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インタビュー

社員対談:NEC知的財産職インターンシップの魅力
NECでは、業務内容が見えづらい知的財産職を少しでも理解していただくための取り組みとして、定期的にインターンシップを開催し、参加する学生を積極的に募集しています。
インターンシップには2つの区分があり、一つが主に理系学生を対象にして出願・権利化業務を体験するもので、もう一つが主に文系・文理融合学部の学生を対象にした知的財産法務・渉外業務を体験するものです。それぞれどのようなプログラムが組まれ、学習や就職活動にどのように役立てられるものなのか、インターンシップの担当者2名とインターンシップ体験後にNECへ入社した2名の若手社員に詳しく話を聞きました。
専門性の高い業務を仮想事例のケーススタディで体験
NECの知財業務のインターンシップでは、どのような内容に取り組むのでしょうか?
中野: 私が担当する出願・権利化業務のインターンシップでは、発明の強みを見出して言語化する特許出願業務から、特許出願後に特許庁の審査結果に応答して特許を磨き上げていく権利化業務までを体験していただいています。業務内容を少しでもわかりやすくするために、NECの実際のソリューションを題材にした仮想事例を扱っていることが特徴です。
理系の学生さんが多いため、技術には馴染みがあっても法律には触れたことがないという方がほとんどですから、まずは初日の前半に知的財産や法律の基礎知識について講義を実施しています。なので、あまり法律に詳しくないという方であっても、気軽に受けていただけるようなプログラムになっていると思います。
夏に5日間開催するのが通例ですが、過去には2度ほど冬季にも開催しました。冬季は短期間でのプログラムとなるため、双方を凝縮するようなかたちで実施しています。

知的財産&ルールメイキング部門
知的財産ポートフォリオ構築統括部
プロフェッショナル
中野 慎太郎
2008年4月にNECへ入社。学生時代には情報工学を専攻していたこともあり、入社以降は通信領域の出願・権利化業務、特許ポートフォリオ構築に従事。2010年、グループ会社である日本電気特許技術情報センターへ出向し、同様の業務を続ける。2012年4月、NECに復帰。2021年より現職。一貫して通信領域の知的財産の戦略立案、出願業務に取り組んでいる。
吉井: 私は修士1年のときに夏季のプログラムに参加しましたが、個人での検討時間が確保されていたことが、入社後の業務を疑似体験しているようでとても良かったと感じています。講義やグループワークばかりのインターンシップとは一味違ったリアルさがあって、実際の業務を実感できました。
中野: そうですね。個人で検討いただいたあとに仲間たちと議論して、その後にメンターからのフィードバックをするという流れを繰り返すことで、自分の考えをブラッシュアップしていくことは考えて設計しています。
大前: 私が担当する知的財産法務・渉外業務のインターンシップは、法律系学部を中心とした文系の学生さんが多く参加していますが、知的財産に興味がある方ならどなたでも大歓迎です。具体的な仮想事例を用いて、皆さんが実際に業務を体験できるようなプログラムを用意しています。「一般的な法務部とは何が違うの?」「出願や権利化業務とどう関わるの?」といった知的財産の業務に関する疑問も、このインターンシップを通じてきっと解消できるはずです。

知的財産&ルールメイキング部門
知的財産ポートフォリオ構築統括部
吉井 智夏
学生時代は化学を専攻。1つの研究テーマを深く掘り下げるだけでなく、広い視野を持って最新の技術トレンドを俯瞰できる仕事をしたいという思いから知的財産業務に興味を持ち、修士1年の夏にNECのインターンシップに参加。2023年4月にNECへ入社後は、権利化やポートフォリオ構築に従事。自社の事業の方向性にも影響を及ぼし得るダイナミズムに魅力を感じながら、業務に取り組んでいる。
上原: 私は学部3年の夏にインターンシップに参加しました。プログラムでは、知的財産に関する企業間の問題を解決したり、知財を売却したりする際の相手方との交渉に関する実習や、実在する知財関連契約の読み込み、さらには訴訟に関する講義を体験しました。私は大学では法律学科に所属していたのですが、授業やゼミでは見えてこなかった企業の知的財産法務・渉外業務をリアルに体験できたことが良かったです。
大前: 上原さんの言うように、大学ではあまり触れられない領域なのかと思います。さらに渉外業務には知的財産で収入を得るというようなアグレッシブな側面があるのですが、ここは企業ごとに特有な部分があるので、なかなか大学の講義では扱わない題材かもしれません。

