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BluStellar Modernizationで実現する顧客価値
Vol.77 No.1 BluStellar特集 BluStellarが牽引するDXの未来 ~AI・セキュリティ・データマネジメント・モダナイゼーションで拓く価値創造モデル~近年、社会構造やテクノロジーの急速な変化を背景に、企業にはAIの社会浸透や地政学リスクへの対応、カーボンニュートラルの推進など、多面的な課題への対応力が求められています。NECの「BluStellar Modernization」は、AIネイティブ社会を見据えたEnd-to-Endの価値創造型モダナイゼーションを推進する BluStellar Scenarioです。NECのクライアントゼロで実践したAI駆動型の運用管理、セキュリティ対応力に加え、コンサルティングや標準化されたSI(モデル化SI)により、お客様に最適化されたモダナイゼーションを実現します。先進的なITインフラの社会実装を通して、新たな価値創出とサステナブル社会への貢献を目指します。
1. はじめに
企業活動の基礎となるITインフラは、近年の社会構造の急激な変化やテクノロジーの進化により、かつてない変革を迫られています。AIの社会浸透、地政学リスクの高まり、カーボンニュートラルへの対応、更には労働人口減少など、複合的な課題が企業経営に影響を及ぼすなか、これらの課題に俊敏かつ柔軟に適応し、ビジネス価値へとつなげていく新たなITインフラへのニーズが一層高まっています。
NECの「BluStellar Modernization」は、こうしたAIネイティブ社会に最適化され、新しい価値創出を加速する次世代型ITインフラを実現します。本稿では、日本が直面するIT課題を俯瞰しながら、NECの考えるモダナイゼーションの最前線と、その顧客価値について論じます。
2. モダナイゼーション動向
2.1 日本企業が直面するIT課題
日本の産業界は現在、経済産業省が指摘する「2025年の崖」という抜本的なIT課題に直面しています。これは、老朽化・複雑化したレガシーシステムの維持限界が迫り、刷新や変革が進まなければ組織の競争力低下や経済損失が不可避となる警鐘です。実際に、長年稼働してきた基幹システムでは技術的負債が蓄積し、ブラックボックス化が進行しています。運用保守の属人化や人材の高齢化・後継者不足も深刻化しており、レガシーシステム刷新の取り組みは進みつつあるものの、グローバルと比較すると遅れているのが実状です。2030年に向けて、モダナイゼーションの機運は継続し、企業の競争力確保の中核として定着していくと考えられます。
2.2 社会・テクノロジー変化とAIの台頭
グローバル競争の激化、消費者ニーズの多様化、高度化するサイバー攻撃や災害等のリスクなどにより、バリューチェーンを横断した多様なデータの分析やAI活用を前提とした業務の効率化・自動化、そして、止まることのないレジリエントなITインフラ実現への期待が高まっています。更に近年台頭するAgentic AIのような先進的AI技術が変革をますます加速させています。企業特化型エージェントの進化や複数エージェントの連携により、AIが人間の意思決定を高度に支援・代替することで、企業経営の質を根本から変える可能性が高まっています。
2.3 次世代ITインフラへの期待
こうした背景のもと、図1に示すようにハイブリッドクラウドを進化させた「クロスクラウド」というアーキテクチャーが今後主流になると考えます。

拡大するクロスクラウドは、異なるクラウド間でデータやアプリケーションを連携させ、相互運用性を高めることを可能とするアーキテクチャーです。
このクロスクラウドはAIの活用により、今後、更に発展していくと考えられます。複数のクラウドをシームレスかつ安全に連携することが可能となり、ユーザーは境界を意識することなく最適なサービスが利用可能となります。
先進的な企業はこれらの変革をリスクではなく成長の好機ととらえ、迅速な意思決定や業務変革を実現する先進的なITインフラづくりによって、持続的成長と新たな価値創造の両立に着手し始めています。
3. 「BluStellar Modernization」のビジョン
3.1 コンセプト
NECはBluStellar Scenarioとして、AIネイティブ社会を見据えたEnd-to-Endの価値創造型モダナイゼーション「BluStellar Modernization」を提供します。NEC独自のシステムインテグレーション力や先端AI技術、セキュリティ対応力に加え、コンサルティングや標準化されたSI(モデル化SI)を通じて、お客様ごとに最適化されたモダナイゼーションの実現を支援します。
3.2 特長
このScenarioの特長は、次の3点にあります。
1点目は、NEC印西データセンター(千葉県)を起点としたマルチクラウド接続基盤の提供です。これにより、クラウドとオンプレミスが共存するハイブリッドクラウド環境を最大限に活用できます。各クラウドサービスに閉域接続させるとともに、機密性の高いデータはNEC印西データセンターに配置することが可能です。
2点目は、クライアントゼロで実践したAI駆動型の運用管理技術の採用です。自律性と高度な自動化を備えた次世代型の運用基盤を確立します。
