労働安全衛生

ガバナンス

NECでは、当社の総務統括部が全社安全衛生活動方針・年度目標・重点施策を策定しています。また、取り組みの推進と目標の達成に向けて、当社の拠点および国内連結子会社ごとに具体的な施策を立案・実施し、内部監査・レビューといったマネジメントシステムを実行しています。加えて、職場の安全衛生確保と快適な職場環境の促進のために、法令に基づいた「安全衛生委員会」を毎月開催しています。同委員会は、組織ごとに選出された安全衛生委員と労働組合の代表や従業員代表者、さらに産業保健スタッフ(産業医・保健師・看護師)で構成されており、労働災害の状況や年度目標の推進状況を共有するとともに、新たな安全衛生対策や健康関連施策などに関して協議しています。

また、NECグループの従業員に関わるハラスメント対策の推進にあたっては、2022年にエンプロイーリレーション統括部内に設置した専門チームが、リスク・コンプライアンス統括部等の組織と連携し、倫理観のある組織文化の醸成に向け、早期発見、早期解決、再発防止施策の展開を図るとともに、問題発生の未然防止に努めています。取り組み状況はCRCOを委員長としたリスク・コンプライアンス委員会において報告、討議しています。

戦略

NECは、Purposeを具現化する基盤として安全かつ、健康に働くことができる環境の確保・維持・改善に取り組むために、「NECグループ安全衛生方針」を定めています。当方針は、労働組合との対話をふまえて策定し、担当執行役であるCHROが承認したものであり、NECグループの役員や従業員のみならず、NECの事業に携わる方々やその他安全配慮を行うべき方々にも適用し、安全に健康に働く文化の醸成に努めています。また、当方針に基づく行動指針では、事業の円滑な運営と従業員の生活の向上に向けた従業員の意向について、会社および従業員が積極的に協議することを定めています。

基本理念

NECグループは、Purposeを具体化する基盤として安全に、健康に働ける「働く環境」の確保・維持・改善に取り組みます。

行動指針

会社は

  • 労働に関係する負傷及び疾病を防止するために、安全で健康的な労働条件・環境を提供します
  • 多様な働く環境に応じて自律的に安全や健康の確保に努めます
  • 労働災害ゼロを目指し、安全衛生目標の設定・危険源の除去やリスクの低減を推進し、NECグループ労働安全衛生マネジメントシステムを継続的に改善します
  • 法規則およびその他取り決め事項を遵守します
  • 安全衛生活動について積極的に協議及び参加します
  • 安全衛生に関する義務を理解し、実践できるように周知徹底を図ります
  • 安全衛生活動に関する情報を積極的に開示します

NECグループで働く私たちは

  • 多様な働く環境に応じて自律的に安全や健康の確保に努めます
  • 法規則およびその他取り決め事項を遵守します
  • 安全衛生活動について積極的に協議及び参加します

さらに、NECの安全衛生活動の品質向上を目的とした「労働安全衛生管理規程」を制定しているほか、「NECグループ労働安全衛生マネジメントシステム」でリスク評価やモニタリング、予防・対策を実施しています。なお、NECグループでは、日電信息系統(中国)有限公司、NEC(UK)、 NEC Australia Pty Ltd、NEC Iberica S.L.、NEC Nederland B.V.、Networks & System Integration Saudi Arabia Co. Ltd.、PT NEC IndonesiaがISO45001認証を取得しています。

加えて、NECでは、2023年に「ハラスメントおよび差別防止規程」を制定し、禁止するハラスメントおよび差別を定義するとともに、違反者に対して厳正に対処する方針を明確化しています。さらに当規程を周知・啓発し、必要な措置・対応を行い、ハラスメントおよび差別の防止に努めています。

建設工事の健全性確保

リスク管理

労働安全衛生リスクの評価・特定

NECでは、毎年、「NECグループ労働安全衛生マネジメントシステム」に基づき、設備等のリスクの評価を行うほか、毎月、産業医と労働組合による職場巡視や職場代表者との意見交換、意見聴取など情報収集を行い、リスクを特定しています。また、大規模災害や感染症のパンデミック対応などの重要事項については、当社社長や取締役など経営幹部が出席する中央事業継続対策本部が毎年重要テーマを定め、対策フローの見直し訓練を実施しています(パンデミック対応については、「リスクマネジメント(危機管理・事業継続)」を参照)。