知的財産&ルールメイキング部門
渉外統括部
プロフェッショナル
大前 智栄子
2008年4月にNECへ入社。知財部で契約担当としてキャリアをスタートする。渉外と契約チームの統合を機にライセンスなどの渉外活動を経験。3回の育休を経て、現在はプロフェッショナルとして、ITサービス関連の知財渉外業務や共同出願関連知財契約窓口および管理に従事している。
上原: はい、私の大学では裁判での事例について検討する内容が中心でした。実際、インターンシップ前は企業の知的財産職というと、知的財産を保護するという「守り」の要素が強いものだと思っていましたが、インターン後には、自社の知的財産の価値を高め、知的財産で収入を得るために 戦略的に行動する「攻め」の要素が強い仕事なのだという印象に変わりました。
大前: 渉外部門でインターンシップを採用している企業も、なかなか珍しいのではないかと思いますので、学生の皆さんには本インターンシップが企業の知的財産法務と渉外業務の具体的内容、ひいては面白さや魅力を少しでも感じていただけるような機会になればと思っています。

知的財産&ルールメイキング部門
渉外統括部
上原 成剛
大学では法律を学び、形がないにもかかわらず価値を持つ知的財産に興味をもち、学部3年の夏にNECのインターンシップに参加。その後、2024年4月にNECに入社。数多くの技術などを保有するNECのなかで、特許を中心として、著作権やノウハウといった知的財産にも幅広く携われることに面白さとやりがいを感じ、 日々業務に取り組んでいる。入社後は事業開発関連の知財契約業務や標準化団体参画審議等に従事し、2025年度より、インターンシップのメンターを担当。
表面的な情報だけではわからない適性を測る
お二人は、なぜインターンシップに参加したのでしょうか?
上原: 企業の社風や実務内容を肌で感じて、自分の特性とどれくらいマッチするのかを探りたかったからです。就職活動を始めてから、企業の説明会やホームページで情報を得たり、フレームワークを用いた自己分析をしたりしていたのですが、それだけでは実際にどれくらいマッチするかはわからないなと感じるようになりました。
吉井: そうですね。私も表面的な情報だけでなく、実際に働いている社員の方の生の声ですとか、実際に業務を体験するなかで得られる発見や自身の心境の変化なども、納得いく職場選択をするうえでは必須だと考えました。思いがけない楽しさや、自分の望むような生き方ができそうかどうかという感覚は、実際に体験してみないとわかりませんから。なので、学部3年のときには特許庁や特許事務所のインターンシップにも参加していました。


NECのこのインターンシップに参加した理由は何だったのでしょうか?
吉井: もともと知的財産に携わる仕事に興味があったので、特許庁や特許事務所のインターンシップには参加していたのですが、企業内の知的財産業務も体験してみたいと思って参加しました。 知的財産に興味を持ったのは、大学で一つのテーマを深く掘り下げた研究をしていたときに、もっと広い視野を持って最新の技術トレンドを俯瞰して見続けられるような仕事をしてみたいと思ったことがきっかけです。技術面と法律面の双方で高い専門性を兼ね備えた尖ったスキルを持った人材を目指せるということも魅力的でした。さらに、企業の立場であれば、最新の技術を世の中に送り出す門出を支援できるのも素敵だなと感じたということもあります。
上原: 私は大学で知的財産法を研究するゼミに所属していたので、知的財産法に関わることのできるインターンシップを探していました。NECを選んだ理由は、ソフトウェアを始めとした無形資産を多く扱うビジネスを展開している企業であれば、さまざまな面白い経験ができるのではないかと考えたからです。実際、入社後は特許のほかにも、著作権や、近年注目されているノウハウなどの知的財産も含めて戦略を考えるような案件に携わることなどができていますので、この予想は間違っていなかったと感じています。
大学では学べない実務的なプログラム
実際にインターンシップを体験してみて、いかがでしたか?
吉井: 出願業務と権利化業務の2つの業務を行いましたが、なかでも印象に残っているのは権利化業務の実習です。言葉選びによって、取得できる特許の良し悪しが大きく異なるということを実感することができました。学生時代は研究者としての立場しか知らなかったので、発明を特許にする際に重要なのは「発明の質」だろうと考えていた節がありました。
しかし、インターンシップに参加するなかで、発明の質と同じぐらいに知財部門がセレクトする「言葉の質」も重要なのだということに気づくことができました。特に、同じ発明に対して学生全員がそれぞれ高品質な特許を取得するための表現を考えるというプログラムでは、一人ひとり全く違う言葉をセレクトすることに驚きました。知財部門の言葉の選び方や発明の捉え方、そして能力やセンスの必要性を実感できた内容でした。 インターンシップでの経験を経て、特許書類への見方も変わってきました。最初は、特許をじっくり読むのもはじめてで、論文や物語にはない特許特有の表現に正直とっつきにくさを感じていました。しかし、こうした表現や一つひとつの言葉選びにも意味があることに気づき、とても理にかなっていると感じられるようになりました。
中野: 特許書類は、確かにはじめ皆さん当惑されることの多い内容ですね。知的財産業務には不可欠なものになりますので、ぜひ実際に読み方を学んだうえで、自身にマッチするかどうか試していただくと良いのではないかと思います。
上原: 私は企業間の交渉を想定した実習のなかで、状況分析の重要性を学べたことが非常に大きな経験になりました。実習では、当事者間の利害が一致しないケースも扱います。一見すると、両者の落としどころは全く存在しないように感じられるのですが、これを解決するために重要となるのが、両社が置かれている状況を多角的に分析して整理することでした。法律的な事柄だけでなく、ビジネス的な要素まで含めて考えることで妥協点を探るのですが、これは当時の私にはなかった視点で、大きな学びになりました。
プログラムには正直「難しい!」と感じるものもありましたが、その経験を通して知的財産法務・渉外業務の奥深さを実感できました。学生用だからといって内容を抽象化し過ぎずに、専門的で実務的な内容を扱ったプログラムだったのが良かったです。
大前: そうですね。難易度については非常に気にかけています。簡単過ぎるとつまらないと思いますし、逆に難し過ぎてもついてこられなくなってしまいますから。若い社員にも意見を聞きながら適度にチャレンジングで歯ごたえのあるプログラムを目指しています。上原さんがちょっと難しいと思いながらも、楽しんで取り組んでくれたなら、狙いどおりです(笑)

