントの設営や駅までのお迎えに始まり、稲刈り体験中はみなさんを田んぼへ誘導したり、刈った稲を束ねたりと、1日中現場のサポートに徹していました。
高橋 私は「達人コース」を含めると、田植え準備、脱穀、広場整備、水路の設計など、年間6〜8回の活動に参加しています。炊き出しを担当することもありますし、草刈りなどの作業もあります。規模が小さく自由度の高い活動なので、自分の得意分野で動けるのが魅力です。

──ご自身の業務スキルが活動に役立った、あるいはボランティア経験をお仕事に生かせた事例はありますか。
西山 コミュニケーション力が確実に鍛えられましたね。初対面の人が多い現場なので、積極的に声を掛けたり、全体の状況を見ながら臨機応変に動いたりすることが求められ、そこは仕事とも共通するなと感じています。
高橋 プロジェクトマネジメントの経験は、この活動でも生きています。参加者に楽しんで帰ってもらうという目的に向かって、全員で役割を分担して動く点や適材適所で作業を進めるやり方などは、普段の業務に通じるものがありますね。
毎年の稲作りを通じて、気候変動や社会課題を実感
──活動を通じて得られた気づきや発見があれば、お聞かせください。
西山 一番感じるのは「みなさん本当に楽しんでいる」ということです。子どもも大人も夢中で作業していて、その輪のなかに入ると私も自然と笑顔になれます。このように幅広い世代が一緒に作業できる機会は意外と少ないので、とても貴重な場ではないでしょうか。

高橋 この活動を続けるうちに、気候変動を肌で感じるようになりました。たとえば、夏の田んぼは水温が38度にも上昇し、年々稲が育ちにくくなっています。また米不足を解消したくても、種もみの確保が難しいという話も聞きます。そうした大きな社会課題が、この小さな田んぼの現場とつながっていることを強く実感しています。
──本プロジェクトやイベントの開催に、どんな価値を感じていますか。
高橋 本プロジェクトの最終目的は、水源地の保全を通じて、100年後に「トキの自然繁殖」を実現することです。田んぼを作ることで土地の水が浄化され、その水が霞ケ浦に流れ込んで遠隔地の自然を甦らせる──こうした取り組み自体が企業価値に結びつきますし、社外の人の興味を引くきっかけになると思います。
西山 この活動を見れば、「NECって面白い会社なんだな」と思ってもらえるのではないでしょうか。イベントやボランティアに参加することで、いろんな人脈を増やせるのも本プロジェクトの魅力です。仲間づくりという点でも、大きな価値を感じています。

サステナブルな取り組みを目指し、地域主導型プロジェクトへ
今後、NEC田んぼ作りプロジェクトは、「NECプロボノ倶楽部(以下、プロボノ倶楽部)」の支援などを通じて、NEC主導型から地域主導型へ活動の主体が移っていきます。プロジェクトはどのように変わっていくのか、プロボノで支える中核メンバーに話を聞きました。
──池田さんは、日本企業初のプロボノ活動「NEC プロボノイニシアティブ」を立ち上げるなど、NECのプロボノ活動を主導している立場ですね。あらためて「NEC田んぼ作りプロジェクト」の概要をご紹介ください。
池田 本プロジェクトは、霞ケ浦の水源地である耕作放棄地の再生や生物多様性の保全、そしてNECグループ社員とその家族の環境意識の向上を目的に、2004年から認定NPO法人アサザ基金さんとともに取り組んでいる活動です。霞ケ浦近辺の谷津田などをフィールドに、田植えや稲刈り、そして、お酒造りまで、1年を通じて体験する自然体験参加型プログラムを展開。これまでに延べ2万人以上のNECグループ社員とその家族が参加しています。