3点目は、標準化・モデル化SIです。クライアントゼロや先進的な企業での実績や知見を反映し、信頼性の高いITインフラをモデル化し提供します。
3.3 注力する取り組み
3.3.1 全体像
これらを実現するために、NECでは「データのシームレス化」「クライアントゼロを活用したNoOps運用」「実績に基づくSIや運用サービスの標準化」に取り組んでいます(図2)。

拡大する図2 「BluStellar Modernization」で注力する取り組み
3.3.2 データのシームレス化
ストレージ仮想統合により、環境依存から脱却し、構造・非構造データの標準化やメタデータの整合を確保することによってデータプラットフォームを整備します。更にNEC印西データセンターを活用し、アクセス管理や情報漏えい・ランサムウェア対策など強固なセキュリティを実装しつつ、ガードレール機能によってガバナンスを実現します。
3.3.3 クライアントゼロを活用したNoOps運用
ITIL(Information Technology Infrastructure Library)を基に、NECの長年のシステム運用で培ったベストプラクティスを反映した運用フレームワークを提供します。更に、クライアントゼロで実践したAI駆動型の運用管理技術を採用し、運用オペレーションをAgentic AIや自動化により代替します。また、サブシステムをモジュラー化し、運用性を向上させながら、各サブモジュールの運用情報を集約・可視化することで、インシデントなどへの即時対応を可能にします。
3.3.4 実績に基づくSIや運用サービスの標準化
クライアントゼロや先進企業での実績を基にテンプレートを整備し、SIや運用サービスを標準化します。従来、お客様ごとに設計していた構築・運用のプロセスを、標準モデルに基づくFitting型のプロセスへと変更することで、高品質かつ効率的なデリバリーを実現します。
また、標準化の範囲も拡張し、NoOps運用に加え、AIOps、SecOps、FinOpsも含めてモデル化し、フルアウトソーシング型サービスとして提供します。
4. 「BluStellar Modernization」で実現する顧客価値
4.1 バリューチェーン横断の価値創出
データのシームレス化が進むことで、業務や部門ごとに最適なITインフラが利用可能となり、バリューチェーン全体でのデータ分析やAIを活用した業務の効率化や高度化が促進されます。これにより外部企業との連携、顧客体験の向上、新規ビジネスの創出などを加速することが可能です。これらを高いセキュリティの元で実現し、企業の価値創出を支えます。
4.2 運用効率と持続可能性の向上
AIネイティブ運用を前提とした高度な自動化やNoOpsの推進によって、企業の運用効率を飛躍的に高めます。システム運用の属人性や手作業の負荷を軽減することで、運用に従事するIT要員をより付加価値の高い業務へシフトすることが可能になります。また、運用の自動化と最適化によってITインフラの稼働率やエネルギーの利用効率も向上し、カーボンニュートラルへの貢献、すなわち持続可能な社会の実現にも寄与します。
4.3 事業環境変化へのスピーディな対応
ITインフラを標準化・モデル化することで、迅速な導入と展開が可能です。標準モデルに基づくFitting型導入プロセスの採用により、事前に変革イメージを共有しながらプロジェクトを推進することが可能となり、検討の手戻りや検討漏れを防ぎます。導入リスクを伴う最新技術もNECがあらかじめ検証した形で提供するため、納期や品質を担保しつつ、革新的なITインフラの早期実現が可能となります。
5. おわりに
「BluStellar Modernization」では、これまで述べた取り組みをベースに、金融機関向けモダナイゼーションプログラムや官公庁向けのクラウドソリューションなど、業種ごとの課題を解決する多様なサービスをラインアップしています。今後は、蓄積した業種のナレッジを基に、経済安全保障や国家安全保障対応業種などへの次世代型ITインフラの拡充を進めていきます。また、ITインフラにとどまらず、アプリケーションや基幹系SaaSへと提供範囲を広げ、マーケットニーズに沿ったBluStellar Scenarioとして展開していきます。
今後もNECは、「BluStellar Modernization」を通じて、お客様やパートナーとともに先進的なITインフラの実装をリードし、バリューチェーンを横断したデータ活用やAI活用による新しい価値創出、そしてサステナブルかつ安全・安心な社会の実現に挑戦し続けます。
商標
- *ITIL(ITIL is a Registered Trade Mark of AXELOS Limited)は、英国及びその他の国における英国政府Office of Government Commerceの登録商標です。
- *その他記述された社名、製品名などは、該当する各社の商標または登録商標です。
執筆者プロフィール
BluStellarシナリオ統括部
シニアディレクター
BluStellarシナリオ統括部
上席プロフェッショナル
BluStellarシナリオ統括部
ディレクター
BluStellar戦略統括部
プロフェッショナル
