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官公庁向けBluStellar Scenario事例 ~ガバメントクラウド運用支援サービス~
Vol.77 No.1 BluStellar特集 BluStellarが牽引するDXの未来 ~AI・セキュリティ・データマネジメント・モダナイゼーションで拓く価値創造モデル~政府が進める政府情報システムと自治体基幹系システムのガバメントクラウドへの移行にあたり、NECでは、官公庁向けBluStellar Scenarioとして「ガバメントクラウド運用支援サービス」の提供を行っています。
本稿では、この「ガバメントクラウド運用支援サービス」の位置付けや概要、また関連する「パブリッククラウド移行・運用サポート」の概要について説明します。
1. はじめに
官公庁では、2018年6月に発表された「政府情報システムにおけるクラウドサービスの利用に係る基本方針」で策定された「クラウド・バイ・デフォルト原則」に基づき、政府情報システムのクラウドへの移行が進められています。2021年9月のデジタル庁発足に続き、同年10月には「ガバメントクラウド」にAmazon Web Services(AWS)とGoogle Cloud Platform(2021年当時、現在の名称はGoogle Cloud)が採択されました。更に「情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律」(デジタル行政推進法)により、官公庁が保有する政府情報システムのガバメントクラウド移行が義務化されました。
このような官公庁領域の動向を踏まえ、NECのパブリック事業は、お客様に提供するソリューションを進化させてきました。1990年代は、NEC製汎用機であるACOSを中心としたハードウェア提供を行っていました。2010年以降は、オープン系ハードウェアやプログラムプロダクトを利用したシステムインテグレーション(SI)の提供に移行しました。現在では、クラウドを前提としたサービス提供も行っており、テクノロジーの発展や環境変化に応じて、お客様向けのソリューションを進化させています。NECでは、前述した政府情報システムのクラウド移行に併せて、ガバメントクラウドに対応したソリューションを企画、BluStellar Scenarioとしてサービス提供を開始しています。
本稿では、このような政府情報システムを取り巻く環境変化を背景に誕生した官公庁向けBluStellar Scenario事例「ガバメントクラウド運用支援サービス」の概要を紹介します。
2. ガバメントクラウド運用支援サービスの位置付け
図1は、官公庁におけるITインフラの進化を、オンプレミスから政府共通プラットフォーム、更にガバメントクラウドへの移行という観点で整理したものです。

拡大する従来、ハードウェアやミドルウェアでのインフラ構築作業は、システムごとの個別作業であったため、共通サービス化は困難でした。しかし、ガバメントクラウドではAWSなどハイパースケーラーのパブリッククラウドの利用に加え、クラウド環境構築作業での共通的なクラウドサービスの利用を通じて、プログラムによるシステム環境定義・構築方式であるInfrastructure as Code(IaC)を用いた構成テンプレートによる構築が可能になりました。NECは、ガバメントクラウドへの多数の業務システム移行実績を有しており、この移行実績のなかで得たノウハウを基に、共通する作業やIaCによる環境構築などを「ガバメントクラウド運用支援サービス」として体系化しました。このサービスを活用することにより、官公庁向けに「モダン化時代のシステム構築」(ガバメントクラウドのマネージドサービスやその他ツール群を駆使して業務アプリケーション開発を行うシステム構築手法)をスムーズに提供できます。官公庁では、2030年までに1,000を超えるシステムのガバメントクラウド移行が見込まれており、本サービスを有効に活用いただけると考えます。
また図2のように、官公庁のみならず自治体においてもガバメントクラウド移行が進展しています。自治体は「地方公共団体情報システムの標準化に関する法律」に基づき、指定された20業務について、各法制度主管府省が提示する「標準仕様書」に準拠した情報システムへの更改が義務付けられています。この更改に併せて、ガバメントクラウドへの移行の検討を行うことが求められています(努力義務)。一部の自治体では既存データセンターなどを利用する例もありますが、多くの自治体はガバメントクラウドへの移行を予定しています。現在、ガバメントクラウドへの移行を進めている自治体においても、本サービスを活用いただいています。

拡大するガバメントクラウドでは、クラウド移行において、モダン化が強く求められています。他のクラウド移行方式としては、クラウドリフトによるサーバ移行、クラウドシフトによるサービスの活用、または、両者を組み合わせた移行など、複数の選択肢があります。情報システムの特性に応じた最適な移行方式の選択が、今後の情報システム刷新において求められます(表)。ガバメントクラウド運用支援サービスは、クラウドリフト、クラウドシフトいずれの移行にも対応可能です。
表 クラウドリフトとクラウドシフトの比較
3. ガバメントクラウド運用支援サービスの概要
ガバメントクラウド運用支援サービスは、次の3つのサービスを提供します。
3.1 ガバメントクラウドテンプレート適用対応サービス
お客様の「ガバメントクラウドアカウント」初期構築を支援し、ガバメントクラウドで求められる必須テンプレート等の適用を行います。ガバメントクラウドテンプレート構築経験がないプロジェクトでの、テンプレート適用をサポートします。
3.2 NECサンプルテンプレート提供サービス
ソフトウェア開発フレームワークであるAWS Cloud Development Kit(AWS CDK)を用いて作成された豊富なラインアップの「NECサンプルテンプレート」を提供します。お客様の利用ニーズや環境に応じて最適なテンプレートを選択・適用いただけます。例えば、次のようなシーンで利用可能です。
シーン1:ガバメントクラウドにスムーズに移行したい場合
「基本環境構築テンプレート」(図3)を使用することで、基本環境(VPC/AWS Transit Gateway/AWS Network Firewall、など)を迅速に構築できます。

