Japan
サイト内の現在位置を表示しています。
グローバルでのAIガバナンスの在り方とBluStellarのメッセージ訴求のポイント
NECは、AIの利活用に伴う新たな課題への対応を強化するため、AIガバナンスの遂行責任者がNECグループにおける取り組みを、法制度や人権・プライバシー、倫理に関する専門的な知見を有する外部有識者(議員)に諮問し、議員との対話をとおして取り組みの高度化や改善につなげる機会としてデジタルトラスト諮問会議を開催しています。今回は2024年7月に開催した会議の内容を紹介します。会議では、グローバルでのAI・生体認証ビジネスにおける人権リスクの低減の在り方と、お客様を未来へ導く価値創造モデル「BluStellar(ブルーステラ)」(注1)のグローバルでのメッセージ訴求のポイントについて諮問しました。
①グローバルでのAIガバナンスの在り方
NECはグローバルでAI・生体認証ビジネスを展開しています。AI・生体認証ビジネスは、バリューチェーン全体での人権尊重を第一としたリスク対策が重要視されています。
そこで今回の会議では、グローバルでビジネスを行う際の人権侵害の発生防止や万が一発生した場合の対応策をより強化するために、(1)各国特有のリスクをどこまで予見すべきか、予見可能性を高めるための方策は何かについて、(2)海外子会社との役割分担、連携体制の構築およびコミュニケーションの在り方についてご意見を伺いました。
議員のみなさまからは、主に以下のご意見をいただきました。NECは、いただいたご意見を参考に、現地法人との連携を強化しグローバルでのAIガバナンスの体制を構築・推進していきます。
(1)各国特有のリスクについて
永井氏 大前提として人権視点でリスクを洗い出し、リスクを認識した段階でバリューチェーンに対して影響力を行使することが必要。また、金融、医療、犯罪歴等の個人データを扱うシステムは重大な人権侵害を引き起こす可能性を認識することが必要。加えて、ホットラインの設置や上位層がすぐに対応できるエスカレーションの仕組みを整備することが必要。
板倉氏 データやAI関連の法律だけ見ていても各国固有のリスクは把握できない。その国の法制度や文化全体を理解・把握しながら、幅広なリスクシナリオの検討が必要。
山本氏 特にその国の憲法と法制度の関係を理解することや憲法的な価値観に関係する文化を理解することは重要である。また、AIベンダーの社会的責任はますます重くなっており、特に他国の公共インフラや安全保障に関わる領域への技術提供に対して、海外ベンダーに対する国民の目が厳しいことを考慮した対応が必要。
(2)海外子会社との役割分担・コミュニケーションについて
古谷氏 海外の現地子会社に海外特有のリスクを含め対策を任せるのではなく、本社がそのガバナンスに積極的に関与することが必要。
永井氏 インシデントが発生した際は、海外の現地子会社の実務者から情報収集し、即座に対応することが必要。
板倉氏 インシデント発生時は早期に本社が関わり、迅速に調査・対応を行うことが必要。この対応が欠落した場合、本社の管理・監督責任を問われる可能性があるのでは。
②BluStellarのグローバルでのメッセージ訴求のポイント
NECは今年5月にお客様を未来へ導く価値創造モデル「BluStellar(ブルーステラ)」を発表しました。社会価値創造をリードするValue Driverとして、社会の隅々までデジタルが浸透した世界の実現を目指しています。その際、各国・地域の実情や実態に即した形でNECが創造する“社会価値”を定義したうえで、適切な訴求が重要と考えています。

そこで、今回の会議では、BluStellarのグローバルでのメッセージ訴求にあたり、各国・地域ごとの社会価値の理解の仕方や考慮すべき要素・観点についてご意見を伺いました。
議員のみなさまからは、主に以下のご意見をいただきました。
山本氏 社会価値や社会課題の解決に重きを置くことは日本人にとっては受け入れやすい考え方だが、欧米は“個人の価値”が尊重される。社会の価値を高めていくことと、個人の価値を尊重していくことは矛盾し得るため、“社会価値“を訴求することがグローバルへの発信として有効か議論したほうが良い。例えば、社会全体の安全性よりも、個人一人ひとりの安全を訴求するほうが受け入れられやすい場合もある。
古谷氏 グローバルに事業を展開する際、人権に対する価値観が異なる国では、日本企業が想像できない人権課題を発生させてしまう可能性があり、それらの国でテクノロジーやサービス提供する際は、その国の現状に即してより丁寧に人権に配慮して対応することが必要。
永井氏 カスタマーデューデリジェンスを行い、技術提供や問題発生時の事業継続の判断基準を設定することが必要。
板倉氏 各国・地域の実情や実態に即した形で“社会価値”を創出するために、どのようなソリューションを各国・地域に提供するかというのは相当難しい話である。広く色々な情報を収集し、現地で色々なものを感じて検討していくと良い。
今回は2つのテーマについて、貴重な示唆をいただきました。NECでは今回いただいたご意見を関係部門と共有し、それを参考に、AIガバナンスを強化し、人権尊重を最優先としたAIの利活用の促進に向け取り組んでいきます。
- (注1)「BluStellar(ブルーステラ)」は実績に裏打ちされた業種横断の先進的な知見と長年の開発・運用で研ぎ澄まされたNECの最先端テクノロジーにより、ビジネスモデルの変革を実現し、社会課題とお客様の経営課題を解決に導き、お客様を未来へ導く価値創造モデルです。