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初めて標準バスを採用した「ひさき」
執筆文 松浦晋也
大気のない宇宙空間から金星や火星、木星などを観測することで、地球の歴史を調べる世界初の惑星観測用の宇宙望遠鏡です。
科学観測用の衛星は、要求される性能が特殊なため、そのためだけに作る一品ものであるのが普通です。毎回ゼロから衛星を作っていると、どうしても値段が高くなってしまいます。もっと安くし、同じ金額でも沢山の衛星を打ち上げて様々な目的に使えるようにしたい――そこで「ひさき」では、「標準バス」という考え方で、衛星本体を設計しました。バスというのは、衛星としての基本機能に必要な機器とそれを納めた機体です。電力の供給、地上との通信、衛星姿勢の制御、取得した科学観測データや衛星本体の状態のデータ管理など、衛星の基本的機能を受け持ちます。
「ひさき」で初めて使用された標準バス「SPRINTバス」は、衛星の基本骨格となるバスに、必要な性能を持つ電力や通信などの機器を組み込み、最後に科学観測を行う観測機器と合体させるという考え方で作ってあります。搭載する機器は、SpaceWireという宇宙機専用規格のネットワークで接続され、相互にデータを交換する仕組みです。吊るしの背広のようなお仕着せではなく、セミ・オーダーメイドで柔軟にバス自身の機能をカスタマイズできるのです。
NECは、40数年にわたる衛星システム開発の経験をもとに
科学衛星用標準バスの開発に貢献し、
また「ひさき」の衛星システムの製造・試験等を担当しています。