──参加者からはどのような声が寄せられていますか。
池田 「環境意識が高まった」「生物多様性への理解が深まった」という感想を多くいただいています。また、イベント後も「植えた稲は元気に育っているかな?」と親子で話し合うなど、未来に向けた対話やアクションにもつながっているようです。
──これまでの20年以上の活動実績をお聞かせいただけますか。
池田 霞ケ浦流域の耕作放棄地(4.33ha)を再生することで、生物多様性の指標であるカエルやトンボ、ホタルといった多様な生態系の回復に寄与しています。また本プロジェクトがロールモデルとなり、他企業8社が同様の取り組みを展開。その結果、霞ケ浦流域の耕作放棄地15カ所(25.53ha)の再生に加え、秋田県八郎湖流域での谷津田再生にもつながっています。こうした活動の成果が評価され、2023年度環境省「
モニタリングサイト1000」に認定されたほか、これまでさまざまな賞を環境省や文部科学省から受賞しています。

──プロジェクトは、今後「地域主導型」へ移行すると伺いました。その背景を教えてください。
池田 地域主導型とは、アサザ基金さんをはじめ、たとえば霞ケ浦周辺の自治体、企業、教育機関、住民のみなさんなどが相互に連携し、自立的に取り組みを推進していく姿です。本プロジェクトの持続可能な発展のためには、伴走から自走への移行が必要だと考えています。
──移行はどのように進められるのでしょうか。
池田 アサザ基金さんが自らリードできるよう、田植え・稲刈りなどイベントごとに役割を少しずつ移管し、企画・運営ノウハウの継承を図ります。同時に、地域主導型への移行に向けて必要な、アサザ基金さんの経営課題の解決や経営基盤の強化を、NECの強みである“プロボノ”を最大限生かして支援します。それらを経て、最終的には「NEC田んぼ作りプロジェクト」から「アサザ基金田んぼ作りプロジェクト(仮称)」へと生まれ変わります。

地域の課題解決に向け、アサザ基金をプロボノ倶楽部が伴走支援
──実際に移行支援を行うのが、NECグループのプロボノ倶楽部です。2021年から倶楽部に参加され、さまざまなプロジェクトに携わる上野さんから、今回のプロジェクトリーダーの立場で概要と支援内容を教えていただけますか。
上野 プロボノ倶楽部は、NECグループの有志約800人が参加する社会貢献活動の組織です。部署や職種を越えて集まったメンバーが専門知識や経験を生かし、さまざまな課題解決を支援しています。今回のプロジェクトでは、アサザ基金さんの運営体制を支えるため、まずは“現状の課題の可視化”から着手する予定です。アサザ基金さんは「霞ケ浦を再生する」という100年規模の大きな目標を掲げる一方で、プロジェクトの持続と発展のために必要な人材の確保などの課題も抱えています。そこで、潜在的な課題を俯瞰、整理し、見える化したうえで、短期的に対応できるものと長期的に向き合うべきものを分けながら、改善策を検討していきます。

──支援を進めるなかで、難しかったことはありますか。
上野 最も苦労するのは、「認識の共通化」です。最終的な目標は共有できても、具体的な作業に落とし込むまでには時間もかかります。できること・できないことを限られた期間で整理するのも容易ではありません。そこは対話を重ね、本音や課題を引き出しながら進めています。
──プロボノ活動を通じて得られた気づきや手応えがあれば、教えてください。
上野 NECグループには意識が高く、吸収が早い社員が多いことを実感しています。特に若手の成長には目を見張るものがあります。分野は違っても、それぞれのスキルを掛け合わせることで大きな力になります。本プロジェクトでも、NECの強みをアサザ基金さんや地域の課題解決に生かせると確信しています。
──プロジェクトの展望や、この取り組みに対する想いをお聞かせください。
上野 大きな目標は、アサザ基金さんが地域をリードし、100年後にトキが飛び交う自然を取り戻すことです。もちろん簡単なことではありませんが、今回のプロボノ支援が、日本の農業や自然環境の再生につながるヒントになればと考えています。

まとめ
「NEC田んぼ作りプロジェクト」は、当初の目的であった生物多様性の保全や環境意識の啓発を超え、NECのPurposeである社会価値創造を体現する場へと進化してきました。今後は地域主導型への移行を目指し、新たな価値創出にも挑戦していきます。「霞ケ浦を再生する」という壮大な目標の実現に向けて、アサザ基金さんとともに歩む「田んぼ作りプロジェクト」の今後に、ぜひ注目してください。