労働安全衛生におけるリスク管理

当社の総務統括部がNEC全体、地区総務部が地区ごとのリスク管理を統括しています。日常的な対応は総務統括部内の組織である地区総務部が地区センター機能として推進事務局の役割を担っています。具体的には各地区で開催する安全衛生委員会の主催、協議、議事内容の周知、社内窓口として従業員や組織からの問い合わせなど、幅広く対応し、改善につなげています。

海外現地法人とは、災害時の安全確認情報共有に関する情報交換の場を設けています。

労働時間の適正化に向けた取り組み

NECでは、従業員一人ひとりが心身のコンディションを整え、健康でいきいきと働ける職場環境の整備を通じて、チームとしてのパフォーマンスを最大化し、戦略実行力を高めることを目指しています。そのため、恒常的な長時間労働を重要なリスク・テーマと位置付け、労働時間の適正化に向けてリスク管理を統括しています。

  • 「働き方ガイドライン」や、勤務管理・健康管理を適切に行うために会社と従業員それぞれが果たすべき義務やルールを示した「就業ルールブック」の発行およびWeb研修実施等によるワークリテラシーの向上
  • ピープルマネージャーを対象とした労務マネジメント研修
  • PC操作状況の見える化や勤務管理システムとの連携による労働時間の適正把握の推進
  • 時間外・休日労働の注意喚起を促すアラートメールの発信、PCポップアップメッセージの表示
  • 長時間労働の実態が認められる組織・個人に対する高負荷の要因把握・解消に向けた対策実行を行うためのモニタリングプロセスの構築・運用

労働災害の状況と対策

当社および国内連結子会社の従業員における労働災害は、外出・出張中における駅の階段でのつまずきや道路での転倒などが主なものとなっています。労働災害が発生した際は、エスカレーションルールに基づき、労働災害の担当者が被災者に状況を確認して原因を究明し、必要に応じて再発防止策を講じます。さらに、つまずきや転倒などの軽微な労働災害も含め、労働災害の内容や対策を、安全衛生委員会やイントラネットなどで社内に共有しています。自然災害に起因する労働災害に対しては、例えば、台風や大雪などが予想される場合に、従業員に対して自宅待機や早めの帰宅を呼びかけるなど、事故の未然防止に努めています。

2024年度は重篤な労働災害や関係機関からの重大な法令違反などの指摘は受けていません。

度数率および強度率の推移

労働安全衛生に関する研修・啓発

労働安全衛生に関する研修とその修了率は下記のとおりです。

人権に関するリスク管理

ハラスメントリスクの評価・特定および研修・啓発

NECでは、コンプライアンスやビジネスと人権をテーマとした全従業員に実施するWeb研修のアンケートを活用し、職場のハラスメントリスクを確認しています。リスクが高いと懸念される職場については、CHROやCRCOへ報告するとともに、対面での研修を実施するなど再発個別の改善フォローを行っています。

ハラスメントに関する研修は下記のとおりです。

対象 研修名 目的
経営幹部 経営幹部のためのリスク・コンプライアンス研修(講演会) 経営幹部を取り巻くリスクについての常識をアップデート
新任管理職 新任管理職向け労務マネジメント研修(Web研修) ハラスメントに対する管理職の役割と責任、対処方法を正しく理解
管理職以上 労務マネジメント研修(集合研修) 安全配慮義務を正しく理解したうえで、ハラスメントに対する管理職の役割と責任、対処方法を正しく理解

なお、従前より上記取り組みを推進していましたが、2024年度に当社従業員による就職活動中の学生に対する非違行為があったことを受け、CHROがNECグループ従業員へ事案に関するメッセージをメール発信して注意喚起したほか、全従業員を対象とするタウンホールミーティングにて、社長、CHRO、CRCOから、ゼロトレランスの考え方に基づき、NECグループは不正を許さず厳格に断固たる対応する企業姿勢を強く示し、インテグリティ意識の徹底を図りました。

