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矢作建設工業株式会社様![]()


原価管理システムを「建設クラウド」で刷新
業務フローの標準化と原価管理の精度向上を実現
- 業種:
-
- 製造・プロセス
- 業務:
-
- 経営企画
- 経理・財務
- 製品:
-
- その他
- ソリューション・サービス:
-
- 共通業務/ERP
事例の概要
課題背景
- 自社開発の原価管理システムはスタンドアローン型。各現場の個別管理で運用統制が難しい
- 現場からの工事原価の報告は紙ベースで、本社会計システムで二重入力をしていた。このためミスが発生しやすかった
- 原価情報の集約に時間がかかり、経営管理への即応性が不足していた
成果
現場と本社のデータ共有を実現
各情報を即時に共有できるようになったため、原価情報が経営情報として可視化された
収益管理の精度が向上
建設クラウドで原価情報が可視化された上、算出数字の根拠までわかるようになったため、収益管理の精度が向上した
原価管理の工数を3割削減
現場と本社で建設クラウドを利用することで二重入力を解消。さらにワークフローシステム連携を行うことで、従来3日以上かかっていた発注の承認が即日可能になった
導入ソリューション


建設業基幹系のアプリケーション、その稼働を支えるプラットフォーム、運用サービスをワンストップで提供する。柔軟な設定・運用が可能なことも大きな特徴。矢作建設工業では原価管理サービス(実行予算管理、発注管理、出来高管理など)、総合工事管理サービス(工事契約管理、支払管理、JV管理など)を利用し、会計機能は導入済みの会計システムと連携を図った。
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事例の詳細
導入前の背景や課題

経理部
主計課長
篠瀬 博之 氏
自社開発の原価管理システムでは迅速・正確な収益管理が困難
東証1部上場の総合建設会社である矢作建設工業。同社は、東海地方を中心にした建築・土木工事の施工に加え、自社ブランドによる分譲マンションや工業団地の開発など不動産事業も展開しています。近年は物流施設をはじめとした大型物件の提案力強化、BIM/CIMなどのデジタル技術を活用した生産性向上に力を入れています。
デジタル化の取り組みはエンジニアリング分野にとどまりません。バックオフィスを含む社内業務全体もその対象です。その一環として検討したのが、原価管理システムの見直しです。原価管理システムは工事の案件管理や原価計算、請求書発行といった収支管理業務を支える重要システム。基幹系の会計システムは先行してグループ統合化を実現し、デジタル化を推進してきましたが、原価管理システムのデジタル化は手付かずの状態でした。「自社開発した原価管理システムを長年使用してきましたが、ブラックボックス化が進み、業務変革を行おうにも機動的な対応が困難になっていたのです」と同社の篠瀬 博之氏は課題を述べます。

経理部
主計課
係長
水崎 康智 氏
しかもシステムはスタンドアローン型。各現場に設置されたPCで作業を行いますが、個別管理のため、運用の統制が困難でした。現場からの報告も、システムに入力した情報を出力して本社に送るという紙ベース。「現場の情報が本社に届くまでのタイムラグがある上、本社はそれを基幹システムに入力し直さなければならない。手間も時間もかかるし、データの欠落やミスも発生しやすい状態でした」と同社の水崎 康智氏は指摘します。
近年は会計基準の変更に伴い、監査法人による監査もより厳しくなっています。「そもそも現場の正しい情報がないと、収益管理も正確に行えません。現場に負荷をかけずに現場の工事進捗と連動した形で原価管理を行える仕組みを求めていたのです」(篠瀬氏)。
選択のポイント

