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Vol.77 No.1 BluStellar特集 BluStellarが牽引するDXの未来 ~AI・セキュリティ・データマネジメント・モダナイゼーションで拓く価値創造モデル~

Vol.77 No.1(2026年3月)

急速に変化する国際情勢やAI産業革命の進展により、企業を取り巻く環境はかつてないスピードで変容しています。AIの高度化とデータの爆発的増加は、社会・経済活動の在り方を再定義し、企業には柔軟性と迅速な意思決定が求められています。更に、データ主権・セキュリティ・ガバナンスといった課題が顕著化するなか、企業はテクノロジー活用と人材育成を両輪として変革を進める必要性が一層高まっています。

NECは、2018年からのカルチャー・組織・DX改革の集大成として、2024年に価値創造モデル「BluStellar」を発表しました。BluStellarは、ビジネスモデル・テクノロジー・組織/人材を基盤に、AI・セキュリティ・データマネジメント・モダナイゼーションという4つの注力領域を融合。NEC自身の実践知「クライアントゼロ」や先進的なお客様との共創で得た知見を「BluStellar Scenario」として体系化することで、グローバルパートナーとの共創やDX人材育成とあわせて、再現性の高いDXをEnd-to-Endで提供します。 

本特集では、BluStellarの全体像を、4つの注力領域とBluStellar Scenarioを軸に戦略・技術・実践・未来構想の観点から体系的に紹介します。AI最前線、サイバーセキュリティ高度化、データドリブン経営、インテリジェントクラウドなどの主要テーマに加え、実世界エージェントや量子暗号通信といった先端技術、ソートリーダーシップ活動を通じて、未来のDXの方向性を提示します。

  • 所属部門名称など掲載情報は2026年3月時点の内容です。

BluStellar特集

BluStellar特集によせて

執行役 Corporate SEVP 兼 CDO
吉崎 敏文


BluStellarが牽引するDXの未来 〜AI・セキュリティ・データマネジメント・モダナイゼーションで拓く価値創造モデル〜

BluStellar事業推進部門長
吉本 裕

BluStellarによるDX価値創造戦略

BluStellarによるDX価値創造戦略

執行役 Corporate SEVP 兼 CDO
吉崎 敏文

本稿では、2024年5月に発表したお客様を未来へ導く価値創造モデルである「BluStellar」について紹介します。
BluStellarは、お客様の経営アジェンダを起点として、価値創出へ向けた構想から実装までのEnd-to-Endのビジネスモデルによりお客様と社会のデジタルトランスフォーメーション(DX)を成功に導きます。戦略立案力、AI・セキュリティを軸とした技術・ノウハウ、豊富なDX人材及び教育プログラムによる組織・人材を強みとし、事例や実践知の抽出・分析・型化によるBluStellar Scenarioを軸としたビジネスモデルで高速かつ高品質なシステム実装と精度の高い価値創出を実現します。

AI最前線:DX時代の価値創造エンジン

専門業務の高度化と安全・安心なAI活用

酒井 淳嗣・千葉 雄樹

生成AIの進歩により、ビジネスや社会に変革がもたらされていますが、企業は実務でAIを活用する方法やAIがもたらすリスクへの懸念を抱えています。本稿では、コマンドセンター運用やクラフトビール開発など、自律性をもったAgentic AIが業務自動化を進めた事例と、それを支える最新のAI技術を紹介します。更に、安全・安心なAI活用を実現するための国際的な法制度動向と、それに対するリスク管理技術についても解説します。


状況把握・対処自動化による指令台及びコンタクトセンター業務の高度化

シュティラ ティモ・岩井 孝法・森部 正二朗・岡部 浩司・山本 仁・ホン チェチェン

本稿では、公共安全分野の指令台及び企業・団体のコンタクトセンターの業務効率と有効性を向上させる生成AIソリューションを紹介します。本ソリューションは、オペレーター業務従事者のパートナーとして機能します。公共安全分野においては、緊急通報を受けるオペレーター向けに状況評価・ケース分類・記録作成といった重要業務を自動化します。また、指令員には推奨アクションの提示を行います。更に、コンタクトセンターの分野では、オペレーター向けに通話内容のリアルタイム分類、コンプライアンス違反検知、ガイド付きトラブルシューティング支援を提供します。本ソリューションの導入により、人手作業の負荷軽減、ヒューマンエラーの最小化、さまざまなインシデントや顧客対応に対する迅速かつ高精度な応答が可能となり、事業成長と業務成果の向上が期待できます。