関係会社への人権デューディリジェンスの実施

NECグループでは、国連「ビジネスと人権指導原則」を参照した人権影響評価に基づき「従業員の安全と健康」を顕著な人権課題の一つとし、CHROを責任者として対応しています。また、従業員もバリューチェーンを構成するステークホルダーという認識のもと、国内および海外の孫会社までを対象に、労働慣行と安全衛生の取り組み状況について毎年定期的に書面調査を実施しています。調査項目は、JEITAの責任ある企業行動ガイドラインやResponsible Business Alliance (RBA)行動規範を参照して作成しています。2024年度の調査では、「NECグループ人権方針」が周知されていない会社が8社あったものの、調査対象全社において、児童労働がないこと、18歳以上であることを確認の上採用していること、18歳未満の労働者を採用している場合も虐待や危険業務への従事は行われていないことなど、重大なリスクがないことを確認しています。

  • 書類調査実施会社数:国内48社、海外49社
  • 書類調査を通じた従業員カバレッジ率:約74.9%

「ビジネスと人権」研修の実施

「ビジネスと人権」に関するWeb研修を日本語および英語で実施し、ビジネスと人権への啓発やハラスメントの防止についての啓発に努めています。

2024年度の研修後アンケートでも、「NECグループ人権方針を知っているが、読んだことがない」との回答が35.2%にのぼったことから、2025年度は周知徹底施策を講じる予定です。

対象 研修名 修了率
日本電気(株)および国内連結子会社15社 「ビジネスと人権」Web研修 93.8%

国際人権・労働基準の尊重に向けた企業内専門人材の育成プログラムへの参加

グローバルコンパクトネットワークジャパンとILOが共催したビジネスと人権に関する専門人勢育成プログラムへ当社の担当者が参加しました。

世界的に重要な安全衛生課題への対応

感染症対策

NECおよび国内連結子会社24社では、感染症をはじめとする健康に関する相談窓口をウェルネスプロモーションセンターに設置しているほか、イントラネットで感染症防止について情報提供を行い注意喚起しています。また、季節性インフルエンザをはじめとする各種予防接種に関する費用補助を行い、予防対策を行っています。

海外渡航の際には、結核やマラリアなどの届出が必要となる感染症をはじめ、現地で日常的に見られる感染症について生活上の注意や予防接種の啓発を行っています。また、渡航中および帰国後の健康管理にも注意を払っています。

指標および目標

中長期目標/重点活動と進捗/成果/課題

中長期目標/重点活動

(対象:特に記載のない場合は日本電気(株)、期間:2021年4月〜2026年3月)

  1. 多様化する労働環境における労働安全衛生レベルの維持
中期目標/重点活動

2024年度の目標と進捗/成果/課題と2025年度の目標

2024年度の目標

  1. 多様化する労働環境における労働安全衛生レベルの維持
    • 安全衛生研修修了比率向上(90%以上)
    • ヒヤリハットの応募件数向上(10%上昇)
    • グループグローバルでの安全衛生活動状況のモニタリング(年1回)
    • 時間労働者以外の従業員の残業時間の上限を設定

進捗/成果/課題

  1. 多様化する労働環境における労働安全衛生レベルの維持
    • 安全衛生研修修了比率:88.4%
      過重労働によるリスクや健診結果の活用などをテーマに実施
    • ヒヤリハット応募件数:前年比80%
    • 「ビジネスと人権」研修修了比率:93.8%
    • 「労働慣行」および「安全衛生」についてNECグループ会社へ書面調査を実施:国内48社、海外49社・GCNJとILOが共同企画した「国際人権・労働基準の尊重に向けた企業内専門人材育成プログラム」に参画(2024年10月~2025年2月)
    • 働き方に関する方針を策定し、CHROメッセージを発信。また、Eラーニングを実施し、浸透の徹底を図った。
    • 健康リスクが懸念される長時間労働者についてモニタリングし、長時間労働の解消に向けた改善策を検討しフォローを実施。
進捗/成果/課題の図

2025年度の目標

  1. 多様化する労働環境における労働安全衛生レベルの維持
    • 働き方のルールおよび安全衛生に関する研修理解度(90%以上)
    • NECグループの従業員に対する、労働慣行と安全衛生のセルフアセスメントチェックの継続実施
    • グループグローバルでの安全衛生活動状況のモニタリングの継続(年1回)とフォロー
    • 当社および国内連結子会社の従業員の過重労働対策の強化
    • グループ会社とのコミュニケーション活性化しガバナンスを強化
    • NECグループ労働安全衛生マネジメントシステムの浸透
2025年度の目標の図