総論:BluStellarによるDX価値創造戦略

Vol.77 No.1 BluStellar特集 BluStellarが牽引するDXの未来 ~AI・セキュリティ・データマネジメント・モダナイゼーションで拓く価値創造モデル~

本稿では、2024年5月に発表したお客様を未来へ導く価値創造モデルである「BluStellar」について紹介します。

BluStellarは、お客様の経営アジェンダを起点として、価値創出へ向けた構想から実装までのEnd-to-Endのビジネスモデルによりお客様と社会のデジタルトランスフォーメーション(DX)を成功に導きます。戦略立案力、AI・セキュリティを軸とした技術・ノウハウ、豊富なDX人材及び教育プログラムによる組織・人材を強みとし、事例や実践知の抽出・分析・型化によるBluStellar Scenarioを軸としたビジネスモデルで高速かつ高品質なシステム実装と精度の高い価値創出を実現します。

1. はじめに

昨今、国際情勢の激しい変化のなか、AIの急速な浸透によりテクノロジーの社会への影響度は高まり、人々の働き方や経済活動の在り方を含め、あらゆる領域で変化をもたらしています。先の見えない世界において、変革を先取りし変化し続けることが企業に求められています。

このようななか、NECは先進技術の実装とデジタルトランスフォーメーション(DX)の実践により、自らを変革し続け、お客様と社会の変革をリードする存在となることを目指し、2024年5月に「BluStellar」を発表しました。

本特集では、BluStellarとは何か、競争優位性、今後の進化について説明します。

2. BluStellarとは

BluStellarは「お客様を未来へ導く、価値創造モデル」です。お客様の経営アジェンダを起点として、価値創出へ向けた構想から実装までのEnd-to-Endのビジネスモデルによりお客様と社会のDXを成功に導きます。

2.1 NECのDXの取り組み

2019年、NECは本格的に「ビジネスモデル」「テクノロジー」「組織・人材」の3つの軸で、DX事業に取り組み始めました。

「ビジネスモデル」では、戦略コンサルティングアプローチに関する体制整備と上流からの提案プロセスを強化。「テクノロジー」では、全社の知見を集約し、オファリングの整備と1つのアーキテクチャによるDX基盤共通化、AWS、Microsoft社などとのグローバルアライアンスの推進。「組織・人材」では、全社1万人超のDX人材育成(クラウド系人材、アジャイルエンジニア、データサイエンティストなど)を着実に実施してきています。
 
そして2024年には、この5年間の変革と実績を基にNECの経験を体系化し、日本社会のデジタル化をリードするという想いを込めて、全社の新DXブランディングBluStellarを発表しました(図1)。その後、上流コンサルからシステム構築、組織人材までEnd-to-Endでの価値提供に加えて、価値創造を更に加速させるためBluStellar Scenarioを発展させてきました。

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図1 NECのDXの取り組み

2.2 BluStellarに込めた想い

BluStellarはイタリア語で「夜空で最も明るく輝く星(シリウス)」を意味する言葉であり、社会や人々、そしてお客様が進むべき未来へ導く目印となる、という想いを込めています。NECはお客様の成長をともにドライブしていく「Value Driver」として、日本の競争力を再び強化していきたいと考えています。

2.3 従来ビジネスとの違い

NECはこれまでお客様のご要望を起点にシステムを開発してきました。これからは、従来のカスタマイズされたSIだけでなく、NECが長年培ってきた知見・実績を基に、徹底的に標準化した高品質で拡張性の高い、型化されたサービスを提供します。

従来の業務視点で個別最適化されたシステムではなく、経営視点で全体最適化された最先端のシステムを安心・最速で利用でき、経営課題の解決にいち早くたどり着くことができるのです。

2.4 BluStellarの構成要素

BluStellarは、「プロダクト&サービス」「オファリング」「BluStellar Scenario」という3つの階層で構成されています(図2)。

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図2 BluStellarの構成要素

例えば、顔認証では、「画像認識ソフトウェア」がプロダクト&サービス、「顔認証入退ソリューション」がオファリング、「Digital IDとデータ利活用による新しいワークスタイルの実践」がBluStellar Scenarioとなります。

プロダクト&サービス、オファリング、BluStellar Scenarioの順に、お客様への提供価値はより大きくなります。特に、BluStellar Scenarioは、戦略コンサルティングからサービスデリバリー、運用・保守まで、一貫したサービスを提供する包括的なアプローチであり、オファリングの組み合わせによりそのアプローチを最適化しています。

2.5 BluStellar Scenarioをキーとしたビジネスモデル

BluStellar Scenarioは、最先端技術を活用したお客様との共創事例やNEC自身の実践知「クライアントゼロ」から、その成功・失敗要因を抽出し利用するオファリングの組み合わせやアプローチを最適化して型化しています(図3)。

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図3 BluStellarのビジネスモデル

BluStellar Scenarioの提供価値は、次の3つです。

  • 最先端の自社研究技術の活用による革新性
  • NECとお客様のDXの実践をとおして獲得した成功ノウハウを基にした高品質かつ安全・安心なシステム実装
  • 型化によってお客様の変革をより最速で実現