安心して取り組める自由で風通しのよい環境
NECの雰囲気はいかがでしょうか?
上原: 当時はコロナ禍でオンライン実施だったため、構内の雰囲気を感じることはできなかったのですが、社員の方々がテレワークやフルフレックス、ドレスコードフリーやアドレスフリーなど、自由にできる要素は自由にして、気持ちよく働いていこうという意識を持っているということは実感できました。また、そういうところから来るのかもしれないのですが、社員の方同士の風通しが良いなとも感じました。学生に対しても良い意味で上下関係を感じさせないというか、1人の大人として扱ってくれる方が多かったです。
吉井: そうですね。私もそれは感じました。特にメンターの方のコミュニケーションの取り方が印象的で、学生のどんな意見に対しても「その視点も良いね」という姿勢で、一度も否定する言葉を使われなかったことが心に残っています。「Yes, and……」のスタイルで、全面的に受け入れた上で追加のアドバイスをしていただけたので、個人の考えが尊重される風土なのだなと感じました。
上原: こうした自由で風通しの良い環境や、インターンシップで関わった社員の方々皆さんが揺るぎない高度な専門性を持って働いている姿に魅力を感じたことが、 NECへの入社につながりました。
吉井: 私も安心して働ける職場だと実感できたことは、入社に至る理由の1つになりました。あとは、発明者との近さを活かして、発明者の意向に即した権利の取得を目指すことができる職なのだと実感できたことや、企業内での知的財産職の仕事が自社の知財ポートフォリオ管理や事業の方向性にまで影響を及ぼし得るとわかったことが、企業内の知的財産職を選ぶ決め手になりました。以前は企業での知的財産職というと、「発明者と特許庁との仲介業務」というどこか事務的なイメージを持っていたのですが、実際にインターンシップを通じてこのイメージが覆されたことが大きかったです。

インターンシップの改良と拡大を推進中
インターンシップへの参加を考えている学生さんにメッセージはありますか?
大前: インターンシップに参加して、「知的財産の仕事が面白いな」、「NEC良いな」と少しでも思っていただけるきっかけになればうれしいです。プログラムについても、毎年参加していただいた学生さんに感想をおうかがいしながら、少しずつアップデートをかけていますので、是非楽しみにしていただけたらと思っています。
中野: そうですね。実際にインターンシップに参加していただいた学生さんが入社していただけるケースが増えてきていまして、現在は受け入れ人数を拡大中です。プログラムにおいても、ポートフォリオ構築などの上流工程のエッセンスも加えられるように更新をかけているところですので、是非ご参加いただけたらと思っています。

吉井: インターンシップは、自分が何を大事にしてどのように生きていきたいかという軸を定めたり、見直したりするための良い機会になると思います。私自身は納得できる職場を選ぶことができました。少しでも興味があるのであれば、「百聞は一見に如かず」の精神で、ぜひ参加してみてください。
上原: そうですね。知的財産職の魅力を是非体験しに来ていただければと思います。今年度から私は、知的財産法務・渉外業務のインターンシップでメンターを務めます。学生の皆さんに近い立場であることを強みにして、就職活動全般のご相談に乗れるように頑張っていきたいと思っていますので、ぜひご参加ください。
