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人権の尊重

取り組み方針

NECは、グローバルにビジネスを展開していく中で、自らの企業活動がステークホルダーの人権に及ぼす負の影響を低減し、その発生を防止する必要があると考えています。また、AI(人工知能)の社会実装や生体情報をはじめとするデータの利活用(以下、AIの利活用)などICTを活用することで、社会に安全・安心・公平・効率という価値も提供できると考えています。

そこで、NEC Wayにおいて、会社として大切にするふるまいPrinciplesで「常にゆるぎないインテグリティと人権の尊重」を約束するとともに、役員から従業員に至るまで一人ひとりのふるまいを規定する「NECグループ行動規範」(Code of Conduct)でも、あらゆる場面において人権を尊重することを明示しています。

さらに、「人権尊重を最優先にしたAI提供と利活用(AIと人権)」をESG視点の経営優先テーマ「マテリアリティ」として特定し、法令遵守のみならず、国や地域、文化によってとらえ方に違いのあるプライバシーや、差別などの人権課題に配慮した製品・サービスを開発・提供することで、社会への負の影響を最小化するだけでなく、その取り組みをとおして社会価値を最大化していくことに努めています。

また、国連の「国際人権章典*1」、国際労働機関(ILO)の「労働における基本的原則および権利に関するILO宣言」、「国連グローバル・コンパクト*2」の10原則を支持し、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則(UNGP)」「持続可能な開発目標(SDGs)」や「EU一般データ保護規則(GDPR)」「現代奴隷法」など、人権に関する国際的な規範・法規の動向を注視しながら、NECグループ内で人権尊重の取り組みを推進しています。該当地域の国内法令が国際的に認められた人権と両立できない場合においては、国際的な人権の原則を尊重できるよう解決を図ります。

人権の尊重を進めるにあたっては、NEC Wayのもと、次の方針を掲げています。またお取引先に対しても、NEC Wayの考え方を共有し、「サプライチェーンにおける責任ある企業行動ガイドライン」で人権を尊重した企業活動を要請しています。

  • *1:
    国連総会で採択された「世界人権宣言」と国際人権規約「経済的、社会的、文化的権利に関する国際規約」および「市民的、政治的権利に関する国際規約」の総称。
  • *2:
    NECは2005年に署名。「国連グローバル・コンパクト」の10原則には、「世界人権宣言」やILOの「労働における基本的原則および権利に関する宣言」など、世界的に確立された合意に基づいて、人権擁護の支持・尊重、強制労働の排除、児童労働の廃止などが盛り込まれている。

NECグループ人権方針

2015年に、ステークホルダーとの対話と協議、人権デュー・ディリジェンス*3の実行により、NECのバリューチェーン全体にわたって人権尊重の取り組みを推進していくことを宣言しました。

子どもの権利の尊重

NECは、国連「児童の権利に関する条約」や「子どもの権利とビジネス原則*4」が示す子どもの権利を支持し、「NECグループ人権方針」や「サプライチェーンにおける責任ある企業行動ガイドライン」において、自社およびサプライチェーン上における児童労働の撤廃に努めるとともに、子どもを含む人権に配慮した事業活動、企業市民活動を推進しています。

  • *3:
    人権デュー・ディリジェンス:企業活動が負の影響を及ぼす人権の識別・評価、特定した人権課題への対応(経営への組み込み)、追跡評価、取り組みの報告、というプロセス。
  • *4:
    2012年、ユニセフが国連グローバル・コンパクト、セーブ・ザ・チルドレンとともに策定。

NECグループ AIと人権に関するポリシー

2019年に、NECがAIの社会実装や生体情報をはじめとするAIの利活用に関する事業を推進する際、企業活動のすべての段階において人権の尊重を常に最優先として念頭に置き、それを⾏動に結びつけるための指針を発表しました。

個人情報保護方針

NECは、日本の「個人情報保護法」および企業などの組織が業務上取り扱う個人情報を安全で適切に管理するための日本産業規格であるJIS Q15001(個人情報保護マネジメントシステム—要求事項)に準拠した個人情報の取り扱いをすることなどを定め、これを実行し、かつ、維持しています。

推進体制

人権啓発推進会議

NECでは、CHRO(チーフヒューマンリソーシズオフィサー)を議長とした人権啓発推進会議とビジネスユニット人権啓発推進会議を1997年に設置し、差別の禁止やハラスメントの防止をはじめとした、人権啓発活動に対する基本的な取り組みの審議・策定、社内研修の推進を図っています。主な国内連結子会社にも同様の体制を設置し、NECグループ全体としての取り組みを推進しています。

人権デュー・ディリジェンスの推進

サステナビリティ推進本部を事務局として、UNGPに則った人権デュー・ディリジェンスを進めています。事務局は、活動目標およびKPIの設定や、進捗管理、透明性のある情報開示などを行い、適時、取締役会に報告しています。