経理部
主計課
主任
石原 俊 氏
業界の知見に基づく高い業務適用率でカスタマイズの極小化が可能
新たな原価管理システムとして、選定したのがNECの「建設クラウド」です。これは業界を代表する複数の総合建設会社との共創により開発した建設業向けのクラウド型基幹システムサービス。「業界の知見やノウハウをベースにしているだけあって、業務適用率が非常に高い。これを活用することで、業界標準の業務フローへの変革が進むと判断しました。実際、試行環境(プロトタイプ)を作って画面を見ながら業務の適用判定が行えるため、カスタマイズを極力抑えることができました」と篠瀬氏は選定の理由を述べます。
長年にわたり建設業界をサポートしてきたNECの実績も評価しました。「業界への理解が深く、経験も豊富。変革を支援するパートナーとして心強い存在です」(水崎氏)。
同社は経理部主計課と経営企画部情報システム課の計5名による事務局を設置。この事務局が中心となり、建設クラウドの導入を進めました。
建設クラウドはメニュー名称やレイアウト、データ入力の項目名称やレイアウトをきめ細かく各社仕様にチューニングすることが可能です。「項目名称やメニュー名称を従来システムと変えないことでユーザの拒否反応をなくし、違和感なく利用できるようにしました」と同社の石原 俊氏は語ります。
加えて、実行予算書の作成や注文伺発行、現場の現況報告など業務フローごとに1000以上のパラメータがきめ細かに設定されている点も大きなポイントとなりました。パラメータを検討する中で、共同研究された会社の業務フローの考え方が見えて大変参考になったといいます。「かゆいところに手が届くように配慮されていて、どこまでもユーザ目線で設計されている。いってみれば、かなりプロユースの仕様だと感じました」(篠瀬氏)。
一方、帳票については、既存のフォーマットを継承することにしました。フォーマットが既存と大きく異なると影響範囲が大きいからです。「建設クラウドの帳票開発ツールを使うことで、既存の帳票とほぼ同じものを容易に作成できました」と石原氏は評価します。
さらに実際に利用する現場への教育にも注力しました。具体的には全国の拠点で操作説明会を実施。業界標準の業務フローへの変更の必要性を説き、理解を深めました。また音声ファイルを埋め込んだパワーポイント資料を作成することで、新システムに関する説明の効率化と平準化を図りました。「これらユーザ教育の工夫が奏功し、比較的スムーズなシステム導入に結び付けることができました」(石原氏)。
導入後の成果
業務の標準化・電子化が進み、原価管理の作業工数を3割削減
現在、同社では建設クラウドの原価管理領域を使用しています。先行導入した会計システムと連携を図っているため、現場で入力した受注、実行予算、発注、請求登録、原価実績管理、完成工事計上といったデータは適宜、会計システムに反映されます。
建設現場以外でも、購買部門では発注メニュー、現場バックオフィスでは請求書データ登録、経理部では完成工事計上などのメニューを使用しており、建設クラウド内で原価管理に関する一連の業務を完結できます。
これにより、さまざまな成果が上がっています。業務フローの標準化はその1つです。例えば、旧(原価管理)システムでは購買部門と別のシステムとなっていたため、購買発注が承認された後、現場に発注情報を送付していました。これを受けて現場担当者が再度、原価管理システムに購買発注情報の入力を行う、二重入力を行う必要がありました。「現在は購買部門も建設クラウドで発注業務を行えるため、現場は出来高を入力するだけで済みます」と同社の水崎氏は語ります。
経営/業務情報の可視化も可能になりました。建設クラウドの利用機能を各部が一気通貫で使用し、各情報をクラウド上で即時共有できるからです。「結果だけでなく、業務のプロセスまでわかるので、数字の根拠も明確になり、収益管理の精度が向上しています」(篠瀬氏)。
さらにワークフローシステムとの連携により、電子承認も実現しています。発注や原価実績管理業務は、従来の紙面での承認からデータでの承認に替わり、業務スピードが大幅にアップしています。「例えば発注業務では、現場でのデータ入力から承認まで従来は3日以上かかっていましたが、今は即日承認が可能。原価管理に要する工数も体感で3割は削減できています」と話す水崎氏。承認の電子化が進んだことで、コロナ禍による出勤制限中でも業務を継続できたことも大きなメリットです。
「今後は電子請求書など外部システムとの連携強化、原価管理の運用ルールの改善を継続的に進め、原価管理に関する工数の5割削減を目指します。今後はグループ会社への横展開も進めていきます」と篠瀬氏は展望を述べます。
建設クラウドの導入により、原価管理システムを刷新し、業務の標準化・可視化を実現した矢作建設工業。この強みを活かし、今後も業務の効率化と生産性向上に継続的に取り組み、さらなる経営力強化につなげていく考えです。
お客様プロフィール
矢作建設工業株式会社
所在地 | 愛知県名古屋市東区葵三丁目19番7号 |
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創立 | 1949年5月14日 |
資本金 | 68億800万円 |
従業員数 | 1,138名(2020年3月31日現在) |
事業内容 | 工場、倉庫、駅舎、集合住宅などの建築工事、道路、橋りょう、トンネルなどの土木工事の企画・測量・設計・監理・施工およびコンサルティングを幅広く展開する。専門事業領域を有する連結グループ全8社の強みを活かし、多様化する顧客ニーズにトータルソリューションで対応する。建設エンジニアリングによる新しい価値を提供し続けることで、組織の持続的成長と社会課題の解決を目指す。 |
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(2021年3月22日)
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