健康経営

ガバナンス

NECでは、社長の指示のもと、CHROがリスク管理を含む全社の健康および安全衛生に関わる活動を統括し、その活動内容を取締役会などで報告しています。健康経営推進チームをエンプロイーリレーション統括部と日本電気健康保険組合(以下、NEC健保)およびNECビジネスインテリジェンス(株)が担い、関係各所と連携しながら推進しています。ウェルネスプロモーションセンターの医療職を各拠点に配置し各地の状況をヒアリングしたり、労働組合とも情報共有の場を持ち、社員の健康や働き方に関して協議を行っています。国内連結子会社にも健康経営を展開し、各社が保持するデータや知見・ノウハウを集積・活用しながら、グループ横断で取り組んでいます。

健康経営推進体制

戦略

NECはPurpose実現に向け、人的資本経営の観点から、ジョブ型人材マネジメントを基盤として、「戦略実行力を高める最適な人材ポートフォリオの実現」と「従業員の力を最大限に引き出すための人・カルチャーの変革」に重点的に取り組んでいます。この根底にあるのが、従業員とその家族の心身の健康であり、一人ひとりが心身のコンディションを整えてこそ、組織としてのパフォーマンスを最大化し、戦略実行力を高めることができると考えています。2019年度に制定した「NECグループ健康宣言」にも、単に病気にならなければよいということではなく、よりよいコンディション(健康状態)を目指して行動し、一人ひとりが心身ともにいきいきと働くことで自己実現を果たし、ひいてはNECグループの社会価値創造につなげたいという思いを込めています。

NECグループ健康宣言

Better Condition, Better Life

一人ひとりのより良い人生、豊かな社会へ

社員とその家族一人ひとりが、自ら心身のコンディションを整え健康を大切にする文化、夢に向かってワクワクとした気持ちで働く環境・状態を創造します。すべての社員の健康や活力を原動力として、豊かな社会の実現に貢献します。

「Better Condition, Better Life」に基づく3つの取り組み方針「Literacy(リテラシー)」「Practice(プラクティス)」「Technology(テクノロジー)」に基づいた健康に対する意識改革・行動変容・定着支援のためのさまざまな健康推進活動を実施しています。こうした取り組みが評価され、経済産業省の認定制度である「健康経営銘柄2022」(2022年)、「健康経営優良法人2025 ホワイト500」(2025年)に認定されています。CHROと協議のうえ「2025中期経営計画」で掲げる「Employer of Choice-選ばれる会社へ」の実現に向けて、社員の健康リテラシーを高め心身のコンディションの良い社員を増やし、会社目標である2025年度エンゲージメントスコア50%の達成を目指します。そのために個人と組織の健康リスク低減と、個人と組織のパフォーマンス向上を進めていきます。

2025 健康経営優良法人のロゴ ホワイト500のロゴ

健康経営戦略マップ

詳細情報はNEC健康白書2024および健康経営関する指標(データ集)をご覧ください。

リスク管理

NECでは、 定期健康診断、 ストレスチェック 、 労働時間のモニタリングなどを実施し、従業員の健康リスクを把握・管理しています 。ハイリスク者に対しては産業医と人事が連携して介入し、疾病予防、重症化予防に取り組んでいます。また事業の持続性・危機管理の観点から、外部パートナー企業にも施策やノウハウの展開を行い、健康経営の普及に努めています。

メンタルヘルス対策

2020年度以降メンタル起因による休職者が増加しており、NECではメンタルヘルスケアを重要テーマとして位置付け、ポピュレーション/ハイリスクアプローチの両面で対応を強化しています。

  • ハイリスクアプローチとして、ストレスチェックで高ストレス判定になった社員への面談勧奨の回数を増やし、面談の実施率を高め、対象者が支援につながるようにしています。高ストレスの背景には働き方や上司との関係が関与するため、リスクが高い組織には医療職や人事が介入し、組織課題解決のサポート体制を整備しています。2025年度は高ストレス者面談の実施率100%、リスクの高い組織への介入率100%を目指し、経営層や管理職も巻き込みながら、心理的安全性の高い組織作りを行っています。
  • ポピュレーションアプローチとして、全社員に研修を実施し、セルフケア、ラインケアの意識向上を図っています。研修の理解度や満足度も確認しながら、社員にとって有意義な内容になるように改善を重ねています。(2024年度セルフケア研修受講率94.9%、理解度98.2%、ラインケア研修受講率92.4%、有意義度95.9%)
イメージ図
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  • その他、認知行動療法に基づいたAIチャットボットツールの提供、各種相談窓口の設置、職場復帰プログラムの作成等を通じ、社員が安心して働ける環境作りを行っています。

データ活用による健康増進

健康データ、エンゲージメント、働き方に関するデータを活用し、効率的な健康経営の促進を行っています。

  • 2024年度にストレスチェックの結果を可視化するダッシュボードを作成し、管理職向けに展開しています。使い方の説明会を実施し、管理職が組織傾向を把握し、改善しやすいよう支援しています。
  • 健診結果データをAIが分析し、将来の健康状態を予測、個人に合わせた具体的な提案を行うことができるシステムを開発し、NECグループ社員約60,000人を対象に展開しています。

若年層向け健康サポート

当社および国内関係会社24社では、セルフケアマインドの醸成を主な目的に、以下に取り組んでいます。

  • 新卒採用者:保健指導や早期介入を目的に保健師・看護師による個別全員面談
  • 新卒採用者:保健指導や早期介入を目的に保健師・看護師による個別全員面談
  • 定期健康診断項目を省略せず、当社および国内関係会社24社の全従業員に血液検査を実施。これにより、入社から退職まで一貫した生活習慣病対策が可能