海外現地法人においては、取締役会メンバーに本社の幹部を登用し、海外でも人事・雇用方針が経営に係る重大事項として遵守されていることを確認しています。また、各現地法人の人事責任者から本社人事責任者へのレポートラインにより、方針などの重要事項の伝達を行うとともに、各社における状況の報告を受け、適宜改善を図っています。

例えばNEC Europe社では、EMEA地域の子会社やお取引先の人事労務管理や調達の業務プロセスが国際的な基準に沿っているか、第三者による定期的なモニタリングを行い、その結果を取締役会に報告するとともに、必要に応じた対策を講じています。

また、EMEA地域のグループ会社では、各社の人権に関連する方針に以下の項目が含まれていることを確認しています。

  • 退職、移動、結社の自由
  • 暴力、ハラスメント、脅迫、強制的な残業、児童労働、差別、労働者の身分証明書の原本没収、労働者が就職のための仲介手数料を支払うことの禁止
  • 現代奴隷が発生した場合の公正な救済・補償措置に関する条項

苦情処理メカニズム

当社では、自らの活動による人権への悪影響を低減・防止し、人権尊重への取り組みを強化するために、ステークホルダーからの相談受付窓口を設置しています。

万一、人権侵害があった場合には、迅速かつ真摯な対応・改善ができるよう苦情処理の仕組みを整えています。NECグループの従業員だけでなく非正規社員やお取引先、お客さま、地域住民など広いステークホルダーを対象としています。

人権ホットライン(従業員向け)

当社の事業場・地区ごとに配置されている人事部門と各ビジネスユニットに設けられた従業員(非正規社員などを含む)向けの窓口で、電話、メールいずれの手段でも相談できます。2020年4月より英語での対応も開始し、外国籍の従業員が相談しやすい体制を整備しています。いずれの相談窓口においても相談者のプライバシーを保護し、不利益な扱いを受けることがないよう配慮しています。

また、海外では「コンプライアンス・ホットライン」が窓口となって対応しています。

「人権ホットライン」への相談により人権侵害の発生が確認された場合は、人事部門と関連部門が連携して、その解消・防止を図っています。

2020年10月には、第三者機関を経由した匿名による相談窓口も新たに設置し、声を上げやすい文化の醸成を進めています。

コンプライアンス・ホットライン(お取引先向け)

調達取引先向けには「コンプライアンス・ホットライン」が、人権に関する相談を受け付けています。

カスタマーコミュニケーションセンター
(お客さま・地域住民のみなさま向け)

お客さまや地域住民のみなさま向けには、「NECカスタマーコミュニケーションセンター」が窓口となって、人権に関する相談を受け付けています。

施策と2020年度の主な活動実績

人権影響評価

NECは人権デュー・ディリジェンスの実効性をより高めるべく、人権影響評価の見直しを適宜実施しています。2018年度は、EY新日本有限責任監査法人とともに、UNGPに準拠しながら当社および連結子会社の主要事業を対象とし、定量的な人権影響評価を実施しました。

2019年度には、その評価結果をもとに、国際NPO BSR(Business for Social Responsibility)の人権リスクデータを活用し、NECの人権課題リストをまとめ、その中から特に顕著な人権課題を以下のとおり特定し、2020年度の取締役会で報告しました。

  • 新技術と人権(AIと人権)
  • サプライチェーン上の労働
  • 従業員の安全と健康

さらに2020年度は、BSRが第三者の立場で、事業部門を中心とした22部門に対し、事業活動の具体的な内容や管理体制、現場で直面している課題などを確認し、人権課題リストをより実態に照らした内容に更新しました。

NECの人権課題リスト

  • 横断的な課題:救済へのアクセス、気候変動

  • お客さまと地域コミュニティに関する課題:プライバシーとデータ保護、生命と安全への権利、非差別、移動・言論・表現・集会の自由の権利、子どもの権利、製品の品質と安全

  • サプライチェーンに関する課題:サプライヤーの労働基準、強制労働と現代奴隷、児童労働、紛争地域および高リスク地域からの原材料調達、地政学・紛争・人権ガバナンスに関連するビジネスパートナーのリスク、環境影響、公平なビジネス慣行と腐敗防止

  • 従業員に関する課題:労働環境、健康と安全、非差別と機会均等、プライバシーと情報セキュリティ、ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン

加えて、NECのこれまでの取り組みと今後想定される人権リスクをテーマに社外ステークホルダー(国際NPO、国際機関、法律専門家)と、当社の役員、現場レベルの担当者が対話を行いました。