ビール職人とAIによる協働 「人生醸造Craft」開発の取り組み

鷲田 梓・志村 典孝・浅見 隆太

NECはAIを人間の協働パートナーとして位置付けています。今回、ビール職人とAIが商品開発プロセスで協働し、クラフトビール「人生醸造Craft」を開発しました。NEC開発の生成AI「cotomi」が日本人の各世代のライフスタイルや価値観を分析し、更にcotomiをベースとしたAgentic AIとビール職人がインタラクティブに対話しながら、各世代をイメージしたレシピ案を検討しました。その結果、商品開発プロセスの作業効率が40%向上し、ビール職人とAIのそれぞれの創造能力を生かすことで、従来では生み出せなかった独創的な商品が誕生しました。本稿ではAIと人間の協働による商品開発の新たな可能性と、その具体的な取り組みについて紹介します。


LLMエクスプレーナーによる生成AI出力結果の検証

シャバス サイード・キャロリン ローレンス・キリル ガシュテオヴスキ・岩井 孝法・伊東 邦大・荒木 俊則

企業における大規模言語モデル(Large Language Model、LLM)の活用を進める動きは、業務効率の向上を目的として加速していますが、一方で、その出力の正確性を検証することは、依然として、大きな課題であり続けています。本稿で紹介するLLMエクスプレーナーは、AIが生成した回答とその根拠となるソース文書を紐付けることで、AI出力への信頼性と透明性の向上を支援するソリューションとなります。これにより、AI出力の迅速かつ効率的な検証が可能となり、特に高リスク領域での活用に有効です。LLMエクスプレーナーは、自動データ生成及び高効率な帰属モデルの訓練によってこの仕組みを実現します。本技術の有効性評価の結果、従来の大規模モデルに比べて計算コストを70分の1に抑えながら、高い精度を達成することが確認されました。本技術は、LLMの利用を潜在的なリスク要因への対応から解放し、ミッションクリティカルなインテリジェントシステムにおける信頼性の強化を通して、戦略的な能力へと転換させるものです。


NEC社内におけるAI活用 〜「クライアントゼロ」戦略で推進するDXとAXの実践

関 徳昭

NECでは、社内DX(デジタルトランスフォーメーション)の加速に向けて「クライアントゼロ」戦略を展開しています。これはNEC自身が最初の顧客としてデジタルソリューションを活用し、実践知を社外に還元する循環型モデルです。2025年度中期経営計画のもと徹底したDXを推進し、データドリブン経営などで一定の成果を上げています。また、2023年の生成AI台頭以降は、AIトランスフォーメーション(AX)を推進し、NEC開発の生成AI「cotomi」やOpenAI、Copilotなどを活用して業務効率化・意思決定支援・ナレッジ活用など多方面で成果を上げています。AI活用に向けたルール整備も進められ、NECグループ全体でのAI利活用基盤が構築されつつあります。これらの取り組みは、NECが自らのDXを実証し、顧客や社会の変革を推進する姿勢の表れです。

AI時代のサイバーセキュリティへのアプローチと生体認証の最新事例

NECにおけるAI×サイバーセキュリティの戦略と取り組み

青木 聡・藤田 範人

NECのサイバーセキュリティサービスにおけるAI活用の戦略及び取り組みについて概説します。質・量ともに高まるサイバー攻撃に対処するためには、システムの企画から実装、運用・保守までセキュリティを考慮する「セキュリティ・バイ・デザイン」の確実な実践が重要です。NECでは、セキュリティ専門家の知見を取り込んだAgentic AIにより、信頼性・効率性の高いセキュリティ対策を実現しています。また、代表的な社内取り組みや、お客様向けサービス化の事例についても紹介します。


