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AIマネジメントシステムの運用状況と国際的なAI規制やガイドラインの動向

NECは、AIの利活用に伴う新たな課題への対応を強化するため、AIガバナンスの遂行責任者がNECグループにおける取り組みを、法制度や人権・プライバシー、倫理に関する専門的な知見を有する外部有識者(議員)に諮問し、議員との対話をとおして取り組みの高度化や改善につなげる機会としてデジタルトラスト諮問会議を開催しています。今回は2024年2月に開催した会議の内容を紹介します。会議では、AIマネジメントシステムの運用状況や国際的なAI規制やガイドラインの動向などについて諮問しました。

①AIマネジメントシステムの運用状況

NECは、経済産業省が2021年7月に公表した「AI原則実践のためのガバナンス・ガイドライン」のアジャイル・ガバナンスの考え方に基づいて、社会環境の変化に応じた対応や社内ルール・運用の見直しを柔軟に行っています。また、AI事業を遂行するにあたって基本的人権やプライバシーを適切に保護するための方針、体制、計画、実施、点検および見直しを含む管理システムである「AIマネジメントシステム」の改善を図るために、年に一度、運用状況をAIガバナンス遂行責任者とデジタルトラスト諮問会議議員をはじめとする外部有識者に報告し、フィードバックを取り組みに反映していくことを社内規程として定めています。

アジャイルなAIマネジメントシステム
アジャイルなAIマネジメントシステム

今回の会議では、今年度のAIマネジメントシステムの運用状況について中間報告を行いました。そして、社会環境の変化に応じたNECグループ AIと人権に関するポリシーの実践についてご意見を伺いました。

議員のみなさまからは、主に以下のご意見をいただきました。

  • 生成AIの利活用拡大に伴い、人間の自律的な意思決定も重要な論点となっており、配慮した対応が必要。
  • 新たな人権リスクが生じた際の是正や救済措置の観点からも、より具体的な検討が必要。
  • リスク対応については、ポリシーとの関係性を明確にしながら社外への説明を充実させることが望ましい。
  • 人権リスクの特定については、ライツホルダーの視点を取り入れ、ステークホルダーとの対話を通じて明らかにすることが望ましい。

NECは、いただいたご意見を参考に、新たな人権リスクに対する認識と対応について、ポリシーとの関連性が伝わるように説明していきます。また、ライツホルダーの視点も意識して、リスクの特定や軽減をしていきます。

②国際的なAI規制やガイドラインの動向

欧州のAI法、米国の大統領令、日本の新AI事業者ガイドラインなど、国際的にAIに関する具体的な規制やガイドラインの整備が加速しています。また、生成AIも重要な論点の1つとして議論されています。
このような環境の中で、グローバルに事業を展開し、生成AIの基盤技術を提供するNECとしては、どの国や地域の法規制の動向に注目し、どのような論点により重きを置いた対応が求められるかについて、ご意見を伺いました。

議員のみなさまからは、主に以下のご意見をいただきました。

  • 米国は連邦レベルでのデータ保護法はないが、カリフォルニア州やコロラド州など一部の州ではGDPRのような法律が制定され、影響力もあるため、これらの動向に注目することが望ましい。また、EUとは異なる動きを見せている英国の動向にも注目することが望ましい。
  • 法律は最終的な成果であり、各国に適した対応のためには、文面だけでなく背景にある社会的・文化的な理解も必要。たとえばEUでは意思決定への介入、米国では人種差別や民主主義へのリスクを重視するなど、国や地域により社会的・文化的な背景から重視する価値観が異なるため、提供先に合わせた対応が必要。
  • 日本では重視する価値観が明確にみえないが、自由と安全のバランスなどお客さまへの提供基準を企業が単独で決めるには限界があるため、大枠の部分は国による設定が望ましいものの、日本ではAI依存が重要なリスクに成り得ると考えられるため、サービスを提供する企業に対応が求められる可能性がある。
  • 法律遵守だけではライツホルダーの人権が守られない場合もあり、企業にとってのレピュテーションリスクも残るため、ステークホルダーエンゲージメントも重要。

NECは、いただいたご意見を参考に、今後、法規制の動向を把握する際は、背景となる文化や価値観も考慮して理解を進めていきます。また、技術提供の際は、リスクベースアプローチの考え方に基づいて、提供先であるお客さまの国や地域、業種、業務、用途などに応じて適切に対応していきます。さらに、事業活動やAIガバナンスの取り組みを通じて蓄積した知見を活かして、日本における議論にも積極的に参加していきます。


今回は2つのテーマについて、貴重な示唆をいただき、今後の取り組みに活かしていくことにしました。NECでは今回いただいたご意見を参考に、AIガバナンスを強化し、人権尊重を最優先としたAIの利活用の促進に向け取り組んでまいります。

写真左からNECデジタルトラスト推進統括部 永沼、古谷氏、NEC CDO吉崎、板倉氏、山本氏、永井氏、NECデジタルトラスト推進統括部 島村
写真左からNECデジタルトラスト推進統括部 永沼、古谷氏、NEC CDO吉崎、板倉氏、山本氏、永井氏、NECデジタルトラスト推進統括部 島村
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