バリューチェーン全体をとおした人権デュー・ディリジェンスの取り組み

NECは調達活動や製品・サービスの企画段階で人権配慮への対応を確認しているほか、事業担当者向けに人権関連の配慮事項に関するガイドラインを周知するとともに、生体認証・映像分析の専門部門が運営する相談窓口を設置しています。輸出管理においては、取引前に製品・サービスの用途を確認するとともに、国連や各国の制裁リストなどによる需要者の確認をしています。各国の制裁リストには、米国財務省外国資産管理局(OFAC)の制裁リストなど、人権に関わる制裁を受けている団体・個人も含まれています。

また、仮に各国の制裁リストに掲載されている団体・個人が関係する取引の引き合いがあった場合は、当社および海外の各現地法人を含め、直ちに本社の輸出管理本部に相談する仕組みを整えています。

サプライチェーンにおける取り組み

AIと人権の取り組み

個人情報保護とプライバシーの取り組み

現代奴隷法への対応

当社とNEC Europe社は、取締役会の承認のもと、2018年度から、奴隷労働および人身取引防止を目的とした「英国現代奴隷法(The UK Modern Slavery Act 2015)」に関する取り組みを報告する宣言文を公表しています。

また、2020年度、当社とNEC Australia社は、「オーストラリア現代奴隷法(Australia Modern Slavery Act 2018)」に対応する宣言文も、取締役会の承認のもと、公表しています。

役員・従業員向け啓発

NECは、人権尊重の担い手となるすべての役員・従業員に対して、人権尊重の意識の深化、グローバルな人権課題の動向への理解促進を図るため、研修をはじめとした啓発活動を実施しています。2020年度は以下の活動を実施しました。

当社における啓発活動

  • 人権啓発に関する研修
    全従業員を対象に「企業と人権」をテーマに毎年実施。2020年度はこれに加え、6月の「労働施策総合推進法(通称:パワハラ防止法)」改正に伴い、ハラスメントWeb研修を実施。

    人権啓発研修修了者数の推移

    (単位:人)

      2018年度 2019年度 2020年度
    全社研修*5 20,936 21,150 20,592*6
    新入社員研修 441 537 614*7

    対象範囲:日本電気(株)

    • *5
      全従業員を対象としたWeb研修「企業と人権」(受講必須)は原則、毎年実施。本研修は「NECグループ人権方針」の説明も含む。
    • *6
      2019年度は「生体認証事業における人権課題とNECの取り組み」を実施。
    • *7
      2020年度はオンラインで実施。
  • 新任部長向け
    職場でいじめやハラスメントなどがあった際の対応方法について、研修を実施。

  • 採用面接員向け
    公正な採用選考と就職の機会均等維持のために、事例紹介など質問時の留意点を周知徹底。約800人が受講。

  • マネージャー向け
    労務におけるコンプライアンスの観点からハラスメントリスクについて理解を深めるプログラムをWeb研修で実施。

NECグループ会社における啓発活動

  • 当社および国内関係会社の新任執行役員向けに「ハラスメントと人権」をテーマとした研修を実施し、61人が受講。

  • 当社および国内関係会社の人権ホットライン窓口担当者および人事担当者を対象にILOのプログラムオフィサー(渉外・労働基準専門官)田中 竜介氏による「企業と人権最新動向セミナー」を実施。

  • NEC Europe社では、人権に関する取り組みの好事例や活動ノウハウなどを、社内ニュースレターやイントラネットで発信。

イニシアティブへの参画

当社とNEC Europe社は、国連グローバル・コンパクト・ローカルネットワークの人権デュー・ディリジェンス分科会に参画しています。

また、2019年度からはグローバルなICT企業の人権課題対応において豊富な支援実績を持つBSRの会員になり、セミナーや分科会で得た最新の動向・事例をふまえ、グローバルな人権課題への取り組みの改善・強化に活かしています。

苦情申し立て状況

2020年度は、日本語と英語で対応する「人権ホットライン」に対し、ハラスメント(パワハラ14件、セクハラ4件、その他)を含め23件の相談がありました。強制労働や人身売買に関する通報は0件でした。

「コンプライアンス・ホットライン」でも、第三者機関が人権に関する通報を受け付けており、日本語、英語、スペイン語、ポルトガル語、中国語での利用が可能です。

海外でも基本的に日本と同様の仕組みを整備しています。EMEA地域では、すべての子会社で、社内・社外向けに苦情申し立てメカニズムを運用しており、お問い合わせや通報の内容・件数のモニタリングを行っています。サプライヤーからの人権に関する懸念や通報については、社内の通報窓口と社外組織が運営する24時間窓口で対応しています。このように複数の問い合わせルートを設けることで、サプライヤーが取引上の疑問や懸念について連絡しやすい仕組みを整えています。

2020年度、人権に関する通報に対しては、国際基準に基づき適切な対応を行ったあと、第三者による調査も実施したうえで、すべて解決したことを確認しています。