生成AIを活用したセキュリティ監査活動の高度化

池松 未帆・富岡 泰河

NECでは、セキュリティガバナンスの強化を目的として、生成AIを活用したセキュリティ監査報告書自動生成ツールを開発しました。本ツールは、監査対象の情報を基に生成AIが推奨対策案の作成や評価を行い、監査業務の効率化と品質向上を実現します。実際の導入では、工数削減や報告書品質の均一化といった効果が得られており、今後は更なる精度向上や他分野への応用が期待されます。本稿では、ツールの概要、得られた導入効果、開発上の工夫について述べます。


サイバーセキュリティダッシュボードによる包括的なセキュリティ経営の実現

木造 正太・湯徳 尊久

NECが全社的に運用するサイバーセキュリティダッシュボードにより、ガバナンス/アカウンタビリティ/アウェアネスといった経営課題をデータドリブンに解決した実践例を紹介します。
本ダッシュボードにより、リスク・脅威・マネジメントの状況を可視化し、KPIに基づくアクションと自動化されたフォローアップにより、対処速度は2倍以上に向上し、ランサムウェア被害リスクは6分の1以下に低減しました。また、第三者評価と投資効果の見える化により、説明の分かりやすさと透明性が向上し、ステークホルダーとの対話にも活用しています。加えて、訓練結果の可視化やセキュリティニュースの掲載で全社員の参加意識を醸成し、社長から一般社員まで共通言語で会話できる基盤を確立しました。これらの取り組みは、日本セキュリティ大賞2024での大賞受賞など、外部からも高い評価を獲得しています。


DID/VCと⽣体認証で実現する本人証明の新潮流

樋口 雄哉・岩堀 耕史・前田 浩志・荒田 有輝

デジタルトランスフォーメーション(DX)やAI技術の進展により、名前や基本属性に加え、資格、経歴、容貌、声、健康状態など、さまざまなアイデンティティ情報のデジタル化が進み、デジタルの利便性をより享受するための素地が整いつつあります。一方で、個人情報を含むデータの管理や運用は、法規制の強化や個人の意識の高まりに伴い、近年ますます複雑かつ高度化しています。事業者だけでなく、自身の情報を提供する利用者にとっても少なからぬ負担となっており、データ利活用が進まない一因となっています。
このような社会背景を踏まえ、本稿では、分散型アイデンティティとデジタル証明書に生体認証技術を組み合わせることで実現する、新たな本人証明の仕組みとその活用方法について紹介します。

データマネジメント&ガバナンス:データドリブン経営への道

NECの考えるデータドリブンによる社会価値創造の未来

出嶋 琢志・川畠 輝聖・山川 聡

デジタルトランスフォーメーション(DX)の進展に伴い、データドリブン経営は企業の成長戦略の立案や実行において重要性を増しています。その実現には、企業の持続的な成長を支えるデータ活用基盤の構築が不可欠です。しかし、その実装検討においては多岐にわたる考慮事項が存在し、検討を容易に始められないこと自体がデータ活用基盤の構築の障壁となっています。本稿ではNECの取り組みとして、データドリブン経営の実現に向けた課題策定から運用支援までの全フェーズを支援する仕組み、とりわけ、その中心となるデータ活用基盤のアーキテクチャ検討支援について紹介します。


企業データのAI-Ready化による実効的なAI・データ利活用の推進 ― NEC データドリブンDXアセット&フレームワークによるアプローチ ―

友永 康之・木下 洋平・幸山 晋也・粥川 隆信

企業競争力を高めるため多くの企業がデジタルトランスフォーメーション(DX)推進を加速しており、そのコア技術としてのAI活用は不可欠です。一方で、AIが本格的に基幹業務に組み込まれビジネス成果に貢献しているケースはまだ限定的です。その要因は、ビジネス成果に直結する「ユースケース」を定義することの難しさ、価値の源泉であるAI-Readyデータの未整備という「データ」の問題、日々“勝ち馬”とみられる技術が入れ替わり、投資対象とする製品技術を決められない「技術選定」の難しさなど複合的です。本稿では、NEC データドリブンDXアセット&フレームワークによる具体的なアプローチの紹介を通じて、企業において実効性のあるAI・データ利活用に向けたヒントを提示します。


地域密着型金融の実現に向けたデータ活用基盤導入事例(株式会社大垣共立銀行様)

