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【振休・代休のよくあるお悩みを解決!】社員が辞める前に休日出勤を見直そう

公開日:2025年2月27日(当記事の内容は公開時点のものです)
new window監修:社会保険労務士法人 ヒューマンリソースマネージメント
特定社会保険労務士 馬場栄

適切な休日の取得は、従業員が心身をリフレッシュするために不可欠です。しかし、業務の繁忙により、本来の休みが取れない場合もあります。そんなときに利用されるのが「代休」や「振替休日」です。今回は、これらの概要、両者の違いを解説したうえで、休日出勤を減らすためのアイデアを紹介します。休日出勤の多さは、従業員の離職理由にもなるため、根本的な解決を目指しましょう。

代休と振替休日の相違点総まとめ

「代休」と「振替休日」は、混同されることも多いですが、明確に異なった制度です。両者の違いを解説します。

●要件

振替休日は、法律に明記された制度であるため、1週1日または4週4日の法定休日の要件を満たしたうえで、振替日を事前に特定することが必要です。
他方、代休という制度は、法律上の定めがあるわけではないため、半日出勤時に半日代休を与えるなど、企業独自の運用も認められます。
なお、振替休日も代休も制度として運用する以上は、就業規則に記載することが求められます。

●付与のタイミング

代休と振替休日は、従業員から見れば、どちらも休日出勤の代わりである点で違いはありません。しかし、代休は休日出勤後に取得する一方で、振替休日はあらかじめ休日と出勤日を入れ替える点で異なります。振替休日は事前、代休は事後に付与されることになるわけです。

●割増賃金の支払い

法律上、法定休日(1週1日または4週4日)に出勤した労働に対しては、35%以上の割増率で計算した手当の支払いが必要です。
代休は、休日出勤を行った後に付与されるため、休日出勤を行った事実は消えません。そのため、代休を取得したとしても、割増賃金の支払いが必要となります。
振替休日は、休日と出勤日を事前に入れ替える制度であり、その日については休日出勤とはみなされません。そのため、振替休日に対する割増賃金の支払いは不要です。ただし、週をまたいで振り替えた場合には、週の法定労働時間を超えたり、法定休日が確保できなくなったりするなどの理由から割増賃金の支払いが必要となる場合もあります。

●半日単位の取得

代休は、1日単位のほか、半日単位や時間単位で取得することも可能です。
一方で、法定休日を振り替える場合には1日単位以外での振替休日の取得は認められません。これは、休日は午前0時から午後12時までの暦日単位で与えることが求められているためです。振替休日は休日を事前に振り替える制度であるため、振り替えられた休日も当然に法定休日の要件を満たしていなければなりません。半日や時間単位の取得では法定休日の要件を満たさないわけです。

代休・振替休日でよくあるお悩み

代休や振替休日を運用していると様々な悩みに直面します。代休や振替休日でよくある悩みについて対応策をご紹介します。

●代休や振替休日が溜まってしまう

代休や振替休日は、本来の休日に代わって付与されるものです。しかし、繁忙が続いている場合、振替休日を再度振り替えるような事態も発生します。そのような状態だと代休・振替休日の取得も困難でしょう。いつまでも休日が取れないことがないように業務のスケジュールを管理することが求められます。

●時間外労働の上限を超過してしまう

36協定を締結していても、時間外労働には1か月45時間、年間360時間の上限時間が設けられています。特別条項付き36協定を締結すれば、原則の上限時間を超過した時間外労働も可能ですが、この場合であっても、月100時間や複数月平均80時間などの制限があることに変わりはありません。この100時間や80時間には、休日出勤の時間も含まれるため、振替休日が適切に取得できない場合には、上限を超過してしまうおそれもあります。上限となる時間が近づいた従業員は、休日出勤の対象から外すなどの対策が必要となるでしょう。

●給与算定期間をまたぐことで給与計算が煩雑になる

同一の給与算定期間内に振替休日が取得できないこともあるでしょう。このような場合には、給与算定期間をまたいで振替休日を取得することになるため、給与計算が複雑になってしまいます。休日出勤をした月に、いったん休日出勤に対する割増賃金を含めて支払い、翌月以降に振替休日を取得したらその月の給与から休んだ分の給与を控除する扱いが必要となるため、給与計算誤りのリスクも増えます。従業員の休息という面だけでなく、給与計算の簡便さという面からもできるだけ休日出勤日に接近した日の取得が求められます。