健康推進に関する教育・啓発

  • NECグループの健康づくりをサポートする取組として、2024年度よりNEC健康ポイントサービスアプリ「WoLN」を導入し、NECグループ社員とその家族に展開しています。アプリ内でウォーキングイベントやダイエットプログラムが実施され、生活習慣改善を促進しています。
  • 社員の健康課題の一つである睡眠改善に役立つ情報をまとめたサイトを作成し、NECグループ会社に展開しています。
  • 医療職による「ウェルコミ健康ニュース」を毎月発信し、見てすぐに実践できる健康知識を季節に応じたトピックも交えながら紹介しています。

女性の健康課題への取り組みとして、婦人科検診の受診ハードルを下げ、身近に感じてもらえるよう「婦人科検診を受けてみた!」を企画し、受診レポートを発行しました。多くの社員が閲覧し、30代の婦人科検診受診率は前年度比10.7%上昇し、女性の健康課題に対する優れた活動として女性の健康アワード2025 推進賞を受賞しました。また、女性の健康や活躍をテーマとしたセミナーを定期開催し、2024年度は延べ1,611人が参加しています。

NEC健康保険組合制度

がん検診サポート

NEC健保は、外部医療機関で同一検査を受診した場合と同様に自己負担なしで、勤務時間内に受診できる環境を整えています。また、がん検診受診率の向上に関するさまざまな施策を実施しています。

オンライン卒煙プログラム

2020年度から2022年度までの3年間、無料で禁煙外来をオンラインで受診できる「オンライン卒煙プログラム」を提供。1,500人が参加し、93%が禁煙治療を終了しています。(対象範囲:日本電気(株)およびNEC健保加入会社)

歯科検診

従業員はNEC健保契約の歯科検診を無料で利用可能。

外部パートナー企業への普及

  • 2024年度にソフトウェアの重要調達取引先を対象に健康経営推進のための講演やオンラインエクササイズのセミナーを実施しました。講演には125社、オンラインエクササイズには14社が参加し、講演の参加者アンケートでは全員から「有意義だった」、91%から「自社でも取り組みたい」という回答を得ています。
  • 2025年度に実施されたパートナー企業向けの交流会では、健康経営の始め方をテーマに施策実施のノウハウ共有とディスカッションを行いました。

指標および目標

中長期目標/重点活動と進捗/成果/課題

中長期目標/重点活動

(対象:特に記載のない場合は日本電気(株)、期間:2021年4月〜2026年3月)

健康データを戦略的に活用し、組織課題の明確化と効果的な施策実施、評価サイクルの構築を行います。会社目標である2025年度エンゲージメントスコア50%の達成を目指し、社員の健康リテラシーを高め心身のコンディションの良い社員を増やしていくとともに、健康リスクの高い個人、組織に対しては適切に介入し、個人と組織の健康リスク低減を進めていきます。

中長期目標/重点活動の図

2024年度の目標と進捗/成果/課題と2025年度の目標

2024年度の目標

  • 健康データを見える化し(ダッシュボードの作成等)、リスクの高い社員や組織に対し適切な介入を行い、個人と組織のリスク低減を図っていきます。
  • クライアントゼロ(NEC自身をゼロ番目のクライアントとして最先端のテクノロジーを実践すること)を通じた健康施策を行い、社員の健康リテラシーを高め、心身のコンディション向上を図っていきます。

進捗/成果/課題

  • 個人と組織のリスク管理として、高ストレス者への対応を強化し、メンタル起因の休職者減少を目指してきました。2024年度は管理職向けにストレスチェック結果を可視化するダッシュボードを開発し(開発費用:約2,750,000円)、管理職の70%が閲覧し組織改善に活用しています。リスクの高い組織については医療職による組織介入を実施し、サーベイによる「上司のサポート」の値は2024年度55ptとなり前年度比で3pt改善しました。2024年度の休職率は1.15%となり前年度比で0.15%悪化となったため、復職支援を兼ねた「心の健康支援プログラム」の見直し等、施策検討を重ね長期的に取り組んでいきます。
  • 自社のソリューションである健康ポイントサービス「WoLN」を導入(対象範囲: 日本電気(株)およびNEC健保加入会社)。半年で5,000人以上が登録し、日々の健康増進に活用しています。その結果、生活習慣の改善に取り組む社員の割合は2022年度が29.3%であったが、2023年度は 30.3%、2024年度は 30.8%と増加傾向にあり、心身のコンディションに関する数値も2023年度が37% 、2024年度は42%と改善しています。心身のコンディションに関する数値はエンゲージメントスコアにも影響があるため、継続的に施策を実施し社員の健康リテラシーを高め、心身のコンディション向上を図っていきます。
図:アウトカム指標zoom拡大する
アウトカム指標
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社員の健康意識、行動変容に関する指標
図:取り組みに関する指標zoom拡大する
取り組みに関する指標

2025年度の目標

  • 健康データを戦略的に活用しながら組織課題の明確化と対策を実施し、社員の健康リテラシーを高め心身のコンディションの良い社員を増やしていきます。そのために個人と組織の健康リスク低減と、個人と組織のパフォーマンス向上を進めていきます。より効率的な施策を目指し評価サイクルを構築します。
  • クライアントゼロ(NEC自身をゼロ番目のクライアントとして最先端のテクノロジーを実践すること)の効果検証、事例化を行います。