山家 里佳・中司 豊

変化の激しいVUCA(Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性))の時代において、データによる予測や分析を基に、高度な意思決定を行う「データドリブン経営」への注目が高まっています。しかし、複数のシステムや媒体にデータが散在している状況では、その価値を十分に引き出すことは困難です。大垣共立銀行様は、地域密着型金融の実現に向けて顧客理解を深めるため、BluStellarが提供するデータ活用基盤を選定・導入しました。導入にあたってはNECとともに検討を重ね、オンプレミスとクラウドを組み合わせたハイブリッド構成を採用し、将来の拡張性にも配慮した柔軟なアーキテクチャを構築しました。本稿では、導入背景、支援内容、成果、今後の展望について紹介します。


NECにおけるデータドリブン経営の取り組み

天野 昌彦・川嶋 葵

NECでは2025中期経営計画として「クライアントゼロ」戦略を遂行しています。その一環として、さまざまなデータを蓄積し、デジタル技術を活用して、ビジネスのあらゆる局面においてデータ主導で意思決定を行う「データドリブン経営」への変革を社内で推進しています。実践を通じて得られた生きたDXナレッジは、お客様や社会への価値提供につなげています。
本稿では、NECの経営コックピットやダッシュボードを基軸としたデータドリブン経営について、その狙いと現状の成果、社内展開の取り組み、そのためのデータマネジメント、更にAIを活用した今後の取り組みについて紹介します。

モダナイゼーション・AIを活用したインテリジェントクラウドの実現

BluStellar Modernizationで実現する顧客価値

児玉 直宏・岩村 久志・寺田 圭・中田 裕子

近年、社会構造やテクノロジーの急速な変化を背景に、企業にはAIの社会浸透や地政学リスクへの対応、カーボンニュートラルの推進など、多面的な課題への対応力が求められています。NECの「BluStellar Modernization」は、AIネイティブ社会を見据えたEnd-to-Endの価値創造型モダナイゼーションを推進する BluStellar Scenarioです。NECのクライアントゼロで実践したAI駆動型の運用管理、セキュリティ対応力に加え、コンサルティングや標準化されたSI(モデル化SI)により、お客様に最適化されたモダナイゼーションを実現します。先進的なITインフラの社会実装を通して、新たな価値創出とサステナブル社会への貢献を目指します。


AI時代の経営を支えるインテリジェントハイブリッドクラウド

高木 健樹・西村 武史・坂井 英二・辻 篤史・小谷 哲郎・笈川 豊英

AIの進展に伴い、企業におけるデータ量の増加や機密情報の管理、ガバナンス強化、各国の法規制対応、コスト最適化の重要性がますます高まっています。こうした背景から、複数のクラウドとオンプレミス環境を組み合わせたハイブリッドクラウドが主流になっています。NECは、AI時代の経営を支える次世代プラットフォームとして、AIによる自律的な運用・最適化によってクラウド環境をシームレスに連携する「インテリジェントハイブリッドクラウド」を提唱しています。実現に向けたキーポイントとして、クラウドオーケストレーション、データマネジメント、統合管理の3つに着目し、NECの具体的な取り組みについて詳述します。


インシデント管理高度化サービスと自律運用に向けたAgentic AIの研究開発

棗田 昌尚・要田 計治・溝口 毅彦・高橋 篤史・米田 匡史・網代 育大

多くの企業が既存ITシステムの運用・保守に多大な労力を要し、経営戦略やビジネスに資するITの活用に手が回らないという課題を抱えています。NECはこの課題に対して、自社での実践で得た知見やこれまでのお客様への構築で蓄積した知見に基づくBluStellar Scenario「ハイブリッドIT環境の運用DXによる業務プロセスの改善」を提供しています。本稿では、その一部としてインシデント管理高度化サービスと、ITシステム運用の省力化・自動化を目指すNECの取り組みである自律運用AIエージェントの研究開発を紹介します。