●翌月以降に代休控除を行うと従業員から不満が出る

代休は、休日出勤日が含まれる月に取得せず、翌月以降に取得することも可能です。そのような場合には、翌月以降の給与から代休取得分を控除することになります。代休取得日は、働いていないため、この処理自体はノーワーク・ノーペイの原則に従った問題のない取扱いです。
しかし、固定残業代が支払われている場合には、従業員から不満が出ることも予想されます。固定残業代は、あらかじめ一定時間の時間外労働を行ったものとして、残業代を支払う制度です。そのため、休日出勤分を時間外手当として固定残業代に含めているような場合、固定残業代を超過しなければ、追加支給はないことになります。
他方、翌月以降、代休を取得した場合、その月の給与から代休取得分が控除されることになります。ノーワーク・ノーペイの原則から、代休取得日は無給となるためです。固定残業代の制度設計上、ノーワーク・ノーペイの原則からも問題はないわけですが、従業員が「損をした」と感じることもあるでしょう。
固定残業代を導入している企業においては、休日出勤分については、固定残業代とは別計算、もしくは、代休取得時の給与控除をしない運用をお勧めします。

「休みの日に働く」はどう管理・処理するのがよいか

代休や振替休日の付与があっても、本来働く予定のない日に働く休日出勤を行わせると従業員から不満が出ることが多くなるでしょう。また、代休や振替休日には、前述のような悩みも発生しやすくなります。不満や悩みを減らすための具体的な対策を紹介します。

●すべて代休として処理し一律で割増賃金を支払う

同一週内で振替が行われているなどの条件を満たすと、振替休日をすることで、割増賃金の支払いは不要になります。このこと自体は、法律上問題のないことではありますが、追加の賃金支払いがないとすると、「本来の休日に休めなかった」という従業員の負担に報いているとはいえず、不満が出てしまうことも考えられます。そこで、どのような振替休日に対しても、代休と同様に割増賃金を支払うようにすれば、金銭面での補償が厚くなり、従業員の不満も減らせるでしょう。

●代休控除を行わない

代休控除は、ノーワーク・ノーペイの原則に従っており問題はありません。しかし、休日出勤を行ったにもかかわらず、給与から控除されることに納得のいかない従業員も存在するでしょう。
このような場合に従業員の不満を抑えるためには、代休取得日にも通常の給与を支払う処理が考えられます。人件費という観点からは企業の負担となりますが、不満なく働けることによるエンゲージメントの向上などを考えれば、検討の余地があります。

●休日出勤にメリットを付与する

休日出勤は、割増賃金が支払われるため、金銭面では従業員にメリットがあるともいえます。法定の35%よりも多くの割増賃金を支払えば、より金銭面でのメリットは大きくなるでしょう。
また、休日出勤時には昼食を会社から提供するなど、金銭面以外でのメリットを提供することも考えられます。あるいは、半日の休日出勤に対しても、1日分の代休を付与するなど、休日数の面でメリットを設けることも効果的な施策となるでしょう。

●負担感を減少する

休日出勤は従業員の負担となりますが、その負担感を軽減することは可能です。
たとえば、休日出勤であっても待機に近いような業務であれば、自宅での勤務を認めるような場合です。携帯電話等でいつでも連絡ができることを条件として、待機場所を自由とするような対応も考えられます。
代休や振替休日の付与があっても、休日出勤の負担は大きいため、できる限り負担を減らす措置を取ることが重要となります。

「休みの日に働く」を減らすアイデア

休日出勤は従業員の心身への負担が大きいだけでなく、会社にとっても人件費という形で大きな負担になります。そのため、できる限り休日出勤を減らすことが必要となりますが、どのような方法があるのでしょうか。

●休日出勤を是とする意識の改革

残業や休日出勤を多く行うことを美徳としている会社もいまだに多く存在します。そのような意識の会社であれば、どうしても休日出勤が多くなってしまうでしょう。管理職が率先して定時で退社し、休日出勤を行わないような態度を示せば、自ずと従業員も「休日出勤を行うべきではない」と考えを改めるでしょう。このような意識改革は、休日出勤を減らすために有効です。

●業務量の見直し

突発的なトラブルの対応などを除けば、休日出勤は過剰な業務量から発生します。社内における業務を整理し、無駄な部分を発見するなど、業務の棚卸しを行うことで業務量を適切に調整することが可能です。
適切な業務量へと調整できれば、平日で業務が処理できるようになり、休日出勤を行う必要もなくなるでしょう。顧客対応が必要な業務であれば、「お客様は神様」などとは考えずに、対応する時間を現実的なものへと調整することも効果的です。

●輪番制等の採用

特定の従業員にばかり負担が掛からないように、休日の対応を輪番制としたり、業務をシフト制へ移行させたりすることも効果的な施策となるでしょう。休日出勤は従業員の退職理由ともなるため、全体として減らすことはもちろん、特定の従業員の負担が過剰とならないようにすることが重要です。

さいごに

業務の繁忙等により、休日出勤はどうしても起きてしまうものです。しかし、業務量の見直しや意識改革などによって、休日出勤を減らすことは可能です。当記事の解説を参考に代休や振替休日を有効活用するとともに、休日出勤自体を減らしていきましょう。
休日出勤の削減にお悩みであれば、勤怠管理システムの利用が推奨されます。システムを利用すれば、休日出勤の状況なども一目で把握可能となるため、効果的な削減が可能となるでしょう。

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