この迅速かつ高品質なシステム実装を市場に素早く投入し、社内外のフィードバックのループを回すことで、精度の高い価値創出を実現できるのです。

3. BluStellarの競争優位性

BluStellarは、課題抽出、課題解決、そして成果創出までのすべてのフェーズで明確で具体的な競争優位性があります(図4)。

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図4 BluStellarの強み

3.1 経営戦略をデジタル戦略へ落とし込む戦略立案力

課題抽出では、取り組むべき経営課題を特定し、ロードマップを描く戦略立案力が求められます。NECグループでは、国内最大規模である1万人のコンサルタント人材と、AIを駆使したコンサルティングサービスがあり、これは他社にはない強みです。

特に、AIを駆使した革新的なコンサルティングアプローチでは、コンサルティングサービスに革新を起こします。Human AI Collaborationというコンセプトのもと、コンサルタントがNECのAIを駆使し、アイデアから迅速にアウトプットを創出し、実践・実装への道筋を検討します。また、新規ビジネスの創出においてもヒトの創造性をAIによって拡張する取り組みを実施しています。

3.2 システムへの落とし込みを徹底的に実践できる技術・実装ノウハウ

課題解決では、最適解となるシステムに必要な技術と実装ノウハウが重要です。

先進技術のなかでも特に注力しているのが「AI」と「セキュリティ」です。

3.2.1 AIの強み

AIの強みは、NEC開発のAIコア技術「cotomi」を開発した技術力、そして業種・業務に特化した技術開発や業種向けパッケージへの適用と展開を通じて得た豊富な業種・業務への実装ノウハウです。特に業務プロセスへの生成AIの適用は、適用領域を見極め、プロセス全体をAIによって自動化していくことで圧倒的な業務効率化と付加価値の創出を行います。技術と実装ノウハウにより、生成AIの実装から価値創出まで確実なものにします。

AIのガバナンスについても、NECのこれまでのガバナンスに関する知見とCiscoのセキュリティサービスとの連携によるハルシネーション対策など、安全・安心なAIシステムの実装ノウハウもNECならではの特長になります。

3.2.2 セキュリティの強み

NECは、独自開発のAIセキュリティ技術と独自のインテリジェンスを組み合わせることで、サイバー攻撃をいち早く検知し、対策立案などリスクに対する迅速な意思決定を強力に支援、守るだけではなく攻めのアクティブインテリジェンスをコア要素とし、AIを活用しながらデータを的確に分析・アクションへとつなげていきます(図5)。

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図5 安全・安心なDXを支える最先端のAIとセキュリティ

3.3 DXを支える高度な専門人材の育成

NEC社内では、デジタル人材について人材別の定義や教育プログラムを整備・展開し、継続的に人材の定義を見直しながらこれまで1万人以上の高度な専門人材を育成し、お客様のDX実現を伴走しています。

更にNECの人材育成ノウハウが詰まった教育プログラムを、BluStellar Academy として体系化し、既に540社のDX人材不足に悩むお客様に求める人材像に応じたサービス提供を行い、お客様のDXの推進力を支えています。

BluStellarは戦略企画力、技術と実装ノウハウ、組織力・人材力の3つの強みを生かし、お客様のDXをリードしています。

4. BluStellarの進化

今後BluStellarは、BluStellar Scenarioの横の広がりとしての拡充、縦への広がりとしての高度化、この2軸で進化させていきます。

BluStellar Scenarioの拡充については、これまで業種共通/業種別シナリオを合わせて30種を整備しましたが、更に業種シナリオにフォーカスしていきます。また海外グループ会社とのシナジーを起点としたグローバル展開も行っていきます。

BluStellar Scenarioの高度化については、テクノロジー企業としての強みを生かし、Agentic AIによるシナリオの深化で、よりお客様の業務を発展させる取り組みを推進します。

更に、BluStellar Scenarioを支えるコアテクノロジーも強化、これまでに築き上げた優位性に加えて、新たな進化の取り組みによって、NECは更なる事業拡大を目指します(図6)。

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図6 BluStellarの進化を支えるコアテクノロジーロードマップ

BluStellarの価値は、将来の技術の進化を明確に示せることです。現在のAIの進展にフォーカスすると、今の生成AIやAgentic AIの活用によるアクションの変革フェーズから、本格的なAgentic AIの活用により、個社データや特化型Agentによるプロセスの変革フェーズ、更には複数のAgent同士が連携してビジネスを変革していく世の中になっていくと考えられます。

AIでは、進化する技術によって目的や経営に貢献する変革内容が変わります。自社のテクノロジーロードマップを明確にしたうえで、何のために使っていくのかという目的と優先順位を決めることが一番重要です。

このようにテクノロジーの進展を的確にとらえ、今後のビジネス変革に資する研究開発を自ら進めていくとともに、ビジネスとテクノロジーの両面で進化と深化を続けていきたいと考えています。

5. おわりに

BluStellarは、2024年度は、売上高6,240億円、営業利益率13.2%と当初2025年の売上目標を前倒しで達成しました。国内ITサービス事業の3分の1を占めるまでに成長し、2025年度以降も売上比率は高まる見込みです。この成長はお客様の経営課題にフォーカスし、価値創出を迅速化・最大化するBluStellarのアプローチが、市場の潮流とお客様の変革の目的に合致している証と考えています。

NECは価値創造モデル「BluStellar」で、お客様のデジタル変革をこれからもリードしていきます。

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執筆者プロフィール

吉崎 敏文
執行役 副社長 CDO

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