BluStellar Scenario事例 セブン‐イレブン・ジャパン

前田 泰宏・神谷 晃史・伊藤 善弘・山崎 晋哉・村上 大介・佐藤 義之

本稿では、セブン‐イレブン・ジャパンとNECが共同開発した国内初のフルクラウド型次世代店舗システムの事例を紹介します。従来のオンプレミス型からクラウド型へのアーキテクチャ転換により、アプリケーションのマイクロサービス化や汎用端末の活用などが可能となり、店舗運営の効率化、省力化、そして機能拡張性の向上を実現しました。更に、顔認証とID基盤による認証管理によって安全性と利便性を両立し、EMMによる31万台に及ぶ端末管理も確立しました。加えて、ITSMを活用することでマルチベンダー環境におけるインシデントの一元管理が可能となりました。今後は、AIとSaaSを活用したデータ分析や業務の自動化を推進し、データ駆動型の意思決定による更なる効率化を図る予定です。


官公庁向けBluStellar Scenario事例 ~ガバメントクラウド運用支援サービス~

小松 正人・堀田 佳宏

政府が進める政府情報システムと自治体基幹系システムのガバメントクラウドへの移行にあたり、NECでは、官公庁向けBluStellar Scenarioとして「ガバメントクラウド運用支援サービス」の提供を行っています。
本稿では、この「ガバメントクラウド運用支援サービス」の位置付けや概要、また関連する「パブリッククラウド移行・運用サポート」の概要について説明します。


最新技術によるモダナイゼーション推進とIT運用の次世代モデル

高津 正明・辻川 洋介

本稿は、Google Cloudをはじめとする最新技術を活用した社内システムのモダナイゼーションと、それに伴うIT運用改革の実態について報告します。運用基盤の統一化や業務プロセスの自動化、全社員向けITダッシュボードによる可視化施策により、業務効率向上と課題の早期発見を実現しました。更に、生成AIやAgentic AIの導入が運用自律化とNoOps(No Operations)モデルへの展望を切り拓いています。今後は、これらの取り組みを持続的に発展させるための人材育成やガバナンス強化が重要な課題となります。

「Human AI Collaboration」による共創型の課題解決・価値創出

AI活用による企業活動、企業経営の在り方が変化する時代のコンサルティングビジネス

棈木 琢己

従来の「ヒト」依存及び情報の非対称性に基づくコンサルティングモデルは、環境変化の激化と生成AIの進化により限界を迎えつつあります。今後は、AIと知見を組み合わせた「AIアズアサービス」型の共創モデルへと進化し、顧客と伴走しながら継続的に価値を創出することが求められます。コンサルタントは戦略的・創造的な役割にシフトし、業種固有の知見とデータを活用して、持続可能な競争優位の実現を支援する存在へと変革していく必要があります。本稿では、AI活用が企業活動・経営に与える影響と、コンサルティングビジネスの新たな方向性について考察します。

「クライアントゼロ」戦略による共感創出型DXの実践

NECの「クライアントゼロ」戦略による共感創出型DXの実践

小玉 浩・木村 好孝

NECは2021年より「クライアントゼロ」戦略を推進し、自社を“ゼロ番目の顧客”として位置付けることで、真の顧客価値創出を実現しています。社内DX(デジタルトランスフォーメーション)で直面した5つの壁(経営層の本気度への疑念、部門間の利害対立、現場からの机上の空論批判、グローバルパートナーとの文化的違い、変革疲れ)とその突破方法により、成功だけでなく失敗や挫折といった「生々しい経験」を共有し、お客様との共感を創出しています。これにより従来のSIモデルから伴走型課題解決へとアプローチを転換し、2024年発表のBluStellarの基盤となっています。

【関連論文】

未来のDXを支えるテクノロジー

実世界の機器や人の協調・最適化を実現するNECの実世界エージェント

鈴木 順・太田 大輔・和田 啄茉・一圓 真澄

近年、自動運転や二足歩行ロボットの自律化に向け、物理AIやEmbodied AIに関する技術が注目されています。そのような個別の機器をAIで自動化する技術に加え、今後は複数の機器や人を協調させ、システムとして全体最適を図る技術が重要になってきます。NECではそのような協調を実現する技術として「実世界エージェント」の研究開発を進めています。実世界エージェントでは、生成AIの出力を実世界の運用に現実的に適用できるものにする技術が重要となります。本稿ではNECにおける実世界エージェントの検討と、製造や物流領域における応用例について述べます。