拡大するシーン2:ガバメントクラウド上でコンテナ環境を構築したい場合
ガバメントクラウドでは、サーバを利用しないモダン化したアプリケーションが求められます。サーバレスやコンテナ化されたアプリケーションによるオートスケールによるコストの最適化やシステムの負荷への柔軟な対応など、クラウドのメリットを最大限活用することが推奨されます。このような場合に、図4に示すように「コンテナテンプレート」を活用することで、AWS Fargate/Amazon ECSを利用したサーバレスのコンテナの実行環境を素早く構築できます。

拡大するシーン3:ガバメントソリューションサービス(GSS)に接続をしたい場合
官公庁では、府省間を接続する専用線網が整備されており、GSS G-Net(新府省間ネットワーク)と呼ばれています。ガバメントクラウドは、GSS G-Netへの接続に対応しており、接続時に利用するサービスやナレッジをまとめた「GSS接続テンプレート」を提供しています。他のテンプレートとの組み合わせによる環境展開も可能です。
3.3 ガバメントクラウド運用サービス
NECは、ガバメントクラウド上でのシステム運用ノウハウを活用し、次の運用サービスを提供します。
- アラート受信/選別転送
各種システムからのアラートメールをフィルタリングし、重要情報のみを選別して転送します。 - 自動電話通報
運用パターンや運用カレンダーに基づき、自動電話通報の連絡先や時間帯(平日/休日、日中/夜間)を柔軟に設定します。 - 運用ダッシュボード
運用に必要な情報や運用者とのやり取りを運用ダッシュボード上で一元管理し、作業効率化を支援します。 - ガバメントクラウドに関するアップデートの追随
ガバメントクラウドに関する情報ポータルGCASを定期的に監視し、最新のアップデート情報を確認します。また、ガバメントクラウドの必須適用テンプレートで利用されるAWSサービスのアップデート状況も継続的に追跡します。 - 運用オプション
運用オプションとして、24時間問い合わせ受付や運用手順書に基づくオペレーションなど、お客様の要望に応じた個別対応が可能です。
ガバメントクラウド運用支援サービスは、図5が示すように、お客様から申し込みをいただき、ヒアリングシートに記入いただいた後、最短5日で利用を開始できます。これはBluStellar Scenarioとしてサービスを共通化したことにより実現した特長です。

拡大する4. パブリッククラウド移行・運用サポート
NECでは、ガバメントクラウド以外である一般のパブリッククラウドへの移行についても、同様のサービスを提供しています。
パブリッククラウドは、適切な設定と制御によりセキュリティが担保されます。逆に、不適切な設定・制御はセキュリティリスクを高める要因となります。クラウドは容易に始められるという利点を持つ一方で、セキュリティの確保には高度な専門知識が必要です。そのため、適切なスキル・資格を有する技術者による詳細な確認と、一貫性のある対策が重要となります。NECは、ガバメントクラウドを含む多数の移行実績から培った知見を活用し、セキュリティ面の課題にも対応可能なサービスを提供します。
「パブリッククラウド移行・運用サポート」は、次の3つの特長があります。
- (1)ガバメントクラウド相当のセキュリティガバナンスの提供
構成及びセキュリティ面で、ガバメントクラウドに準拠したセキュリティガバナンスの導入が可能です。ガバメントクラウド相当の管理方式を求める場合や、次期システム更改時にガバメントクラウドへ移行を計画する場合に最適です。 - (2)将来的なガバメントクラウド移行を見据えた基盤構築
モダン化を支援するテンプレートを提供し、現状のコスト削減に加え、次期システム更改でのガバメントクラウド移行を見据えた基盤構築を支援します。 - (3)アプリケーション開発者の負荷軽減
アプリケーション開発者の課題に合わせて最適な「NECサンプルテンプレート」を提供します。
5. むすび
国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、日本では2043年に高齢社会のピークを迎えると予測されています。一方、生産年齢人口(15~64歳)は2040年までに約1,200万人減少すると見込まれています。この減少は行政の担い手である職員の減少にも直結し、官公庁や自治体においては、デジタルを最大限に活用し、少数職員での業務遂行を可能とする環境整備が不可欠です。そのためのデジタル基盤の1つが、ガバメントクラウドです。NECは本稿で紹介したBluStellar Scenario「ガバメントクラウド運用支援サービス」をはじめとするソリューションを通じ、今後も官公庁・自治体のクラウド移行を支援し、持続可能な行政運営と未来の社会価値創造に貢献していきます。
商標
- *Amazon Web Servicesおよびその他のAWS商標は、米国およびその他の諸国におけるAmazon.com,Inc.またはその関連会社の商標です。
- *Google Cloud Platform、Google Cloudは、Google LLCの商標または登録商標です。
- *その他記述された社名、製品名などは、該当する各社の商標または登録商標です。
執筆者プロフィール
官公ソリューション事業部門
部門長
官公インテグレーション統括部
上席プロフェッショナル