NEC量子暗号技術の最新動向

石井 直人・河原 光貴

本稿ではNECの量子暗号技術の最新動向を紹介します。NECは約20年前からこの分野の研究開発を牽引し、国内で唯一、実用化済みの「BB84」プロトコルとコスト低減が期待できる「CV-QKD」プロトコルの双方に取り組んでいます。近年の成果として、大容量データを低遅延で量子暗号伝送する金融取引実証実験や、世界初となる量子トークン発行の実証成功が挙げられます。これらの進展により、量子暗号は将来のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支える基盤技術として期待されています。安全・安心なデータ流通を可能にする量子暗号技術は、金融や行政など国家基幹分野への適用から始まり、広範な産業領域へ展開しつつあります。本稿では、NEC量子暗号技術の特徴と利点、応用例、直面する課題とその対策、及び、将来展望について述べます。


デバイスの真正性を検証可能とするハードウェアセキュリティ国際標準化技術の活用

小林 宰・永田 篤志・富田 亨・田中 淳太

経済安全保障やサプライチェーンリスクに対応するため、システムへアクセスする元となるデバイスの真正性の保証や検証を可能とするハードウェアセキュリティ国際標準化技術の活用について紹介します。グローバルでは北米が先行し、政策と連動した形で標準化策定が進んでおり、特に重要システム向けに調達するコンピューティングデバイスにおける標準化技術搭載が要件化されつつあります。NECは国際標準化団体TCG(Trusted Computing Group)に参画し、ゼロトラスト実現に向け標準化技術に則ったセキュアサーバやデバイス管理・検証ソフトウェアなどのゼロトラスト商材を開発し、防衛領域から民需への展開を進めています。本稿では市場や標準化動向、NECの取り組みについて紹介します。

未来を創造する「ソートリーダーシップ活動」

未来を創造する「ソートリーダーシップ活動」
世界の知を結集、「共感できる構想」を発信し社会実装へ

国際社会経済研究所(IISE)理事長
藤沢 久美

NECグループは今、「共感できる未来の姿」を構想・発信し、ステークホルダーとともに社会実証・実装を進める「ソートリーダーシップ活動」を推進しています。その牽引役を担うのが、NECグループの独立シンクタンクである国際社会経済研究所(IISE)です。人工知能(AI)技術が社会に深く浸透し、人々がそれを自然に活用する「AIネイティブ社会」の出現が迫るなか、BluStellar戦略とソートリーダーシップ活動により、日本を再び世界で輝く国にしようと動いています。IISE理事長の藤沢久美に、その道筋をお聞きしました。

BluStellarが切り拓く未来とNECのコミットメント

BluStellarが切り拓く未来とNECのコミットメント

木村 哲彦・高木 隆弘・宮木 遥

本稿は、2024年5月に立ち上げたDXビジネスのブランドである「BluStellar」について解説し、その今後の進化と将来展望を記載します。BluStellarは、AI・デジタルトランスフォーメーション(DX)の進展が著しい現代において、NECが長年培ってきた専門知識や、NEC自身が経営・業務の中核に据え変革を実践する「クライアントゼロ」の知見と最先端の技術を統合し、お客様のDXに貢献する「お客さまを未来へ導く、価値創造モデル」です。お客様の経営課題を深く理解し、戦略策定から技術実装、人材育成まで一貫した支援を提供することで、お客様の持続的な成長と社会全体の価値創造に貢献します。

普通論文

ケーブルテレビIP放送のためのローカル5G・ハイブリッドMIMOによる適応型MBS

北野 輝・伊東 浩志・松本 修一

ケーブルテレビにおける集合住宅や辺地共聴世帯の有線設備の代替手段として、ローカル5Gの活用が期待されています。しかし、ケーブルテレビが提供する多チャンネル放送やインターネットサービスに対し、サブ6GHz周波数帯の100MHz幅では回線容量が十分とはいえず、周波数利用の効率性が課題となっています。本稿では、放送の信頼性と通信の効率性を同時に実現するハイブリッド型のMIMO技術を兼ね備えた適応型MBSを紹介します。

NEC Information

2025年度C&C賞表彰式典開催